【複塩】ミョウバンとは?その性質や製法・用法まで簡単にわかりやすく徹底解説!

ミョウバン

どうも、化学受験コーチわたなべです。

しょうご
ミョウバンの溶解度は温度によって大きく変わる…? 水溶液は酸性…? いったいなんでだー!?
受験化学コーチわたなべ
ミョウバンは複塩という非常にユニークな物質だから、面白い性質を持つんだ!
しょうご
どっ、どういうこと!? わたなべコーチ、詳しく教えてー!

ミョウバンは中高の化学実験で広く使われ、受験にも度々登場します。

その理由は、他の物質には無いユニークな性質を持つから。

この記事ではそんなミョウバンの性質を、徹底的に分かりやすく解説します!

ミョウバンとは?

ミョウバン 結晶
しょうご
そもそも「ミョウバン」って何!?

まずはミョウバンとは一体どういう物質なのかを確認しましょう!

ミョウバンとは3価の陽イオンの硫酸塩、1価の陽イオンの硫酸塩、そして12分子の水和水から構成される塩のことです。

また、ミョウバンのように2種以上の塩が一定の割合で結合した塩を複塩といいます。

ミョウバン

カリミョウバン:AlK(SO4)2•12H2O

アンモニウムミョウバン:AlNH4(SO4)2•12H2O

鉄ミョウバン:FeK(SO4)2•12H2O

上の代表的な3つをはじめ色々な種類のミョウバンがありますが、単に「ミョウバン」と言う場合は普通「カリミョウバン」を指します。

結晶構造は下の図のように、[Al(H2O)6]3+と[K(H2O)6]+が格子状に並んだ隙間をSO42-が埋める形です。

ミョウバン 結晶構造興味深いのは、アルミニウムイオンがもつ水和水とカリウムイオンがもつ水和水が全く異なる状態にあること。

価数の大きい陽イオンの方が水和水を引き寄せる力が強いので、3価のAl3+はH2O分子との間に配位結合を形成し、錯イオンとなります。

一方、1価のK+の水和水は結晶格子の隙間を埋めているだけの状態です。

同じく複塩の「さらし粉」についての記事もあるので、複塩について知識を深めたい人はこちらも読んでみて下さい。

 

ミョウバンの性質

熱すると、白色粉末になる

焼きミョウバン
しょうご
「焼きミョウバン」ってよく聞くけど「ミョウバン」と何が違うの!?

ミョウバンを熱すると水和水が失われ、白色粉末のAlK(SO4)2になります。

この無水物が「焼きミョウバン」と呼ばれるもので、食品添加物として市販されています。

 

水に溶けて弱酸性を示す

しょうご
ミョウバンはAl(OH)3とKOHをH2SO4で中和して出来た塩なんだから、水溶液は中性じゃ無いの?

ミョウバンが弱酸性を示すのは、アルミニウムイオンの加水分解によるものなのです。

上でも述べた通り、3価のAl3+は水和水のH2O分子を強く引きつけます。

しかし、分子全体を引きつけているのではなくO-H結合を作っている共有電子対を引っ張るのです。

その結果、O-H結合が弱くなりH+が放出されるので酸性になる、というメカニズムです。

[Al(H2O)6]3+  ⇄  [Al(OH)(H2O)6]2+  +  H+

 

温度による溶解度の変化が大きい

ミョウバン 溶解度曲線
しょうご
なんでミョウバンの溶解度って温度によってこんなに変わるの!?

ミョウバンの水への溶解は吸熱反応のため、温度を上げて熱エネルギーを与えれば与えるほどよく溶けるのです。

一方、食塩の水への溶解はほとんど熱エネルギーを必要としないので、温度を上げても下げても溶解度は上のグラフのようにほとんど変化しません。

 

ミョウバンの製法

天然では明礬石(みょうばんせき)として産出する他、日本ではかつて温泉成分から精製されていたそうです。

工業的には、ボーキサイトを硫酸処理して作った硫酸アルミニウム溶液に硫酸カリウムを加えることで作られています。

Al2(SO4)3 + K2SO4 → 2AlK(SO4)2

 

ミョウバンの用法

水道の浄水

浄水場

ミョウバンは電離して価数の大きなアルミニウムイオン(Al3+)を生じるため、負の電荷をもつ泥のコロイド粒子を凝析させるのにうってつけ。

浄水場で濁った水を綺麗にする「清澄剤」として利用されています。

「コロイド? 凝析?」と思った人。復習のチャンス!ぜひこの記事も読んでみて下さい。

 

食品添加物

ウニ

ナスなどの色素はアントシアニンという物質。液性によって色が変わるのが特徴です。

でもナスを食べる時には、元のナス色のままの方が美味しそうですよね?

そこでナスで漬物等を作る時に加えられるのが、ミョウバン。

アルミニウムイオンがアントシアニンと錯塩を形成するので、液性が変わっても変色しなくなります。

またミョウバンが不可欠なのは、高級食材のウニ。

採取したウニは時間が経つと溶けてしまうのですが、ミョウバンを加えるとウニのタンパク質が凝固し型崩れしなくなるのです。

漁港から遠く離れた場所でウニの軍艦巻きが食べられるのは、ミョウバンのおかげだったんですね。

 

デオドラント(防臭)

ミョウバン 防臭

人間の体臭を作り出す物質のうちの一つが「アンモニア」。

あの刺激臭がする気体です。

塩基性であるアンモニアの匂いを消すためには、酸性の物質で中和するのが一番。

しかし体につけるのですから、人体に無害な物質を選ばなくてはなりません。

そこで白羽の矢が立ったのが、水に溶けて酸性になるミョウバン。

食品添加物に使われるくらいなので、安心して体につけることが出来ますね。

 

染色の媒染剤

ウール 染料

繊維に色をつけるためには染料に加え、染料を固定するための媒染剤が必要です。

ミョウバンはこの媒染剤としても広く使われています。

アルミニウムイオンが染料の分子と配位結合し安定した錯体を作るので、色が繊維中にしっかりと留まるのです。

 

結晶作り

ミョウバン 結晶

ミョウバンの溶解度が温度によって大きく変わることを利用して、結晶作りの実験がよく行われます。

温度による溶解度の差を上手に使うと、正八面体をした無色の結晶を作ることができます。

しかしカリウムイオンは水和水と強く結合しているわけでは無いので、できた結晶を長時間空気中に放置しておくと…

ミョウバン

水和水が蒸発=風解するため、上の写真のように表面が白く濁ってしまいます。

密閉容器に入れ「乾燥させないこと」が水和水を保ち、綺麗な結晶を維持するヒケツです。

風解について詳しく知りたい人は、こちらの記事も読んでみて下さい。

 

まとめ

この記事ではミョウバンについて徹底解説しました。

  • ミョウバンは硫酸アルミニウムと硫酸カリウムの錯塩の12水和物
  • 熱すると水和水を失い焼きミョウバンになる
  • 水に溶けると加水分解により弱酸性を示す
  • 水への溶解が吸熱反応のため、温度を上げると溶解度がかなり大きくなる