鉄の単体を溶鉱炉、転炉から取り出す方法まとめ

鉄 単体 コ鉄 一酸化炭素 鉄鉱石 溶鉱炉ークス

こんにちは。

 

この鉄というのは無機化学で非常に重要な金属で、鉄の単体を取り出す製法も良く出題されます。

 

なので、流れ、反応式、また各段階で出てくる物質の名前をキッチリマスターしていきましょう!

 

意外と途中で出てくる名前とかが出題されたりもしますので、キッチリ抜けの無い知識を手に入れていきましょう!

目次

鉄は一酸化炭素によって還元して生成する

鉄と言うのは自然界で単体であるわけではなく、(あれば苦労はしない、、)鉄鉱石として存在します。
鉄 単体 コークス 鉄鉱石

このような鉄鉱石の形で自然界に存在します。この中の酸化鉄から鉄を単離します。

鉄は酸化物として存在していますので(Fe2O3やFe3O4)これを還元する還元剤が必要です。

その還元剤はCO(一酸化炭素)です。というのも、COは不安定です。だから酸素と結合してCO2になりたくて仕方がありません。

 

つまり酸化鉄とおなじばしょに入れると、
鉄 単体 コ鉄 一酸化炭素 鉄鉱石 溶鉱炉ークス
と言うように酸化鉄から酸素を奪っていきます。
このようにして鉄が単離されます。それでは実際工業的にどのように鉄が単離されていくのか、をきっちり学んでいきましょう。

①鉄鉱石・コークスを溶鉱炉に入れる

こちらは、溶鉱炉と言います。
鉄 単体 コークス
このようにうえからまず鉄鉱石、石灰石(CaCO3)、コークスを入れます。
コークスというのは、石炭を融解させ、ある程度不純物を取り除いた黒色の炭素の塊だと思ってください。
鉄 単体 コークス

まず二酸化炭素を作ります。

 

「あれ?一酸化炭素じゃ無いの?」
と思われると思いますが、二酸化炭素よりも一酸化炭素を作る方が難しいのです。

 

 

C→CO2→CO

 

という順番で作っていきます。
まず、コークスのCが燃焼されてCO2が発生します。コークス以外にも石灰石のCaCO3の熱分解反応からもCO2は生成できます。
CaCO3→CaO+CO2
という反応が起ります。
この後、
CO2+C→2CO
という反応が起ります。

 

これは、CとCO2の酸化数がそれぞれ0と+4なので、この2つを酸化還元反応すると、その間の+2に両方とどまるのが自然だよね!っていう反応です。
鉄の精錬 単体 溶鉱炉

鉄の精錬 単体 溶鉱炉
コークス(C)の一部が燃焼し、CO2に、でまだ反応していないコークスとCO2が酸化還元反応をする事でこの反応の主役である、COを生成できます。
このCOは還元剤としてFe2O3を還元していきます。

②酸化鉄の還元の様子

酸化鉄というのは、実は2種類あります。

酸化鉄に関してはこちら

酸化鉄には赤鉄鉱と磁鉄鉱があります。
鉄鉱石はこの2つが混ざっており、Fe2O3は、赤鉄鉱で、酸化数は+3です。
しかし、磁鉄鉱のFe3O4は、酸化数が8/3という意味不明なものになります。

実は、これはFeO+Fe2O3の足し算だと考えてください。
FeOの酸化数は+2です。赤鉄鉱に比べると、還元されています。なので赤鉄鉱をある程度還元すると磁鉄鉱になります。
このように
Fe2O3→Fe3O4(FeO+Fe2O3)→Fe
という順番で還元をしていきます。

ということで、この反応式は、

3Fe2O3+CO→2Fe3O4+CO2
これは未定係数法によって係数を決定しました。
また次の、
Fe3O4+CO→3FeO+CO2
という反応が起ります。
そして、
FeO+CO→Fe+CO2
の反応がおこります。
また少数派ではありますが、Fe2O3をCが直接還元すると言うパターンもあります。

Fe2O3+3C→2Fe+3CO
の反応が起ります。
このようにして溶鉱炉にて出来た鉄を銑鉄と言います。

溶鉱炉 銑鉄

ちなみに銑鉄は語句で聞かれるので覚えておいてください!

 

できたての銑鉄は、炭素が4%ほど不純物として混ざっています。これによって鉄本来の展性延性が出ません。
なので、この銑鉄の純度をあげていかなければなりません。

 

 

③銑鉄を転炉に入れる

転炉 鋼
転炉に溶かした銑鉄を入れ、そこに酸素を加えて不純物を酸化させます。C,S,Pなどの不純物を除く事が出来ます。

 

 

こうして得られた純度が高い鉄の単体の事をと言います。これは「はがね」と読めますが、一般的に高校化学では「こう」とよみます。

 

 

 

 

その他の鉄の単体の製法

この方法以外に鉄の単体を取り出す反応があります。

 

それが『テルミット反応』です。
テルミット反応とは、アルミニウムの単体を用いて酸化鉄を還元する方法です。

アルミニウムを踏み台にして、鉄の単体を取り出します。
テルミット反応
このようにして、テルミット反応はアルミニウムの強力な還元能力により、酸化鉄から鉄の単体を取り出す事が出来るのです。

 

 

鉄の精錬は日常に非常に密接している分非常に古くから行われています。入試でも鉄のその他の性質と共に問われるためキッチリ覚えておきましょう!

 



4 件のコメント

  • ふかし より:

    銑鉄、テストに出て答えられなかったのを思い出しました。
    段階がいくつもあり、テルミット反応、鋼、など用語もあり覚えずらかったのですが、分かりやすくまとめられていて、復習になりました。

  • 太郎 より:

    銑鉄を転炉で酸化する時に、銑鉄は酸化されないのですか?あと、不純物を酸化させると、炭素は二酸化炭素になって出ていくのですか?銑鉄の酸化についての説明が理解しにくかったので、詳しく教えていただきたいです。

  • ハチミツ より:

    CaOとSlO2の反応で不純物はスラグとなって出ると思うんですが、それでも取りきれなかった不純物を酸素を使って取り除いてくということですか?

  • ハチミツ より:

    スラグとして取り除いても取り除ききれない不純物を酸素を使って追い出していくということですか?

  • 太郎 へ返信するコメントをキャンセル

    ABOUTこの記事をかいた人

    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。