

周期表の族の中で「17族ハロゲン」と「18族希ガス」の次くらいにメジャーな「1族アルカリ金属」っていったいどんな物質なのでしょう?
この記事ではアルカリ金属単体がどのようなものかについて、分かりやすく解説します!
目次
アルカリ金属とは
アルカリ金属は1族の元素から水素を除いたリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)の総称です。

覚え方として、下のようなゴロ合わせがあります!
リッチな母ちゃん、ルビーせしめてフランスへ
(LiッチNaKあちゃん、RbーCsめてFrンスへ)
リナちゃん、クラブで腰を振る
(LiNaちゃんKRbでCsをFr)
単体は全て金属です。
しかしこれらの物質を金属の状態で目にすることはほとんどありません。
なぜなら反応性が極めて高いからです。
天然には海水中や鉱物中に化合物として存在します。
ではその「レア」な金属は一体どのような性質を持っているのでしょうか?
アルカリ金属単体:共通性質
1・融点が低く、柔らかい軽金属
アルカリ金属単体はどれも融点が低いです。
種類 | 融点(℃) |
リチウム | 179 |
ナトリウム | 97.8 |
カリウム | 63.5 |
ルビジウム | 38.9 |
セシウム | 28.5 |
またどれも柔らかくナイフで簡単に切れます。

2・1価の陽イオンになりやすい
アルカリ金属は価電子が1つしかなく結合力も弱いので、この電子を容易に手放し1価の陽イオンになります。
つまりイオン化傾向が強いのです!
メジャーな金属のイオン化傾向を強い順に並べた『貸そうかな、まああてにすんなひどすぎる借金』というリストでも一番初めにアルカリ金属のカリウムが、3つ目にナトリウムが出てきますね!
K, Ca, Na, Mg, Al, Zn, Fe, Ni, Sn, Pb, H, Cu, Hg, Ag, Pt, Au
3・非常に反応性が高い
導入部で述べた「反応性が高い」という性質も、「電子を失いやすい」ことに関係しています。
電子を失いやすいということは「酸化されやすい」ということです。
したがって空気中の酸素によってすみやかに酸化され、酸化物になります。
4K + O2 → 2K2O
4Na + O2 → 2Na2O
また水とは激しく反応し水酸化物になります。
2K + 2H2O → 2KOH + H2↑
2Na + 2H2O → 2NaOH + H2↑
4・特有の炎色反応を示す
アルカリ金属の単体やイオンは特有の炎色反応を示します。

アルカリ金属の炎色反応の色は
リアカー無きK村
(Li赤、Na黄、K紫)
と覚えましょう!
5・単体は「融解塩電解」で精製する
化合物からアルカリ金属の単体を取り出す方法は「融解塩電解」です。
高温にして融解させた化合物を直接電気分解する方法です。
たとえば金属ナトリウムを取り出すためには、塩化ナトリウムを摂氏800度まで加熱して溶かし、これに電圧をかけて電気分解します。
すると正極側からは塩素ガスが、負極側からは金属ナトリウムが発生するのです。
アルカリ金属にこのような性質が生まれる理由や、塩化ナトリウムの融解塩電解について詳しく知りたい人は、こちらの記事を読んでみてください!
アルカリ金属単体:個別の性質
それぞれのアルカリ金属単体の性質をリストアップしました!
リチウム(Li)
銀白色の柔らかい金属
密度が全金属の中でもっとも小さい(0.524 g/cm3)
融点は179℃
携帯電話や電気自動車などに用いられる小型の充電池として「リチウムイオン電池」が広く用いられます。
炎色反応は「赤」で、花火で赤色を出すためにも使われています。

ナトリウム(Na)
銀白色の柔らかい金属
密度が全金属の中で3番目に小さい(0.970 g/cm3)
融点は98℃
反応性が非常に高く空気中の酸素や水分と反応してしまうため、石油中に保存します。
英語では「ソディウム」といいます。(「ナトリウム」はドイツ語)
炎色反応は黄色です。
街でよく見かける黄色の光を発する街灯やトンネル灯はこの色を利用しています。
工業的には「融解塩電解」によって生産されます。

塩化ナトリウムの融解塩電解について詳しく知りたい人は、こちらの記事も読んでみてください!
カリウム(K)
銀白色の柔らかい金属
密度が全金属の中で2番目に小さい(0.860 g/cm3)
融点は64℃
反応性が非常に高く空気中の酸素や水分と反応してしまう上、石油中に長期間保存すると爆発性のある過酸化物を生成するので、不活性な気体中か真空中に保存します。
英語では「ポタシウム」といいます。(「カリウム」はドイツ語)
炎色反応は紫色です。
カリウムイオンは植物の成長に欠かせないため、肥料の三要素の1つに数えられます。
しかし単体は非常に反応性が高く危険なので、肥料には「塩化カリウム」などの化合物が用いられます。

ルビジウム(Rb)
銀白色の極めて柔らかい金属
融点は39℃
ナトリウムやカリウムよりも反応性が強く、空気中で自然発火します。
消防法により「危険物」に指定されています。
セシウム(Cs)
黄色がかった銀色をした非常に柔らかい金属
融点は28℃で、金属の中では水銀の次に低いです。
ルビジウムと同様、空気中で自然発火するため消防法により「危険物」に指定されています。
フランシウム(Fr)
自然界で発見された最後の元素
地球の地殻中には合計でわずか30gほどしかありません(!)
しかも放射性があり、半減期が「22分」と短いため性質はよく分かっていません…。
まとめ
この記事ではアルカリ金属単体の「重要ポイント」を確認しました。
アルカリ金属は
- リチウム(Li)
- ナトリウム(Na)
- カリウム(K)
- ルビジウム(Rb)
- セシウム(Cs)
- フランシウム(Fr)
の6元素です!
アルカリ金属単体の共通性質は
- 融点が低く、柔らかい軽金属
- 1価の陽イオンになりやすい
- 非常に反応性が高い
- 特有の炎色反応を示す
- 単体は「融解塩電解」で精製する
です!
アルカリ金属単体の個別の性質の中で特に重要なのは
- ナトリウムは反応性が高いので石油中に保存する
です!
ここまでアルカリ金属の単体をまとめてきました。
アルカリ金属の性質やアルカリ金属の反応性など大学受験でも重要なポイントが非常に多かったですよね。
ぜひ何度も復習しにこの記事に戻ってきてください。
ほかにもアルカリ金属の『水酸化物』についてまとめました。圧倒的によく出る水酸化ナトリウムの性質も徹底的にまとめました。
こちらもアルカリ金属単体以上に重要ですので、気になる方は以下の記事もご確認ください!