こんにちは。
鉄のメッキに関する話Fe関連の知識をどんどんつけて貰おうと思います。
メッキと言うのは、Feが腐食されるのを防ぐために塗られる物です。鉄単体を守るめっきのトタンやブリキに関して本記事ではまとめていきます。
目次
鉄のめっきとは?
鉄の単体はサビて赤サビ(Fe2O3)になりやすいんです。鉄は空気中に放置しておくとどんどん腐食されていきます。
鉄単体は空気に触れていたり、雨風を浴びるとどんどん錆びていってしまいます。
このような化学反応式で鉄は空気で酸化されてしまいます。なので、鉄をサビさせないために表面を守る膜を作るんです。
このように鉄がサビてしまうのを防ぐために、表面にコーティング加工をすることを「めっき」と言います。
そしてこのめっきの中で鉄を覆うメッキには2種類あります。それがトタンとブリキです。トタンとブリキでは用途が異なります。
そして、メッキする金属の種類によってそのメッキの仕方の名前が異なります。
トタンとブリキ
トタンとは
鉄の表面に亜鉛をめっきしたものをトタンと呼びます。
トタン屋根とか言われますよね。
鉄と亜鉛を比べると亜鉛の方がイオン化傾向が大きいです。なので亜鉛がサビるので普通の鉄よりもトタンの方が表面的にはサビやすいです。
一方で、トタンに傷がつくと鉄の単体よりも腐食に強いのです。イオン化傾向がZn>Feですよね?
例えば、雨水がトタンの傷がついた部分に溜まったとして、鉄よりも酸化しやすい亜鉛が先にイオン化して腐食されます。
亜鉛がどんどん身代わりになるおかげで鉄自体は溶け出すことなく守られるのです。
亜鉛が鉄の身代わりとしてどんどん酸化されてくれるんです。
このように鉄の代わりに亜鉛がサビてくれるのです。だから大事な鉄自体はサビないわけです。
「イオン化傾向が大きい」と金属は電子を投げやすいということです。電子を投げるのは酸化還元でいうと「還元剤」にあたります。
還元剤は『相手を還元する』ので、酸化されやすいです。この辺りの説明がすんなり受け入れられない場合は、まだ酸化還元の定義がみっちり身に付いていない可能性があります。
以下の記事で一番大事な『酸化剤と還元剤』を使った酸化還元の定義をマスターしておいてください。
ブリキとは?
ブリキは鉄にスズ(Sn)をめっきしたものです。
ブリキのおもちゃとか言われますよね。
鉄と亜鉛を比べるとスズの方がイオン化傾向が小さいです。つまり、表面を鉄よりもイオン化傾向が小さい(サビにくい)もので覆っているので、鉄の単体よりもサビにくいのです。
一方でもし傷がついてしまうと、ブリキはもろいです。Snはイオン化傾向が小さいので鉄が露出したら、鉄がどんどん酸化されます。
ピンチに弱いタイプです。
なので、傷がつく前は鉄の単体やトタンよりも腐食に強いですが、傷が着くと鉄の単体よりも弱いのがブリキの特徴です。
トタンとブリキを比較して用途を理解する
ここで一度おさらいです。トタンとブリキの強度をまとめておきます。
トタン | ブリキ | |
傷なし | 腐食されやすい | 腐食されにくい |
傷あり | 腐食されにくい | 腐食されやすい |
ブリキは普段からイケイケで調子が良いけど、一度失敗するとなかなか立ち直れないタイプです。一方トタンは普段のんびりしてるけどピンチには力をはっきして粘り強さを発揮するタイプです。
これらの特徴からトタンとブリキの用途を考えていきます。
トタンの用途
傷がついた時には鉄の代わりにZn(亜鉛)が腐食してくれます。鉄の代わりに亜鉛が腐食されます。
トタンは「傷がつくまではブリキより弱い」だけど、「傷がついたら亜鉛が鉄の身代わりになる」ので、屋根なんかで使われます。
トタン屋根とかよく言われますよね。これがトタンです。
ブリキの用途
ブリキは傷がつかない間はトタンよりも腐食に強いです。一方で傷がつくと鉄が普通よりも腐食されやすいです。
なので、屋根のような鉄が腐食して崩れてしまうと危険なものには使われません。なのでブリキはおもちゃなど装飾品に使われます。
ブリキのおもちゃとかって聞いたことありませんか?上のような画像のおもちゃなどは、アンティーク商品として、昔のものでも意外と錆びずに綺麗に残っていることが多いです。
これは『傷がつかない限り強い』ブリキの特徴が表れています。
- 傷がついてから腐食に強いトタンは『屋根』などに使われる
- 傷がつく前が腐食に強いブリキは『装飾品』などに使われる
トタンとブリキを語呂合わせで覚える方法
このようにトタンとブリキを理解したとしても、どっちが亜鉛のメッキでどっちがスズのメッキだったか忘れてしまいそうになります。
そんな人には次の語呂を作ったので、こちらで覚えてみてください。
会えた(亜鉛)途端(トタン)にぶりっ子(ブリキ)すん(Sn)な
会えたとたんに態度急変してぶりっ子をする人を思い浮かべてください!
トタンとブリキはイオン化傾向を手がかりに理解できるので比較的覚えやすいです。このような組み合わせを覚えるときはとっとと『語呂』を使うのがおすすめです。
このような金属のペアを覚えなければならないモノには、「合金」があります。
なんて覚えるのは非常に難しいですよね。なのでこのような合金もゴロを使って暗記していきましょう。
ぜひこちらも読んでみてください。
まとめ
- トタン=鉄に亜鉛をめっきしたもの
- ブリキ=鉄にスズをめっきしたもの
トタン | ブリキ | |
傷なし | 腐食されやすい | 腐食されにくい |
傷あり | 腐食されにくい | 腐食されやすい |
このように傷つくまではブリキの方が腐食に強くて、傷がつくとトタンの方が腐食に強いです。
だから、ブリキは装飾品等に使われて、トタンは屋根などの実用的な物に使われるます。
またこのトタンとブリキの覚え方は以下のゴロを使いましょう。
会えた(亜鉛)途端(トタン)にぶりっ子(ブリキ)すん(Sn)な
このように無機化学を理論化学や化学基礎を使ったり、語呂を使ったりして覚えやすく覚える方法をメルマガで公開しています。
会えた(亜鉛)途端(トタン)にぶりっ子(ブリキ)すん(Sn)な
めっきだけでなく、合金も金属の組み合わせと名前を覚える必要があります。この合金の覚え方も「合金まとめ〜語呂で簡単に覚える方法〜」にまとめましたので、こちらをぜひ参考にしてみてください。
「ブリキの用途」の写真は「Sn2+」ではなくて「Fe2+」ではないでしょうか?
すみません。
間違っておりました。
ご連絡ありがとうございます。
↓以下画像に差し替えました↓