ども!なかむらです。
今日は、ヘンリーの法則がメインの
問題の解法を学んで行きます。
といってもヘンリーの法則は
実は、かなり簡単で、
気体の溶解度を『モル』を
使う!と言う方法さえ知れば、
絶対に解けます。
図に示したような容積の変えられる密閉容器に1.00Lの水と0.100molの気体Aを入れ、容器中で気体が占める部分が(気相)の圧力が一定になるように保ちながら、27℃でよく振り混ぜた。このとき、気相の圧力P[Pa]と気体Aの水への溶解度A[mol/L(水)]との間にS=2.00×10^-8P[Pa]の関係が得られた。以下の問いに答えなさい。ただし気体は理想気体とし、気体定数は8.3×10^3とする。また、水の体積変化と水蒸気圧は無視できるとする。
問1 27℃の気相の圧力を1.00×10^5Paに保ちながら容器を振り混ぜた。
(1)容器内の水に解けている気体Aの体積は標準状態で何mLか。
(2)容器内の水に解けている気体Aの体積は、27℃、1.00×10^5[Pa]で何mLか。
(3)気相の体積は、27℃、1.00×10^5Paで何Lか。
問2 27℃で気相の圧力をP[Pa]に保ちながら容器を振り混ぜた。
(1)容器内の水に解けている気体Aの体積は、27℃、P[Pa]で何mLか。
(2)気相の体積が0.50Lとなるようにするには、Pを何Paにしたらよいか。有効数字2桁で答えよ。
東京薬科大2010年
気体の溶解度の問題の方針
ヘンリーの法則はこの図のように、
水に溶けている気体を
仮想的に気体を取り出します。
このときに、取り出した気体の
量を計算する方法が、
『ヘンリーの法則』でした。
テキストに書いたように、
ヘンリーの法則は、
が教科書的な書かれ方ですが、
現代人はモルを知っているので、
『モル利用』するために、
このように変形します。
そして、
この公式を使います。
これでまず仮想的に気体を取り出し、
これ以降は『気体の問題』
として扱います。
②では気体分野の解法と同じで、
一定を見つけて気体の
分からない情報を
気体の法則で求めて行きます。
この問題の前提
この問題で与えられている
Sについてです。
ヘンリーの公式では、
『ヘンリー定数』を決定する
必要がある問題がほとんどなのです。
と表される。
この値が水温27℃において
S=nA/V水=2.0×10-5P'(mmol/L(水))
である。
ん?これってもう、
ヘンリー定数決定
できてないですか?
そう!
実は、この問題は
珍しく、ヘンリー定数
があたえられているんだ。
だから、公式に当てはめるだけで、
水に溶けている気体の
物質量がわかる。
のkにあたえられた値を代入すれば
いいのです。
…②
(mmolを使っているため、
両辺に×103されています)
P’はkPaを用いて公式に
当てはめたのがこの式です。
下準備をしよう!
よし、
ヘンリーが分かったから
早速問題を解いて行こう!
いや、まだだ。
いきなり解くのではなく、
前教えた事を
思い出して!
どういうこと
ですか?
もう、わすれたのかよ!
Chapter1の補助単位
をつかって出てくる
値を簡単にしていこうよ。
まずはPaをkPaにしましょう!
この問題では、この問題ではね
そういうのはねこの問題ではね
そういうのはねこの問題ではねそういうのはね
問1ヘンリーの法則の利用
(1)の解説
②式にP’=100kPa
を代入し、溶解した気体A
の物質量[mmol]を求める。
n’A=0.0200P’V水=0.0200×100×1.00=2.00mmol
この
に、標準状態におけるモル体積
(◯:標準状態を表す)を掛けます。
よって溶解した気体Aの標準状態での
体積換算値は
(2)の解説
問1(1)で溶解した気体Aの
物質量は2.00mmolである。
気体の状態方程式を変形し、
式に代入して行きます。
P’=100kPa、R=8.3kPa・L/(mol・K)
として、V=nRT/PのP’とRがkPaの
“k”は相殺されます。
(3)の解説
気相の体積は27℃、1.00×10^5Pa
=100kPaで何Lか。
と問われています。
本文では、気体Aの全物質量は
100mmolです。
このうち水相に溶けていた気体Aの
物質量は2.00mmolであるので、
気相に残存した気体Aの物質量は
100-2=98.0mmolとなります。
本問を図にすると下のように
なります。
問1(2)同様、
式に代入して行きます。
を代入します。
P’=100kPa、R=8.3kPa・L/(mol・K)として、
V=nRT/P’のP’とRのkPaの
“k”は相殺される。
問2これもヘンリーやわ
(1)の解説
27℃、P’kPaにおいて
水1.00Lに溶解する気体Aの
物質量は、先に記した②式に
を代入します。
問1(1)(2)同様、
に以下を代入します。
計算すると、
となります。
注意点
ヘンリーの法則は難しい事を考えず、
モルに変換しろ!と言う方針で
教えてきました。
おそらく多くの人が混乱するのが、
この問題なのです。
ヘンリーの法則には、
『気体の水への溶解量を
溶解した気体を取り出した状態と
水に押していた圧力を
同じ条件にすると、
(一定量の水に)溶解する気体の
物質量(モル数)は
気体の分圧に比例して
増加するが、溶解量を気体の体積で
表すと一定になる』
というのがあります。
そして、この関係を使えば、
この問題は一発なのですが、
これを理解して使いこなせる
ようになるのは、
非常にレベルが高いし、
ヘンリーの法則自体入試で
よく出るわけじゃないので、
「全てモルに変換!」
と覚えてしまっていた方が
絶対に楽です!
(2)の解説
27℃で気相の体積が0.50Lと
なるようにするにはPを何Paに
したらよいか?
まずはこのように図にしましょう。
V水=1.00L、P’kPaで水に
溶解した気体Aの物質量(mmol)
は、
問2(1)で計算したように0.0200P’
mmolである。
気相と水槽のAの物質量の和は
0.100mol=100mmol。
なので、気相に残ったA=100-0.0200P’mmolとなります。
気体の状態方程式に下のデータを
代入していきます。
代入して解くと、
P’≒4.5×10^5Pa
おさらい
いかがでしたか?
気体の溶解度の問題は
メチャクチャワンパターン
ということが分かります。
①水に溶けている気体を
ヘンリーの法則の公式で
取り出す。
②変形
これだけです。
メチャクチャ簡単なので、
この問題でいいので、
何度も解いてください。
また、テキストに書いてあるように、
ほとんどの問題は、
ヘンリー定数が与えられて
いません。
自分で導きだす流れを
テキストの問題で
確認してください。