こんにちは。
高校化学で扱う「無機物質」の中で、「希ガス」「ハロゲン」と並び入試に頻出の重要物質が「アルカリ金属」です!
アルカリ金属は奥が深く、いろいろな切り口から出題されるので「付け焼き刃」の知識では太刀打ちできません。
この記事を読んで、アルカリ金属について系統的・網羅的に理解しましょう!
この記事ではアルカリ金属についての「なぜ?」「どうして?」に、受験コーチなかむらが徹底的にお答えします!
本記事では大学受験で必要なアルカリ金属の知識を完全網羅しています。ブックマーク登録やツイッターでツイートしておいて、後から読み返せるようにしておくことをオススメします。
目次
アルカリ金属とは
アルカリ金属は周期表の一番左端にある「1族」から水素を除いたものです。
水素の最外殻は電子が2コしか入らないK殻であり、共有結合をすることでこの軌道を満たそうとする性質があります。
しかしそれ以外の元素は最外殻に電子が一つ余った状態にあり、この電子を自由電子として放出することで金属結合をします。
したがって1族元素の中で水素だけが全く異なる性質になるため、水素はアルカリ金属には含まれないのです。
アルカリ金属は典型元素であり、隣り合う2族アルカリ土類金属とは異なる性質を持ちます。(遷移元素は隣り合う元素同士が似通った性質を持つ。)
また金属元素でもあり、単体には金属特有の性質である金属光沢・電気伝導性・熱伝導性・展性延性があります。
典型元素・遷移元素の違いや金属・非金属の違いをもっと詳しく知りたい人は、この記事も読んで見てください。
アルカリ金属に分類される元素は、下の6つです。
リチウム(Li), ナトリウム(Na), カリウム(K)
ルビジウム(Rb), セシウム(Cs), フランシウム(Fr)
このうちフランシウムは半減期がわずか22分の放射性元素のため、実験室でその存在は確かめられたものの詳しい性質は分かっていません。
この6種類の元素を覚えるための有名なゴロ合わせがありますので、ぜひ活用して覚えちゃいましょう。
「友達のリナちゃんは毎週末クラブに行って、レイザーラモンHGバリの腰振りダンスをしている」というイメージです。
もう一つのゴロあわせはこちら。
「リッチなお母さんが、特大のルビーの指輪をお父さんからせしめてフランスに旅行にいった」というイメージです。
ところで、あなたはこれらの元素を単体の「金属」として見たことがありますか?
日常生活で見かけることは、ほとんどないですよね?
なぜなら私たちの身の回りにあるアルカリ金属は、ほとんど「化合物」の状態だから。
でもなぜでしょう? その答えは「アルカリ金属単体の共通性質」にあるのです!
アルカリ金属単体の共通性質
アルカリ金属の原子は最外殻に1つだけ価電子をもちます。
これがアルカリ金属特有の様々な性質を生みだします。
融点が低く、柔らかい軽金属
アルカリ金属はどれも融点が低いです。
ナトリウムは「サウナの温度」で、セシウムにいたっては「東京の夏の気温」で液体になります。
種類 | 融点(℃) |
リチウム | 179 |
ナトリウム | 97.8 |
カリウム | 63.5 |
ルビジウム | 38.9 |
セシウム | 28.5 |
またどれも柔らかくナイフで簡単に切れます。
これらの性質は原子半径が大きい上に価電子が1つしかないため、金属結合の力が弱いからです。
「クロムとか銅も価電子が1つしかないけど、硬いじゃないか!」
という鋭いツッコミをする人がいるかもしれませんね。
実は遷移元素は、最外殻以外の電子も自由電子になり金属結合に関わっているので金属結合の力が強く、融点が1000℃以上にもなるし超硬いのです!
遷移元素についてのくわしい説明が知りたい人はこの記事を読んでみてください。
1価の陽イオンになりやすい
アルカリ金属は価電子が1つしかなく結合力も弱いので、この電子を容易に手放し1価の陽イオンになります。
つまりイオン化傾向が大きいのです!
