どうも、なかむらです。
今日の問題は、
『気体の量計算』に関する問題
です。
多くの受験生が苦手な気体分野、
混合気体になると本当に
手が止まっている印象です。
そこで混合気体のまえに
混合していない気体をキッチリ
解けるようにして行きましょう。
1.63gの酢酸(モル質量60g/mol)を127℃、1.0×10^5Paで完全に気体にしたところ、0.500Lであった。
の平衡状態が存在するとして、このとき(CH3COOH)2の分圧[Pa]と、圧平衡定数
Kp=P(CH3COOH)2/PCH3COOH2
を求めよ。なお、気体定数は以下とするR=8.3×103Pa・L/mol・K(2004年山梨大学後期)
計算ツールを利用せよ!
でもお話ししましたが、
気体の分野は補助単位を利用し、
kPaを使うと、
計算が早く、正確になる他に、
『気体定数の累乗が消える』
という副産物があるのです。
kPaを使うと、
気体定数R=8.3とすることが
出来ます。
詳細は、こちらの記事で、
つまり、この場合では、
で表されていますが、
このようにkPaを使いましょう!
これによって、与えられた気体定数は、
8.3で計算できます!
この問題の方針!
さあ、この問題の解説に
入って行きますが、
分からない人には、とことん
分かんないと思います(笑)
まあそりゃそうですよね、
これは結構知ってるか知ってないか
というところが大きく影響する問題
だから。
つまり、
「この問題が出来ないから俺はクズだ、、」
とかそんなこと思う必要は一切無く、
全然気にすんな!ってことが言いたい!
「おい、じゃあテキストに関係ない
問題出すなよ!」
と言われるかもしれないが、
この講座の目的は、
「テキストをマスターする事じゃなく、
大学に合格すること」
だから必要な知識はどんどん、
付けて行ってほしい。
この知識を
『絶対に知っておけ!』と
言っている先生はなぜかいない。
でも絶対に必要。
これはかなり常識として
使われちゃいます。
実は、この問題の方針を
立てる上で絶対に必要な知識は
過去のブログ記事に
取り上げています。
これが本当に大事です。
絶対にこの記事を見てもらわないと
困るんですが、簡単に説明すると、
分圧と平均分子量は
モル分率を介して関係し合う
のです。
この事を頭に入れた上で問題を見ると、
今回求めなければならないのは、
『圧平衡定数』
ということは、
分圧を求めなければならないね!
こういう思考になる。
この問題で与えられている圧力は、
この問題文の空間の圧力
つまり、『全圧』だ。
このことに気付いたらもう
次は当然、
全圧から分圧を知るため、
『モル分率』が必要だ!
という風になる。
ここまでは実は、
結構誰でも思いつくのですが、
ここからが問題。
この問題文を読んで、
多くの受験生が、
え、どうやって
モル分率求めるの、、
詰んだ、、、
となってしまう。
実は、ここで先ほどの記事、
の知識が必要になる。
まさに、迷宮入りしてしまいます。
しかし、この知識があれば、
『モル分率』を求めるのか、
じゃあ『平均分子量』を
求めよう!
という考えに至るのです。
俺もこれは、自分で問題演習して、
「公式化しないとダメだな」
と思いました。
そうとう柔軟な思考力があり、
数学的センスが無い人以外、
こんな物は気付けません。
もし何も知らずに気付いたなら
あなたは頭がいいです!
自信を持ってください。
なので、方針はまず、
『酢酸と酢酸の二量体の混合気体の
平均分子量を求める!』
と言う事になります。
酢酸と酢酸二量体の混合気体の平均分子量Mを算出せよ!
この問題文の通り、
酢酸は気体状態のときには、
二量体を作ります。
全て二量体になるわけではなく、
⇄で表される可逆反応です。
可逆反応と言う事は、
両方残るわけです。
だから、酢酸と言う気体と
酢酸の二量体という全く別の
気体の混合気体だと思って
解いて行きます。
本文の状況を図にしよう!
まず、何をするよりも先に
問題文の状況を図にします。
書ける図は『1枚』
ということは『変化無し』
変化の中で一定を見つける事が
できないので、
使える式は『状態方程式』
この状態方程式を使う目的は、
『平均分子量を求める事』
だから、
のnをw/Mに置き換えて、
このように変形したところに
代入すると言う戦略を取ります。
そして、このMは分子量ですが、
混合気体全体を扱っているので、
このMが『平均分子量』と
言う事になります。
計算すると上のようになり、
平均分子量は108となります。
気体定数Rと圧力pがkPaで
計算されると、k同士が
相殺されてそのまま計算できます!
平均分子量→モル分率
この求め方も前の記事、
の内容を応用すればできます。
このとき、空気の平均分子量を
例に出しました。
これは、平均分子量29を
求める式でしたが、
今回29が分かり、青い部分の
モル分率がわからない
という事です。
しかも2つ!
未知数2つ→式が2つ必要!
勘のいい人は、未知数は
1つでいい事に気付くでしょう。
モル分率のMaxは1だから、
1つのモル分率を文字xで置けば、
もう片方は1-xでいいと分かります。
つまり、
28×X+36×(1-X)=29
という方程式を解けばいいのです。
解くと、X=0.8となり、
窒素のモル分率は0.8
酸素のモル分率は1-0.8=0.2
となります。
これと同じ事をすればいいのです。
酢酸と酢酸の二量体のモル分率を求める
酢酸の分子量は60
二量体はもちろん120
だから、先ほどのように、
ひとまず、酢酸のモル分率をXと
おきます。
そして、方程式
60X+120(1-X)=108とします。
これをとくと、
X=0.2、
つまり酢酸のモル分率は、
0.2
二量体のモル分率は
0.8ということが分かります。
モル分率→分圧
もうここまできたら、簡単です。
分圧=モル分率×全圧
の式を立てるだけです。
酢酸の二量体の分圧が問われていたので、
1つ目の答えは、
80kPa=8.0×10^4Paとなります。
圧平衡定数の算出
これより答えは、
2.0×10-4Pa-1
となります。
どうでしたか?
なかなか思いつきにくい知識が
ふんだんに使われていたので、
分からなかった人が多かったのでは
無いかと思います。
ですが、復習すれば必ず解けるように
なりますし、キッチリ方針が
思いつけるようになると思います。
それではありがとうございました。