ダニエル電池の仕組みは?素焼き板を用いる2つの理由とは?

ダニエル電池

どうも、受験化学コーチわたなべです。

今日は、久しぶりに理論化学の内容で、『ダニエル電池』について解説していこうと思います。

 

なんとちょうど1年前の同じ月にボルタ電池についてまとめているんですよね。

 

普通ボルタ電池書いたら、ダニエル電池書くやろ!(笑)って思うでしょう。1年越しに続きという感じです。

(まあ、色んな人から、ダニエル電池が見当たりません!みたいなメールが来るもんで重い腰をあげました)

 

とはいえ、鉛蓄電池のように特殊でもないしそれほど難しくないので、すぐに理解できると思います。ただ、ダニエル電池を読む前にかならずボルタ電池についてと酸化還元の定義については読んでおいてください。

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ダニエル電池はボルタ電池の欠点を攻略して実用的になった電池ですので、ボルタ電池の知識は必須です。

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ダニエル電池とは?

ダニエル電池

出典:wikipedia

ダニエル電池というのは、初めて実用的に使えるようになった電池らしいのです。

 

仕組みで言うと、ほとんどボルタ電池と同じなんですよね。ボルタ電池は、正極で亜鉛が投げた電子を受け取るのが、水素イオンだったのですが、ダニエル電池の場合はそれがCu2+が受け取ります。

つまり、起こっている反応で言うと、ただこれだけなんです。

ダニエル電池の仕組み

つまり、Zn+Cu2+→Zn2++Cu。ではこれを詳しく極板ごとに見ていきましょう。

まず負極(=還元剤)の亜鉛板は、

ダニエル電池の正極

このように、亜鉛板の亜鉛を亜鉛イオンにすることで、電子を放出します。反応式は、

Zn→Zn2++2e

これによって導線を電子が流れます。

この亜鉛が吐き出した電子をキャッチするのが、銅イオンです。この銅イオンが電子をキャッチして銅が生成されます。

ダニエル電池の正極

このように溶液中の銅イオンが電子を奪いに極板に群がってきます。反応式は

Cu2++2e→Cu

となります。

出来上がった銅は、銅板の周りにへばりつきます。

このようになります。この負極と正極を合わせると、ダニエル電池になります。

ダニエル電池

そして、注目してもらいたいのが、この真中の孔が空いた仕切りです。この仕切のことを『素焼き板』といいます。

ダニエル電池の素焼き板

素焼き板は、イオンは通過することができます。なので、負極はどんどんZn2+が増えて、正極はどんどんCu2+が減っていきます。

ダニエル電池素焼き板がある理由

ちなみに、ここで硫酸亜鉛は薄くて、硫酸銅は濃い。

この後反応して

ダニエル電池素焼き板がある理由

このように、反応していくと、負極(亜鉛側)はどんどん亜鉛イオンが増えていきます。そして正極は、濃かった硫酸銅の銅イオンだけが反応し、硫酸イオンだけが多い状態になります

 

ここで、イオンだけを通す素焼き板の登場です。

亜鉛イオンと硫酸イオンを交換するように、移動します。

という感じでダニエル電池は作用しています!

それでは、きっちり復習しといてくださいね〜〜

、、、

、、、、、

落ちこぼれ受験生のしょうご
え、これだけ?

と思ったことでしょう。そう、実はここまでは、事実を述べてきただけです。つまり、ダニエル電池ではこういうことが起きているんだよ〜って言うことを説明しただけです。

 

そして、ここからが本番です。ここまでを読んでたくさん疑問が湧いたと思います

「どうして亜鉛の方は薄くて銅の方は溶液が濃いんだ?」

「どうしてイオンが移動する必要があるんだ?」

「どうして素焼き板がそもそも必要なのか?」

などなどがあると思います。ここから解決していきます。しかし、漫然とよむことに意味はありません

 

だって、ダニエル電池の原理を覚えても、ダニエル電池がピンポイントで出る確率なんて相当低いです。それよりもなぜ、ダニエル電池でこのような反応が起こるのか?というのを考えながら読むほうがよっぽど重要です。

 

なので、必ず今あげた疑問点はこのブログを読みながら考えてから読み進めてくださいね!

なぜ硫酸亜鉛溶液は薄く、硫酸銅溶液は濃いのか?

ダニエル電池濃い薄い

このように、ダニエル電池は硫酸亜鉛側は溶液が薄くて、硫酸銅側は溶液が濃いんですよね。この理由について考えていきましょう。

硫酸亜鉛水溶液を薄くしておく理由

まず、亜鉛板側の話からしていきましょう。

亜鉛板

亜鉛板、つまり負極というのは電子を吐き出す側となりますよね。なので、

Zn→Zn2++2e

という反応が起こります。Znの金属がZn2+となって溶液中に溶け出すのです

ダニエル電池の負極

このように亜鉛イオンとして解けまくっていきます。しかし、いくらよく解けるからって限界があります。

ダニエル電池の亜鉛板

塩化ナトリウム(食塩)だって、溶解度という概念がありましたよね。つまり、NaCl→Na++Clという反応にも、限界量があります。

 

それと一緒で亜鉛もいずれは溶けなくなります。解けなくなると、Zn→Zn2++2eの反応が起きて、電子が流れなくなります。

 