メジャーな金属のイオン化傾向を大きい順に並べた『貸そうかな、まああてにすんなひどすぎる借金』というリストでも一番初めにカリウムが、3つ目にナトリウムが出てきますね!
K, Ca, Na, Mg, Al, Zn, Fe, Ni, Sn, Pb, H, Cu, Hg, Ag, Pt, Au
ちなみにリチウムはカリウムよりもイオン化傾向が大きいです。
非常に反応性が高く、強い還元性がある
導入部で述べた「水と激しく反応する」という性質も、「電子を失いやすい」ことに関係しています。
電子を失いやすいということは「酸化されやすい」ということです。
したがって空気中の酸素によってすみやかに酸化され、酸化物になります。
ナトリウムなどのアルカリ金属をナイフで切ると、切った断面は少しの間だけ金属光沢を示します。
しかし、すぐに表面が酸化して曇ってしまうのです。
4Na + O2 → 2Na2O
また酸化されやすい=還元力が強いので、水と接触すると激しく還元反応を起こして水素を生じます。
残った水溶液にはアルカリ金属の水酸化物が溶けているので、強塩基性を示します。
2Na + 2H2O → 2NaOH + H2↑
このようにすぐに他の物質として反応して化合物になってしまうので、私たちの身の回りでアルカリ金属の単体を目にすることがほとんどないのですね!
特有の炎色反応を示す
アルカリ金属の価電子は、熱エネルギーを与えられると1つ上の電子軌道にジャンプします。
しかし本来位置するべき軌道にいないと安定しないので、すぐ元の軌道に戻ります。
その時、持っていた余分なエネルギーを電磁波=光として放つのです。
これが「炎色反応」です。
このときの色は元素によって決まっているので、炎色反応は元素の特定に用いることができます。
アルカリ金属の炎色反応の色は
リアカー無きK村
(Li赤、Na黄、K紫)
と覚えましょう!
炎色反応の色は熱するだけではなく電圧をかけても生じるので、ナトリウムは電球内に封入され黄色い光を生じる「ナトリウムランプ」として活用されています。
ナトリウムの炎色反応である黄色い光は、霧やもやによって錯乱されにくく遠くまで届くので、街灯やトンネル内照明に使われることが多いですね。
単体は「融解塩電解」で精製する
アルカリ金属はイオン化傾向が強く反応性も大きいので、単体を取り出すのが難しいです。
例えば食塩水(NaCl水溶液)を電気分解してナトリウム(Na)の単体を精製しようとしても、陰極からは水素(H2)が発生してしまいます。
ナトリウム(Na)は水素(H)よりイオン化傾向が大きいからです。
しかしもしそこに「水素(H)」が無かったら…?
ナトリウムが取り出せるはずですよね!?
つまり水素の発生源である水(H2O)を加えず、融点である800℃まで加熱して融解させた塩化ナトリウム(NaCl)を電気分解するのです!
こうすれば、陰極からナトリウムの単体(Na)が取り出せます。
これが融解塩電解という方法です。
アルカリ金属単体の性質や融解塩電解ことをもっと詳しく知りたい人は、この記事も読んで見てください。
ナトリウム単体の性質
6種類あるアルカリ金属のうち、「ナトリウム」は大学受験に頻出の超重要元素です!
