それでは接触法の流れや入試で出るポイントを学んでいきます!
この接触法は硫酸と言うめちゃくちゃ工業的に重要な物質を作るための製法です。
でも硫酸というのは、そう簡単には出来ません。というか自然界で簡単に出来てもらっては困ります。
(ちなみに金星では濃硫酸は簡単に出来るらしいです)
なのでなんとか大量に工業的に濃硫酸を作る方法を解説していきたいと思います。
目次
接触法の流れ
それでは接触法の流れを学んでいきましょう。
ざっくりとした流れとして
S→SO2→SO3→発煙硫酸→H2SO4
と言う順番で反応をしていきます。
接触法行程①S→SO2
接触法は、Sを酸化して硫酸を作っていく方法です。
これは普通の酸化です。
というわけでまずSを取り出さなければなりません。
現在は、Sは工業廃棄物から脱硫装置によって硫黄を取り出す事に成功しているため、Sはまかなえます。
そこで、S+O2→SO2という反応が起ります。
しかし、昔は黄鉄鉱(FeS2)からSO2を取り出していました。
このFeS2ですが、ここからSO2を取り出す反応式が試験に出たこともあります。
4FeS2+11O2→2Fe2O3+8SO2
となります。
この反応式はFeとSを別々に酸化すると考えると良いです。
4Fe+3O2→2Fe2O3
鉄はこの反応が起りますし、
硫黄であるSは、
S+O2→SO2
の反応が起ります。
FeS2です。そしてFeが4既にあるので、Sの数は、2×4=8です。
8S+8O2→8SO2
を考えなくてはなりません。
これと鉄の式を合わせるとなんと見事に、
4FeS2+11O2→2Fe2O3+8SO2
に変化します。
この黄鉄鉱を酸化する事でSO2を得る事が出来ます。
接触法行程②SO2→SO3
次は、SO2を再び燃焼させてSO3にする反応ですが、
この反応はなかなか起りません。活性化エネルギーが高くて非常に起りにくい反応なので、
この反応には、触媒が必要になります。さらに高温高圧条件が必要になります。
この触媒にV2O5(五酸化バナジウム)が使われます。
接触法と絡めて語呂でこのV2O5を覚えましょう!
りゅうさん接触 鼻血ブー
(硫酸) (接触法)(V2O5
となります。
この触媒により
2SO2+O2→2SO3
の反応が起ります。
接触法行程③SO3→発煙硫酸
非金属の酸化物なのでこれは水と反応すると、H2SO4になります!
しかし、硫酸は非常に溶解熱が大きいです。なので水と反応させると蒸発してしまいます。
発熱して沸騰します。
こうなると霧状に蒸発した硫酸が当たりに散らばり非常に危険な状態になります。
なので、ここでSO3を濃硫酸に溶かします。
硫酸の製造に硫酸使うんか〜〜〜い!と突っ込みたくなりますが、
これは実験的に新しい物質を作りたいのではなく、硫酸を工業的に大量に生産したいと言う目的なので、
安く多くの濃硫酸を作れれば良いのです。
水ではなくSO3に溶かす事で、H2SO4に溶かすことで溶解熱を大幅にカットする事が出来ます。
SO3をH2SO4に溶かしたものを発煙硫酸と言います。
発煙硫酸は、SO3の蒸気を出すためこのような名前がついています。
また希釈した硫酸をつくっておき、発煙硫酸と混合します。すると、
このように濃度差が小さくなっています。だって、同じ溶液同士混ぜても反応はしませんよね?
まぜるな危険も違う者を混ぜるから反応してしまうのです。
だから、なるべく同じものを混合するためにSO3も水も濃硫酸に溶かしておくと言う事をします。
接触法行程④発煙硫酸から硫酸
この2つを混ぜると
SO3+H2O→H2SO4
の反応がなるべく発熱を抑えて行う事が出来ます。
これによって、硫酸を作る事が出来ました!!!
接触法で出題される計算問題
接触法では計算問題が出題されます。というか工業的製法はこの手の問題が多いです。
よくあるのが、
このような原料から目的物をどれくらい生成できたか?を問われる事はよくあります。
今回Sから硫酸は1:1で取れます。ということは、硫黄のモル=硫酸のモルと言うことです。
そして、今回硫黄もkgだし、硫酸もkgを求めるため、kmolを使います。求める硫酸をxkgとします。
硫黄のkmol=硫酸のkmolと言う式を立てました。
kを直さない事で大幅に式が楽になっています。
ということでx=100/32だけです。
x=3.13kgと言う答えになります。
いかがでしたか?硫酸を作る流れはわかったと思います!キッチリポイントを抑えておいてください!
硫酸に氷を入れたらどうなりますか?
溶解熱で溶けるんでしょうか?
ここの接触法とは全く関係ない話題ですが、どうやら冷えるみたいですよ。
「寒剤」って調べてみるといろいろ載ってると思います。
反応式を一つにまとめたものが欲しいです
2SO2+O2+2H2O→2H2SO4