先日ハロゲン化銀の沈殿反応を解説した記事にこのようなコメントが来ました。
AgFだけが沈殿を生じない理由がわかって非常に感謝しています。ですが、ハロゲンとカルシウムの塩はフッ化カルシウムのみが沈殿するというのが新たな疑問として湧いて来てしまいました…何故、今度はフッ化物のみが沈殿してしまうのでしょうか?
確かに、気にしていなかった!
ということでこのハロゲン化銀はフッ化銀だけ
まずは、必ずハロゲン化銀に関する記事を読んでおいてくださいね!
目次
銀とカルシウムの決定的違い
銀とカルシウムはイオン化傾向がまるで違います。
イオン化傾向は、金属が陽イオンになりやすさを表しています。陽イオンになりやすいということは、電子がそれほど好きじゃないということです。
なので、イオン化傾向が大きい≒電気陰性度が小さいといえます。
イオン化傾向の順番は、
K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>H>Cu>Ag>Pt>Au
そして、カルシウムと銀はもはや端っこ同士、最も大きい部類と最も小さい部類に別れます。
カルシウムはイオン化傾向が大きく、銀は小さいのです。これすなわち、カルシウムは電気陰性度が小さく銀は大きいのです。
なぜフッ化カルシウムのみ水に溶けないのか?
ハロゲン化銀でフッ化銀だけ水に溶ける理由は、
ハロゲン化銀の記事を見てもらった通り、
電気陰性度の差が2.0以上かどうか?
ということでした。
ということで、このカルシウム塩でもハロゲンとカルシウムの電気陰性度の差を考えていきましょう。
CaF2 | CaCl2 | CaBr2 | CaI2 | |
溶解性 | 不溶 | 溶 | 溶 | 溶解 |
電気陰性度 | 3.0 | 2.0 | 1.8 | 1.5 |
ハロゲン化カルシウムは殆ど水の電気陰性度差1.6近くありますので水に溶けます。ただ、フッ化カルシウムだけ以上に電気陰性度差が大きいのです。
似ている物同士が溶けるのです。フッ化カルシウムのように、3.0は水の電気陰性度差よりも遥かに大きすぎているのです。
水に溶けるかどうかは、ただ単に極性があるなしだけでなく、水の電気陰性度差に近いことが重要であり、電気陰性度差が大きすぎても、小さすぎてもダメなのです!
まとめ
ハロゲン化銀では、フッ化銀だけ水に溶けるのに、ハロゲン化カルシウムでは、フッ化カルシウムだけ水に溶けないのは、
フッ化カルシウムの電気陰性度差だけ水の電気陰性度差よりはるかに大きいから!です。
疑問が晴れて本当に良かったです!!ありがとうございました
電気陰性度の差が大きすぎても水に溶けないんですね!勉強になります!
電気陰性度差が大きいとイオン結合性が大きくなって溶けそうな気がしてしまいます