このセクションではナトリウムにターゲットを絞ってその性質を徹底解説します。
ナトリウムの性質が「なぜそうなるのか」もしっかり理解しておきましょう。
一般的性質・名称の由来
原子量は23 (正確には22.99)
融点は98℃
沸点は883℃
名前の由来はギリシャ語における塩湖が干上がった時に残る数種のナトリウム化合物を含む蒸発岩の名称「ナトロ」から。
英語では「ソディウム(Sodium)」といいます。
金属共通の性質
ナトリウムは金属ですので単体は電気伝導性、展性・延性、金属光沢などの金属に共通の特徴を持ちます。
高い反応性
しかしその性質を確かめるのは大変困難です。
なぜなら金属ナトリウムは反応性が大きく、空気中で速やかに酸化され酸化ナトリウムになってしまうから。
4Na + O2 → 2Na2O
また水とは激しく反応して、水酸化ナトリウムと水素を生じます。
2Na + 2H2O → 2NaOH + H2↑
実験室では空気や水との接触を避けるため、石油中に保存されます。
軽い
ナトリウムの比重は0.97g/cm3。
水よりも軽いです。
水とは激しく反応してしまうので、水に浮かべることはできませんが。
柔らかい
原子半径が大きく金属結合の担い手である価電子が一つしかないため、単位面積当たりの自由電子の数が相対的に少なくなってしまいます。
そのため結合力が弱く、バターナイフやカッターナイフで簡単に切れるほど柔らかいのが特徴です。
融点が低い
金属結合の結合力が弱いことは融点にも影響します。
ナトリウムの融点は98℃。
水の沸点より低い温度で、水銀のような液体金属になります。
液体の金属ナトリウムは、熱伝導率が良いため高速増殖炉というタイプの原子力発電所で冷却剤として利用されています。
強い還元剤
電子を投げる=還元する性質が強いので強力な還元剤としてチタン(Ti)などの金属を得るための還元剤として用いられます。
4Na + TiCl4 → 4NaCl + Ti
ナトリウム以外のアルカリ金属のことも知りたい人は、こちらの記事も読んで見てください。
ナトリウムの化合物
アルカリ金属の化合物のうち、高校化学で圧倒的に取り扱われることが多いのは「ナトリウム」の化合物です。
ナトリウムの代表的な化合物を確認していきましょう。
塩化ナトリウム
食卓で使う「食塩」は塩化ナトリウム(NaCl)です。
式量は58.44
融点は800℃
沸点は1413℃
白色のイオン結晶です。
海水に大量に含まれているため、人類がもっとも簡単に手に入れることができるナトリウム化合物といえるでしょう。
人体の生命活動に不可欠なナトリウムイオンの供給源として、私たちは毎日食品から摂取しています。
また、そのための仕組みとして適度な「塩味」を美味しいと感じる味覚センサーが私たちには備わっているのです。
ナトリウム単体やこれから説明する様々なナトリウム化合物を合成するときの原料になります。
水酸化ナトリウム
ナトリウム化合物のうち、最重要かつ受験に最頻出なのは水酸化ナトリウム(NaOH)でしょう。
式量は40
融点は318℃
沸点は1388℃
白色のイオン結晶です。
水酸化ナトリウムは水に溶けて強塩基性を示します。
また水に溶ける際には多量の溶解熱を出します。したがって水溶液を調整する際には必ず「水に水酸化ナトリウム」を少しずつ加えるようにしてください。
反対の手順で「水酸化ナトリウムに水」を少しずつ加えると、その水が一気に沸騰して飛び散り、大変危険なのです!