もちろん、いずれは限界は来ますが、電池はできるだけ長い間使えたほうがいいですよね?だから、Zn2+が解ける場所はたくさん確保できたほうがいいんです。

ダニエル電池の亜鉛イオン

これよりも

ダニエル電池の亜鉛イオン

これのほうが亜鉛が溶けやすいと思いませんか?なので、最初硫酸亜鉛は亜鉛イオンを少なくしておくためにうすくしておくんです。

硫酸銅水溶液を濃くしておく理由

では、次に硫酸銅水溶液を濃くしておく理由です。

ダニエル電池の銅板

このように溶液中のCu2+と電子eが反応してCuが生成されます。

Cu2++2e→Cu

このようになります。そして、銅板の周りに銅がくっついているのがわかると思います。

 

じゃあ、もしもし、この溶液に銅イオンがめちゃくちゃ少ない、すなわち硫酸銅水溶液が薄かったらどうなるでしょうか?

Cu2++2e→Cuの反応が起きて、すぐにCu2+が枯渇して、亜鉛イオンが投げた電子を受け取るイオンがなくなってしまい電池に電流が流れなくなる。

だから、

ダニエル電池の銅板の方

このように銅イオンが少ない状態ではなく、ダニエル電池の銅板の方

Cu2+がたくさんある、つまり硫酸銅水溶液の濃度が濃いほうが電池の寿命が長くなるのです。

なぜ素焼き板なんてものが必要なのか?

それでは、いちばん重要な素焼き板について勉強していきましょう。

素焼き板というのは、溶液でイオンだけを通す板です。ニュアンスで言うと、素焼き板というのは半透膜みたいなもんです。実際にこの素焼き板をセロハン膜のような半透膜に変えてしまっても大丈夫です。

 

素焼き板を置いておく理由は2つあります。

1溶液が混合しないため

2正極、負極の電荷のバランスの調整

この2つ。それでは、この2つの理由をひとつずつ説明していきましょう。

1溶液が混合しないため

溶液が混合したらどういうことが起きると思いますか?

数分でもいいので、この記事を開けながら考えてみてください。

 

、、、、、

 

いいですか?

まずダニエル電池ってのは

ダニエル電池の原理

これです。Znから電子を投げてCu2+が受け取る。その間に出たエネルギーを取り出して電池として使っているのです。つまりは、亜鉛から銅イオンに投げる電子は『導線を通る』必要があるんです。

 

でも、溶液が混合すると銅イオンが直接亜鉛板と反応することが出来るんです。

ダニエル電池で素焼き板がなかったら

こうなると電子が導線を通ってくれません。

ダニエル電池で素焼き板がなかったら

亜鉛板付近だけで反応が完結してしまうと、エネルギーを取り出せませんので電池としての機能を満たすことは出来ません。

2正極,負極の電荷のバランスの調整

シーソーゲーム

ダニエル電池の素焼き板を用いる理由として、電荷のアンバランスを正すというのがあります。とはいえ、これは電池の原理のところですでにまなんでいます。

ほんまにわかってる?電池の原理と仕組みの3ステップ!

2016.02.05

電池っていうのは、遠距離恋愛でしたよね!そして電子という愛を投げまくった還元剤くんに対して電解質を通して愛を返すのが酸化剤ちゃんでした。

反応が進むと、負極では亜鉛がどんどん電子を投げて亜鉛イオンになり、正極では銅イオンがどんどん電子を受け取ってどうになります。

ダニエル電池

この状態では、亜鉛は電子を投げにくいのです。だって、負極に電子を欲しているZn2+という陽イオンがいて、投げる相手には電子で満たされているSO42-が居るんですよ。

 

こういう状態だとどんどん起電力が下がります

※起電力とは電圧のこと

そうすると、電流が流れにくくなってしまいます。だから、陽イオンの亜鉛イオンは銅板の方へ、陰イオンの硫酸イオンは亜鉛板の方へお互い移動します

ダニエル電池

素焼き板はこのような役目を担っています。

最後に

いかがでしたか?もちろんダニエル電池は重要なんですが、結局は電池の原理で説明したことから何一つ外れていないですよね。

 

以下に基本事項が重要か?ということがわかったと思います。

ほんまにわかってる?電池の原理と仕組みの3ステップ!

2016.02.05

基礎を完璧にすれば、ダニエル電池をまるごと覚えるなんてことはする必要がなくなるので、どんなものへも応用可能な基礎を身に着けていきましょう。

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6 件のコメント

  • 渡辺智也 より:

    ダニエル電池の根本の原理が知れてよかったです!周りと差をつけれた感じです。

  • チョウ より:

    今まで素焼き板の存在をそこまで気にしていなかったので、その役割を知れて良かったです。

    • 受験化学コーチわたなべ より:

      素焼き板重要ですねー

  • アッコ より:

    ZnイオンとSO4イオンがお互いに移動すると、どうして電流が流れやすくなるのかがよくわかりません。教えてください。

    • 受験化学コーチわたなべ より:

      電池のしくみ編の記事を見直してください。

  • ゆうき より:

    素焼き板の意味ですが、1で溶液が混合しないため、つまりCuイオンが直接Zn板と接触しないためとあるのに、2で電荷のバランス調整のため過剰になったZnイオンがCu板の方へ移動となっていますが矛盾しないのでしょうか?

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