【塩素のオキソ酸】次亜塩素酸・亜塩素酸・塩素酸・過塩素酸の違いを徹底的に解説してみた!

塩素のオキソ酸

どうも、受験化学コーチわたなべです。

しょうご
塩素酸と過塩素酸の違いが分かんないよー!
受験化学コーチわたなべ
塩素のオキソ酸のうち、もっとも安定な化合物が塩素酸(HClO3)だ。それに酸素原子がもう一つ過剰にくっつくと、塩素酸(HClO4)になる。
しょうご
じゃあ次亜塩素酸と亜塩素酸の違いは??
受験化学コーチわたなべ
塩素酸(HClO3)より酸素原子が一つ少ないのが、塩素酸(HClO2)で、2つ少ないのが次亜塩素酸(HClO)だ!

酸素を含む酸=オキソ酸のうち、ややこしい名前を持つのが塩素のオキソ酸たち。

そしてさらにややこしいのは、酸の強さと酸化力の強さの関係が逆になることです。

でも「なぜそうなるのか」をしっかり理解すれば、もう迷うことはありません!

この記事では塩素のオキソ酸である次亜塩素酸・亜塩素酸・塩素酸・過塩素酸について徹底的に解説します。

オキソ酸全般についてしっかり確認したいという人は、まずこの記事から読んでみてください。

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塩素のオキソ酸の化学式と構造式

まずはそれぞれがどのような構造を持つ物質か確認していきましょう。

化学式で書くと次亜塩素酸・亜塩素酸・塩素酸・過塩素酸はそれぞれHClO・HClO2・HClO3・HClO4となるのですが、構造式では原子はこの順になりません!

酸素原子(O)一つが必ず水素原子(H)と塩素原子(Cl)の間に入り、ヒドロキシ基(-OH)を作るので注意してください。

塩素のオキソ酸:構造式

 

塩素のオキソ酸の命名法

塩素(Cl)は複数の酸化数(7, 5, 3, 1, −1)を取ることができるため、塩素の酸化物にも、酸化物に水を加えてできる塩素のオキソ酸にも、複数の種類があります。

そこで区別のため、もっとも安定しているHClO3に基準となる名称の「塩素酸」が与えられました。

その上で、塩素酸よりも1つ酸素を多く持つHClO4は、「多すぎる」という意味をもつ「過」を頭につけて「過塩素酸」と、

1つ酸素を少なく持つHClO2は、「少ない」という意味をもつ「亜」を頭につけて「亜塩素酸」と、

酸素が2つ少ないHClOは、「亜」の前に「次」もつけて「2つ少ない」という意味を持たせた「次亜塩素酸」と命名したのです。

名称 次亜塩素酸 亜塩素酸 塩素酸 過塩素酸
化学式 HClO HClO2 HClO3 HClO4
Clの酸化数 +1 +3 +5 +7

 

塩素のオキソ酸の酸性の強さと酸化力の強さ

塩素のオキソ酸は、結合する酸素の数が多くなるほど強酸になります。

しかし、酸化力は逆に弱くなっていくのです。

名称 次亜塩素酸 亜塩素酸 塩素酸 過塩素酸
化学式 HClO HClO2 HClO3 HClO4
酸性の強さ 弱    <<<<     強
酸化力の強さ 強    >>>>     弱

これは一体なぜなのでしょう?

結合する酸素原子が増えるほど酸性が強くなる理由

ではまず「なぜ結合する酸素原子の数が増えるほど酸性が強くなるのか」について解説します!

塩素のオキソ酸:電子式

これを理解するのに有効なのは電子式。(分かりやすくするために、色分けしてあります。)

4つの塩素のオキソ酸のうち、唯一の弱酸である次亜塩素酸の電子式を拡大するとこうなります。

次亜塩素酸

共有結合によってHは2つ、OとClは8つの電子を持ち、最外電子殻が満たされています。

ではなぜ、これ以上酸素が化合できるのでしょう?

実は2つ目以降の酸素原子は共有結合ではなく、配位結合しているのです!

配位結合は互いに電子を出し合うのではなく、相手のいない非共有電子対を勝手に乗っ取る結合。

酸素原子を4つ持つ過塩素酸の電子式はこちらになります。

過塩素酸

もうすでに最外殻が満たされていた塩素原子の周囲に、3つの酸素がくっついてきていますね!

さらにここで重要になってくるのは電気陰性度の差。

塩素の電気陰性度(3.2)よりも酸素の電気陰性度(3.4)の方が大きいので、酸素は乗っ取った共有電子対を自分の方に引き寄せます。

なんという厚かましさ!

庭でバーベキューしてたらDQNが乱入してきて、肉いっぱい食べられちゃった感じですね!

バーベキュー

せっかく三人で楽しくBBQしてたのに…

 

たまらないのは塩素原子、取られた電子対は取り返せないのでそれまで仲良く共有していた電子対を自分の方に引き寄せます。

さらにヒドロキシ基の共有電子対までも引き寄せるため、一番しわ寄せがいくのが水素原子。

電子を共有することをあきらめ、水素イオンとなって出て行ってしまうのです。

水素イオンをたくさん放出するほど酸としては強くなるので、酸素原子を多く持つオキソ酸ほど強酸になるというわけです。

 

結合する酸素原子が増えるほど酸化力が弱くなる理由

酸化力は酸の強さではなく、どれだけ水素を奪う力が大きいかで決まります。

酸としては弱い次亜塩素酸の酸化力が最大になるのは、不安定な物質で下の式のように他の物質から電子を奪い容易に水と塩化物イオンに分解するため

HClO + H+ + 2e → Cl + H2O

しかし配位結合する酸素が増えると、酸としての強度が増す反面陰イオンの安定性が増すので分解しにくくなり酸化力は弱くなっていくのです。

 

まとめ

次亜塩素酸・亜塩素酸・塩素酸・過塩素酸の違いは分かって頂けましたか?

おさらい
  • すべて塩素のオキソ酸。
  • 化学式で表すと次亜塩素酸はHClO、亜塩素酸はHClO2、塩素酸はHClO3、過塩素酸はHClO4
  • 酸性は、結合する酸素が多いほど水素イオンが電離しやすくなるため強くなる。
  • 酸化力は、結合する酸素が多いほど陰イオンが安定化し電子を奪って分解しなくなるので弱くなる。