揮発性酸遊離反応とは?塩化水素や硝酸の製法である理由とは?

受験化学コーチわたなべ
うも、わたなべです!

昨日このようなコメントがきました。

揮発性酸遊離反応

内容

はじめまして。

記事を見ました。

質問があります。

硫酸水素ナトリウム NaHSO4 と、硫酸ナトリウム Na2SO4の違いがいまいちよく分からないのですが教えて頂けませんか?

これは、気体の発生で 濃硫酸が沸点の高い不揮発性の酸であることを利用し、「塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて熱し、塩化水素を発生させる」というところで疑問に思いました。

’’ 2NaCl + H2SO4 → 2HCl + Na2SO4 ’’

という反応式を立ててしまいました。

もし、’’硫酸の不揮発性’’という性質以外に何か使う知識があれば教えて頂けると幸いです。

受験化学コーチわたなべ
うん、これは有名な実験室的

HClの製法だね!

なんでNa2SO4

できずに、

NaHSO4まで

しかできないの?

ってことだね

ここにつまづく人って

結構多いです。

気体の製法を勉強した人なら、

必ず一度は通る道だと思われます。

なので、この記事では、

不揮発性酸遊離について、

学び、

その後にこの理由を説明しておきたいと思います。

スクリーンショット 2016-04-27 14.10.38

不揮発性酸遊離反応とは、弱酸遊離反応とセットだ!

不揮発性酸遊離反応とは、

ほとんど弱酸遊離反応

起っている反応は同じです。

そのうち、強酸が濃硫酸のもの、

が不揮発性酸遊離反応と言います。

ちなみに濃硫酸を強酸と表記している理由はコチラに書いてあります。

「濃硫酸って弱酸じゃないの?」

って言うツッコミに関する答えはこちら

 

 

落ちこぼれ受験生のしょうご
ん?じゃあ

弱酸遊離反応でよくないですか?

っていうかどう違うの?

って思う人も多いと思います。

ちなみに、ちがいというのは

不揮発性酸遊離をつかうのは、

『割と強酸』と言う事です。

また、濃硫酸と固体のNaClなどを

使うので、ほとんど水が

無い状態で反応させます。

これが弱酸遊離との違いです。

揮発性酸遊離反応である必要は?

落ちこぼれ受験生のしょうご
弱酸遊離でよくない?

って思いますよね。

なんででしょうか?

これは、HClやHNO3のような

強酸を取り出す反応だからなんです。

弱酸遊離反応は、

より強い酸がより弱い酸にH+

投げつけて、

強酸がイオン化

弱酸が分子

になる反応です。

↓詳しい弱酸遊離反応の説明はこちら↓

酸塩基『弱酸遊離反応』をドラえもんに例えて覚える方法

ですが、今回取り出すのは、

HCl、HNO3などの、

強酸』なんです。

たしかに、硫酸の方が塩酸や硝酸より

強酸ですが、

すんなりH+を受け取るでしょうか?

いや、受け取らないですよね。

電離したがる強酸達は、

そう簡単に、H+

受け取りません。

こんなところに水があったらどうでしょう。

普通の弱酸遊離反応です。

希硫酸はかなり水、H2Oを含んでいます。

てことは、

ClがH+を受け取らせる

身代わりとして、水を使ってきます。

揮発性酸遊離反応
硫酸が投げたH+

H2Oが受け取って、

H3O+

となります。

本来目的はHClを取りだす事なんですから、

Cl+H+→HCl

が起ってほしいんです。

H2O+H+→H3O+

だから、HClが生成出来ないのです。

 

よって、

強酸を弱酸遊離で取り出すには、

揮発性酸遊離反応』をつかわないと

いけないのです。

 

濃硫酸+固体のNaClをつかうと

もはやまわりには、水がありませんよね。

てことは、

Clは水を盾にして

逃げる事が出来ないわけですよ

不揮発性酸遊離反応

加熱の有無

ちなみに加熱はいります!

加熱する事でHClが飛び出てくるのです。

揮発性酸か不揮発性酸かの見極め

揮発性酸 不揮発性酸 見極め
揮発性酸か不揮発性なのかを

見極める方法はとっても

簡単
です。

それは、

濃硫酸だけが不揮発性酸です。

(※リン酸も不揮発性ですが、塩酸や硝酸より酸が弱いから使われる事は無いです)

ほんでそれ以外の有名な、

HCl(塩化水素)、HNO3(硝酸)

は揮発性酸であると言う風に

覚えておけばいいです。

Na塩は水中で完全電離する?

Na塩やK塩は、受験では、

完全電離すると覚えてください。

↓Na塩が完全電離する理由はこちら↓



ということで、

NaClはHClが電離している

状態とお考えください。

Na2SO4

硫酸が電離しているとお考えください。

つまり、

強い酸ほど、Na塩やK塩、

Ca塩、Ba塩になりたいわけです

極性を最もの同士はよく溶けます。

↓似た者同士よくとけるという現象↓

なぜ「似た者同士よく溶ける」と言われる?その理由を解説

なので、イオン結晶(中和の塩)は、

水に溶けやすいのです。

(たまに、難溶性塩というものがあり、

無機化学で沈殿反応として

覚えなければならない奴です)

強酸同士の揮発性酸遊離反応は電離定数の知識が必要!

強酸同士の揮発性酸遊離反応

先ほどいただいた質問、

なぜ

2NaCl+H2SO4→Na2SO4+2HCl

にならないか?

でしたね?

これがもし、酢酸やったら何も

悩まなくていいのです。

2CH3COONa+H2SO4→2CH3COOH+Na2SO4

ってなります。

これは、酢酸が弱酸だからです。

さっき言ったように、

揮発性酸遊離反応は、

弱酸遊離反応でもあります。

そして、強酸ほど電離する

=イオン化する

=Na塩、Ca塩などになる。

と言うわけです。

で、硫酸、塩酸、硝酸は

各々強酸なわけですよ!

