こんにちは。
「炭素」と「酸素」によって構成される一酸化炭素。CとOって電気陰性度の差が十分あるので極性ができて水に溶けそうですよね?
本記事では、「一酸化炭素が水に溶けない理由」を紹介します。ぜひ最後までご覧になってください。
目次
一酸化炭素ってどんな物質?
一酸化炭素は無色透明・無臭、空気とほぼ同じ重さをもつ気体。水に溶けにくい性質をもっています。また、強い還元作用を示し、酸化した金属の還元剤として使用されます。
「一酸化炭素中毒」という言葉がある通り、一酸化炭素は強い毒性を持っています。
一酸化炭素はヘモグロビンと結びつきやすい性質をもっており、酸素の約250倍といわれています。
血液の中に入り込むと、ヘモグロビン内のヘム鉄に炭素が引き寄せられて結合。酸素がヘモグロビンと結合できなくなり、酸素が体内に運ばれなくなってしまいます。
一酸化炭素が水に溶けない理由|ほぼ無極性だから
一酸化炭素が水に溶けない理由は、水が極性なのに対して、一酸化炭素がほぼ無極性だからです。
一酸化炭素はほぼ無極性の溶質なので、極性溶媒の水には溶けにくいです。
- 極性溶媒(水など)には極性物質(イオンや強酸強塩基など)が溶けやすい。逆に無極性物質は水に溶けにくい。
- 無極性溶媒(有機溶媒)には無極性物質(二酸化炭素や
水は極性溶媒であり、極性物質は水によって溶けたり溶けなかったりする。
水に溶ける現象(水和)について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください!
無極性分子が無極性溶媒に溶ける理由を知りたい人は以下の記事からご覧ください!
一酸化炭素が水に溶けにくいのは無極性に近い(厳密には無極性ではない)からです。
極性物質は極性溶媒に溶けやすくて、無極性物質は無極性溶媒に溶けやすい理由に関しては以下の記事で詳しく書きましたので、ぜひこちらをお読みください。
なぜ一酸化炭素は極性がとても弱いのか? 結論「配位結合」
一体なぜ、このような現象が起きてしまうのでしょうか?
結論としては、「炭素と酸素が、配位結合を起こしているから」です。では、順を追って説明していきます!
炭素と酸素は、以下のような電子配置をしています。
炭素と酸素は、それぞれ所有する非共有電子対を2個ずつ出し合って共有結合します。
この場合Oの最外殻電子が8個ありますよね。
一方でCの周りには6個しか電子がありません。
しかし、共有結合のみでは、炭素原子が「オクテット則(原子周りの電子が8個で安定すること)」を満たしていません。
そこで酸素は、所有している非共有電子対2個を炭素へ流します。
炭素は受け取った電子を使って、もう1つの結合を作り出すことができます。これが「配位結合」です。
配位結合によってどんどん電荷の差が小さくなっていきます。
電子の移動によって、炭素と酸素の電気陰性度の差が小さくなる。つまり「ほぼ無極性」になるのです。
これによって一酸化炭素はほぼ無極性なので、極性溶媒の水には溶けにくくなるのです。
まとめ
最後に、一酸化炭素が水に溶けない理由についてまとめて紹介します。
- 一酸化炭素は、ほぼ無極性だから水に溶けない
- 酸素の非共有電子対が炭素側へ移動し、炭素と酸素の電気陰性度の差が小さくになる(配位結合)
- 一酸化炭素の三重結合は、2つの「共有結合」と1つの「配位結合」から成り立っている
一酸化炭素が無極性に近い性質である理由は、配位結合が関係していることがわかりましたね。
今回の内容を参考に、一酸化炭素の性質について、しっかり復習しておきましょう!
水に溶ける現象(水和)について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください!
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