水酸化ナトリウムを保管する際は、試薬瓶のフタをしっかり閉めるよう気をつけましょう。
密閉しないでおくと、空気中の水分を吸収してビシャビシャになってしまいます。
水への溶解度が1110g/lと非常に大きいため、空気中の水分を取り込んでその中に溶けようとするのです。
この現象を潮解といいます。
溶解度の大きさを利用して、気体の乾燥剤としても用いられます。
しかし、水分を吸った水酸化ナトリウムが水溶液になってしまうと、水に溶けやすい気体がその中に溶け込んでしまいます。
これを防ぐため、酸化カルシウムが加えられた「ソーダ石灰」が乾燥剤としては用いられるのです。
水酸化ナトリウムが吸収した液体の水を、酸化カルシウムと反応させることで取り除くのですね。
CaO + H2O → Ca(OH)2
入試に頻出の乾燥剤であるソーダ石灰についてより詳しく知りたい人は、この記事も読んでみてください。
強塩基性の水酸化ナトリウムは髪の毛や皮膚などのタンパク質を溶かすので、パイプの詰まりを溶かす洗剤に配合されています。
ただし素手で触ったり目に入ったりすると危険ですので、取り扱いには注意が必要です。
工業的に水酸化ナトリウムは濃い食塩水(NaCl)の電気分解によって作られます。
ナトリウム(Na)は水素(H)よりもイオン化傾向が大きいので、陰極ではナトリウムではなく水素ガス(H2)が発生します。
一方陰極では塩素ガス(Cl2)が発生するので、溶液中のナトリウムイオン(Na+)と水酸化物イオン(OHー)の濃度がどんどん高くなります。
どんどん濃縮していくと、最終的に水酸化ナトリウム(NaOH)を得ることができます。
しかしこの方法には1つ欠点があるのです。
それは陽極で発生した塩素ガスが水酸化ナトリウムと反応してしまうということ。
これを防ぐために考えられたのが、両電極の間に「陽イオン交換膜」を入れ、発生した塩素ガスと水酸化ナトリウムが触れ合わないようにする「イオン交換膜法」です。
水酸化ナトリウムやその他のアルカリ金属水酸化物の性質について詳しく知りたい人は、こちらの記事も読んで見てください。
酸化ナトリウム
金属ナトリウムが空気中の酸素と反応すると酸化ナトリウム(Na2O)になります。
4Na + O2 → 2Na2O
式量は62
融点は1132℃
白色のイオン結晶です。
さらに酸化ナトリウムが水と反応すると水酸化ナトリウムを、二酸化炭素を吸収すると炭酸ナトリウムを生成します。
Na2O + H2O → 2NaOH
Na2O + CO2 → Na2CO3
水を加えると水酸化ナトリウムを生成し塩基性を示すことから、酸化ナトリウムは塩基性酸化物ともよばれます。
塩酸(HCl)を加えると広い意味での中和反応が起き、塩化ナトリウムを生じます。
Na2O + 2HCl → 2NaCl + H2O
炭酸水素ナトリウム
炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、一般的には「重曹」として知られています。
式量は84
白色のイオン結晶です。
炭酸水素ナトリウムはベーキングパウダーやホットケーキミックスなどに入っています。
これは熱せられると下の反応をして、二酸化炭素(CO2)を生じるからです。
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2↑
この二酸化炭素によってホットケーキなどが膨らむのですね。
この化学反応式は本当に重要なので、このゴロ合わせも使ってしっかり覚えましょう。
炭酸水素ナトリウムの熱分解は、化学変化を学ぶための定番の実験として下のような装置を用いて学校でも広く行われます。
この実験を行う時に気をつけるべきなのは、熱する試験管の口を下げることと、火を止める前にガラス管を水槽から出すことです。
発生した水や、気圧が下がって逆流した水が加熱部分に触れ試験管が割れる事故を防ぐのが目的なので、しっかり理解しておきましょう。
反応前の炭酸水素ナトリウムと生成物である炭酸ナトリウムはどちらも白色の粉末なので、見た目では違う物質に変わったのかが判断できません。
そこで下のように「水に溶かし、フェノールフタレインを加える」という方法で確かめます。
反応前の炭酸水素ナトリウムは水にわずかに溶け弱塩基性を示しますが、反応によって生じる炭酸ナトリウム(Na2CO3)は水によく溶け強い塩基性を示します。
炭酸水素ナトリウムに酢を加えて二酸化炭素を発生させる弱酸遊離反応も、キッチンでできる実験として有名です。
