どうも、化学受験コーチなかむらです。


酸化カルシウム(CaO)は工業や農業の分野における重要な物質ですが、化学の世界では気体の乾燥剤としても広く用いられます。
酸化カルシウムはどのように吸湿し、またどのような気体の乾燥には適さないのでしょうか?
この記事では、酸化カルシウム=生石灰の乾燥剤としてのはたらきを徹底解説します!
生石灰と消石灰の違いなど、石灰の種類について詳しく知りたい人は、こちらの記事も読んでみて下さい。
目次
酸化カルシウムってどんな物質?

酸化カルシウムはカルシウムイオン(Ca2+)と酸素イオン(O2-)が1:1の割合でイオン結合した物質です。
組成式はCaO。
水に溶けて塩基性を示す白色の粉末で、炭酸カルシウムの加熱によって生成します。
CaCO3 → CaO + CO2
酸化カルシウムが吸湿する仕組み
酸化カルシウムは、水と化合し水酸化カルシウムになります。
CaO + H2O → Ca(OH)2
この反応を利用し、水分を吸収させるのですね!
また、この反応は発熱反応であり大量の熱を生じるため、取り扱いには注意が必要です。
ソーダ石灰と酸化カルシウムの違いは?

ソーダ石灰は酸化カルシウムの表面に水酸化ナトリウムをコーティングしたもの。
乾燥剤として酸化カルシウムとソーダ石灰があれば、ほぼソーダ石灰を使います。
水酸化ナトリウム(NaOH)は溶解度が高く優秀な乾燥剤なのですが、潮解性をもつため吸収した水の中に溶けてしまいます。
その時酸化カルシウムが水を吸い込んでくれます。
CaO + H2O → Ca(OH)2
そのためアンモニア(NH3)などの水への溶解度の高い気体の乾燥には、ソーダ石灰を用いるのです。

水酸化ナトリウムの潮解によって発生した水と酸化カルシウムが反応するため、アンモニアの水への溶解を防いでくれます。
ソーダ石灰についてより詳しく知りたい人は、こちらの記事を読んでみて下さい。
酸化カルシウムで乾燥できない気体

塩基性酸化物のの酸化カルシウムは、酸性の物質とは反応してしまいます。
そのため塩素(Cl2)、塩化水素(HCl)、硫化水素(H2S)、二酸化硫黄(SO2)、二酸化炭素(CO2)、二酸化窒素(NO2)など、酸性の気体の乾燥に用いることはできません。
酸性酸化物、中性酸化物、塩基性酸化物の違いがわからない人は以下の記事で確認してみてください。詳しく解説しています。
まとめ
・酸化カルシウムは「生石灰」とも呼ばれる。
・水と化合し水酸化カルシウムになる反応を利用し、気体の乾燥剤として用いられる。
・酸化カルシウムの表面に水酸化ナトリウムをコーティングした「ソーダ石灰」もよく使われる乾燥剤。
・塩基性の乾燥剤なので、酸性の気体の乾燥に用いることはできない。