ということは、

硫酸vs塩酸なんて

めっちゃややこしくなりそうじゃないですか?

しかも、硫酸って、H2SO4

やから、

2価の酸ですよね。

硫酸は、2価だから、

第1電離と第2電離でも

酸の強さが違うわけです!

というわけで、

硫酸vs塩酸、

硫酸vs硝酸を

見て行こうと思います。

硫酸VS塩酸

実は、NaHSO4までしかいかない

理由がこの電離定数の違いによる

物なのです。

酸の強さの順番が、

硫酸第1電離>塩酸>硫酸第2電離

なのです。

だから、

H2SO4+NaCl→NaHSO4+HCl

は起ります。

なぜなら、

硫酸第1電離は塩酸より

酸が強いからです。

ただし、

NaHSO4+NaCl→Na2SO4+HCl

はおこりません。

なぜなら、

硫酸第2電離は塩酸より

酸が弱いからです。

HClの方が強酸なんだから、

強酸のHClがNaClになって、

電離しているのは自然なのです。

硫酸vs硝酸

KNO3+H2SO4→HNO3+KHSO4

となり、HNO3が遊離して

来るのは大丈夫だと思います。

じゃあもう一段階行くか?

というと、そうではありません。

硫酸の第1電離>硝酸>硫酸第2電離

と言う順番で酸の強さが

変わって行くからです。

なので、

2回目の揮発性酸遊離反応、

KNO3+KHSO4→K2SO4+HNO3

は起りません。

まとめ

不揮発性酸遊離反応をする理由、

そして、なぜ、

Na2SO4

出来ないのか理解できましたか?

ちゃんと理解したら、

定着させるために問題を解いて、

行きましょう!

不揮発性酸遊離反応に

関する過去問演習はこちら!

15 件のコメント

  •  昨日質問した者です。
    新たに疑問がでてきたので、良かったら教えてください。

     硫酸の第1電離>硝酸>硫酸第2電離 とのことですが、これは高校化学のどの範囲の事項なのでしょうか。
    初めて知ったので、他にこれと似た内容で覚えなければいけないことがあったら、ぜひお願いいたします。

     また、先生に聞いたら、「Na+, Cl-. H+, HSO4- に電離し、塩酸の方が濃硝酸よりも沸点が低く、塩化水素という気体が発生する」ということだったのですが、わたなべさんの説明と合わせて頭に入れておいた方が良いのでしょうか。

     記事を改めて書いて頂いて、とても嬉しいです。
    内容はしっかり理解することができました!!

    • まあ高校化学では、
      覚えろ!って所です。
      強いて言うなら、
      電離平衡のところです。
         
      Ka=[H+][HSO4]/[H2SO4]で、電離度が大きいほど、強酸って言うのがわかりますか?
      この値が、硫酸>塩酸>硫酸第2電離なんですね。
      まあ気体生成反応で弱酸遊離反応を使う事はよくありますね!
        
      入試に出るさらし粉の反応まとめ!化学式を2倍する方法とは?
      とか見てもらえると、
      さらし粉から塩素を発生させる
      製法とかもきちんと書いています。

      • ご返信、ありがとうございます。

        では、硫酸の第1、第2電離の、硫酸以外のものでも 第1>第2 の強さになるということで良いのでしょうか。

        何度も質問してしまってすみません。

        • はい、第1電離は第2電離より大きいです。
          「有機物の酸の強さも」
          スルホン酸>カルボン酸>炭酸第1電離>フェノール>炭酸第2電離
          って言う順番です。

    • 例え、反応しても、
      加熱しないと、気体は捕集できません。
      ですが、両方揮発性なので、
      実験として成り立たない気がします。
        
      混ぜたら王水になるんじゃないでしょうか。

  • 目次の少し下に、
    「そのうち、強酸が濃硫酸のもの、が不揮発性酸遊離反応と言います。」
    と書かれているのですが、濃硫酸は弱酸なのではないのですか?

    濃硫酸は、塩酸や硝酸よりも弱い酸になるのではないでしょうか?

    • ありがとうございます。
      僕の書き方がよくありませんでしたね。
      ただ、その考え方は、少し本質的ではありません。

      濃硫酸の『硫酸は本来メチャクチャ酸性』です。
      硫酸はH+を投げたくて投げたくて仕方がありません。
      でも周りに硫酸しか居なかったら投げる相手が居ませんよね。
      だから、弱酸と言われているだけで
      何かと反応させたときは、濃硫酸は強酸です。

      そこに塩酸や硝酸が現れたらそいつらに投げます。

      • ありがとうございます!
        濃硫酸が弱酸と言われている理由もわかって、とてもスッキリしました。

        これからもこのサイトを勉強に使わせていただきます。
        宜しくお願い致します。

  • 先生、初めまして。
    質問なのですが、濃硫酸の不揮発性の利用の例として、ホタル石(CaF2)に濃硫酸を加えて熱するとフッ化水素(HF)ができる、というものが自分の参考書に載っていました。
    もしかしてこれも弱酸遊離反応の一種でしょうか?
    また、もしそうだとしたら、何故この反応は酸・塩基反応の一種としてでなく、こっちのカテゴリーに含まれてしまうのでしょうか?
    遊離反応かどうかだけでもいいので、宜しければお願いします!

    • 弱酸遊離反応の一種です。揮発性酸遊離反応ですね。
      また、弱酸遊離反応も酸塩基の反応の一種です。

      • そうだったのですね。ちょうどこの分野を勉強しているところだったので、大変参考になりました。
        これからもこのサイトを勉強に使わせていただきます。
        大変ありがとうございました!

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