炭酸(H2CO3)より強い酸を加えると、二酸化炭素と水が発生し強酸のナトリウム塩水溶液が残ります。
NaHCO3 + CH3COOH → CH3COONa + CO2 + H2O
炭酸水素ナトリウムの性質について詳しく知りたい人は、この記事も読んで見てください。
炭酸ナトリウム
炭酸水素ナトリウムを熱した時に生成する物質が炭酸ナトリウム(Na2CO3)です。
式量は106
融点は851℃
白色のイオン結晶です。
ガラスの材料になる他、古代エジプトではミイラの製造に用いられました。
炭酸ナトリウムのもつユニークな性質は結晶を乾いた空気中に放置しておくと、粉末状になってしまうという風解です。
この現象は水和水とナトリウム相互作用によって発生するのです。
炭酸ナトリウム水溶液を放置し、水を蒸発させると美しい透明の結晶が生じます。
この結晶は、炭酸ナトリウムが水分子10個と結合した「炭酸ナトリウム十水和物(Na2CO3・10H2O)」です。
10個もの水分子と結合するわけは、その方が安定するから。
ナトリウムイオンと炭酸イオンのように、大きさが著しく異なるイオン同士が結晶をつくるとたくさんの「すき間」が出来てしまいます。
このすき間を水分子が埋めることで、結晶構造が安定するのです。
極性をもつ水分子は結晶中の陽イオンにも陰イオンにも、静電気力によって引きつけらるので結晶の中に入り込めるのですね。
しかし、この結晶を空気中に置いておくと、徐々に水和水が蒸発していきサラサラとした白い粉末の「炭酸ナトリウム十水和物(Na2CO3・H2O)」になります。
一価のナトリウムイオン(Na+)は水分子を引きつける力が弱いので、水和水の飽和蒸気圧が周囲の空気の水蒸気圧より大きくなりどんどん蒸発してしまうのです。
しかし、すべての水和水を持つ結晶が風解するわけではありません。
例えば、価数の大きなアルミニウムイオン(Al3+)は、水分子を強く引きつけているため、水和水の飽和蒸気圧は大きくならず水分子は結晶中に安定的に存在します。
したがって硫酸アルミニウム十八水和物(Al2(SO4)3•18H2O)は、18コも水和水があるのに風解しません。
炭酸ナトリウムの「風解」と水酸化ナトリウムの「潮解」は名前が似ているので、しっかり区別して理解しましょう!
物質名 | 現象名 | 何が起こるか |
水酸化ナトリウム | 潮解 | 空気中の水分を吸って「ビシャビシャ」になる |
炭酸ナトリウム | 風解 | 水和水を失って「サラサラ」になる |
風解について詳しく知りたい人は、この記事も読んで見てください。
また名前の似ている炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの区別も重要です。
炭酸ナトリウムの方が炭酸水素ナトリウムより水溶性も塩基性も大きいことを、ゴロ合わせも使って頭に叩き込んでおきましょう。
「なつこさんは最近忙しいので、美容院の予約を水曜に延期した」ようなイメージです。
工業的には、炭酸ナトリウム(Na2CO3)はベルギー人科学者エルネスト・ソルベー氏によって考案された「ソルベー法」(アンモニアソーダ法)という手法で化学合成されます。
反応のステップはこうなります。
1・食塩水にアンモニアを溶かし二酸化炭素を通すと、炭酸水素ナトリウムが沈殿し塩化アンモニウム水溶液が残る
NaCl + NH3 + H2O + CO2 → NaHCO3↓ + NH4Cl
2・炭酸水素ナトリウムを分離し加熱すると、熱分解して二酸化炭素が発生し炭酸ナトリウムが合成され、副産物として二酸化炭素を生じる
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2↑
3・この二酸化炭素は1の反応のために再利用するが、必要量の半分しかないので不足分は石灰石を加熱して発生させる
CaCO3 → CaO + CO2
4・副産物の酸化カルシウムを水と反応させ、水酸化カルシウムにしておく
CaO + H2O → Ca(OH)2
5・ここで生じた酸化カルシウムは、1の反応で生じた塩化アンモニウムからアンモニアを回収するために用いる。
2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2H2O + 2NH3↑
副産物を再利用する一連の反応により、多くの物質が無駄なく使われます。
その結果、全体としての反応は
2NaCl + CaCO3 → Na2CO3 + CaCl2
になります!
考えたソルベーさん、めちゃめちゃ頭いいですね!
炭酸ナトリウムの性質やソルベー法について詳しく知りたい人は、この記事も読んで見てください。
ナトリウム以外のアルカリ金属の性質
アルカリ金属のうち受験に頻出なのはナトリウムですが、それ以外のアルカリ金属の性質も気になるところ。
このセクションでは、リチウム・カリウム・ルビジウム・セシウム・フランシウムの性質を解説します。
リチウム(Li)
原子番号が3のリチウムは、最も軽い金属元素。
比重はわずか0.53g/cm3、水の半分ほどです。
融点はアルカリ金属の中では最も高い180℃です。
イオン化エネルギーもアルカリ金属中で最大の520kJ/molになります。
これはアルカリ金属においては原子番号が小さいほど最外殻にある価電子と原子核の距離が近くなり、価電子が離れにくくなるためです。
ガラスの添加物や携帯電話や電気自動車などに使われるリチウムイオン電池が、リチウムの主要な用途です。
カリウム(K)
カリウムのイオン化エネルギーは419kJ/molと非常に低く、反応性が非常に高いため水と激しく反応し発火します。
そのため、ナトリウムと同様石油中に保存されます。
生物の体に不可欠な元素であり、肥料の三要素の一つにも数えられています。
しかし肥料として用いられるのは危険なカリウム単体ではなく、塩化カリウム(KCl)や硝酸カリウム(KNO3)などの化合物です。
ルビジウム(Rb)
ルビジウムのイオン化エネルギーは403kJ/mol。
ナトリウム・カリウムよりも反応性が高くなり、水と反応すると水素を発生し自身の反応熱でその水素に点火するというおそるべき性質を持ちます。
2Rb + 2H2O → 2RbOH + H2
塩化ルビジウム(RbCl)は、ガソリンの添加剤やDNAの析出に用いられています。
セシウム(Cs)
福島第一原発事故の際に有名になったセシウムですが、放射能をもつのはセシウム137という放射性同位体です。
安定同位体であるセシウム133は放射性を持たないため、原子時計や自動ドア開閉のための光電管として、日常生活で広く用いられています。
フランシウム(Fr)
フランシウムには安定同位体が存在せず、もっとも半減期が短いフランシウム223でも半減期がわずか22分です。
そのため研究室において存在は確認されたものの、詳しい性質についてはよく分かっていません。
アルカリ金属の化合物のうち、水酸化物にはある規則性があります。
それは原子番号が大きくなるほど、塩基性が強くなるというもの。
なぜそうなるのかなど、アルカリ金属水酸化物についてより詳しく知りたい人はこの記事も読んでみて下さい。
まとめ
この記事ではアルカリ金属について解説しました。
<アルカリ金属>
- 水素以外の1族元素
- リチウム(Li), ナトリウム(Na), カリウム(K), ルビジウム(Rb), セシウム(Cs), フランシウム(Fr) → リナちゃんクラブで腰を振る
<アルカリ金属の共通性質>
- 融点が低く、柔らかい軽金属
- 1価の陽イオンになりやすい
- 非常に反応性が高く還元性がある
- 特有の炎色反応を示す → リアカー無きK村
- 単体は「融解塩電解」で精製する
<ナトリウムの単体の性質>
- 反応性が高いため石油中に保存
- 水より軽い
- カッターナイフで切れるほど柔らかい
- 融点が低く、97℃以上では液体金属
- 強い還元作用をもつので希少金属の精製に用いられる
<代表的なナトリウム化合物>
- 塩化ナトリウム → 食塩
- 水酸化ナトリウム → 強塩基性・潮解性
- 酸化ナトリウム → 塩基性酸化物
- 炭酸水素ナトリウム → 重曹・加熱するとCO2
- 炭酸ナトリウム → 十水和物は風解性
です!
アルカリ金属の性質、製法、覚え方、化合物… 全部まとめて知りたいー!