どうも受験化学コーチなかむらです。
このような疑問をこの記事で解説していきます。
この記事では気体の捕集方法を詳しく解説しますが、結論として次の覚え方さえ覚えればOKです。
- 水上置換:中性気体
- 上方置換:塩基性気体
- 下方置換:酸性気体
この結論に向けて詳しく解説していきます。
目次
気体の捕集方法とは
気体の捕集方法は水上置換と下方置換、上方置換の3つあります。
集めたい気体の性質によって捕集方法を使い分けます。
捕集方法は以下の流れで選びます。
1.水に溶けやすいか溶けにくいか?
水に溶けにくい気体は水上置換を使って気体を捕集します。
水上置換は下方置換や上方置換に比べて他の気体が混ざりにくく捕集方法として優れています。
水上置換で収集した気体には水蒸気が含まれますが、水蒸気は乾燥剤で取り除けます。
関連記事:【高校化学】酸性・塩基性・中性乾燥剤の選び方と覚え方総まとめ
水に溶けやすいかどうかはその気体が極性分子か無極性分子かで決まります。
極性分子は水に溶けやすく水上置換を使えません。無極性分子は水に溶けにくく水上置換に使用できます。
2.空気より重いか軽いか
空気より重いか軽いかは空気より分子量が大きいかどうかで決まります。
空気は酸素20%窒素80%の混合気体です。次のように平均分子量を求めます。
空気の平均分子量28.8より大きいものは空気よりも重いので下方置換を使い、分子量が28.8より小さいものは空気よりも軽いので上方置換を使います。
水上置換
水上置換とは容器内の水を発生した気体で置き換えていく捕集方法のことです。
水上置換で収集するのに適した気体は水に溶けにくい気体です。(水に溶けない気体のことを中性気体といいます)
無極性の気体は水に溶けにくい傾向があります。
H2、N2、CO、NOなどなど。
水に溶けない気体は水上置換で捕集します。
水上置換で集めた気体は水蒸気が混ざってしまいます。
水上置換で集めた気体から水蒸気を取り除くため、乾燥剤に潜らせて水分を除いて純粋な気体を集めます。
一酸化炭素について以前質問をもらいました。
この答えとしては「配位結合」で極性が極めて小さくなっているからです。
詳しくは以下の記事でご確認ください。
下方置換
下方置換とは、空気より重い気体を容器の底に気体を導入指下方に溜めながら上から空気を追い出していく気体の捕集方法です。
下方置換で集める気体は水上置換を使えない空気より重い気体です。
CO2、HCl、Cl2、SO2、HF
あれ、フッ化水素(HF)って分子量20ですよね?
28.8の空気よりも軽いから上方置換で収集しないのですか?
いや、フッ化水素は下方置換であってるよ。この理由を解説していくよ。
フッ素は全ての原子の中で最強の電気陰性度を持ちます。
だからフッ化水素のHとFの間には電気陰性度の差が非常に大きいのです。
フッ化水素は分子なんだけど、δ+とδーの差が非常に大きいです。
+とーの差が大きいので分子同士が水素結合します。
こうして水素結合で分子同士がくっつきます。
フッ化水素は常温で二量体(HFが2個くっついたもの)になりますので、見せかけの分子量は20×2=40になります。
こうなると空気の分子量の28.8よりも大きくなります。
こういった理由でフッ化水素は下方置換で収集します。
フッ化水素について詳しい解説は以下の記事にまとめました。
上方置換
水に溶けやすい気体の中で、空気よりも軽い気体を上方置換で捕集します。
容器の中の空気をどんどん追い出して置き換えていきます。
水に溶けて空気よりも軽い気体はフッ化水素とアンモニアです。
フッ化水素は先ほど教えた理由で下方置換で捕集しますので、上方置換で捕集するのはアンモニアのみだと覚えてください。
【受験テクニック】気体の捕集方法の覚え方は「気体の液性」
水上置換:中性気体
下方置換:酸性気体
上方置換:塩基性気体
先ほどのフローチャート通りに気体の捕集方法を振り分けると、結果的に水上置換は中性気体、上方置換は塩基性気体、下方置換は酸性気体と覚えてOKになります。
まとめ
本記事では気体の捕集方法に関して解説しました。
いろいろ具体的に解説しましたが、受験では以下のように覚えてください。
- 水上置換:中性気体
- 上方置換:塩基性気体
- 下方置換:酸性気体
このほかにも気体の生成反応に関する記事をまとめています。
ぜひ合わせて読んでみてください。
【高校化学】酸性・塩基性・中性乾燥剤の選び方と覚え方総まとめ
【高校化学】気体の発生装置の全種類覚え方完全まとめ!加熱の有無で区別せよ!
どれも重要な気体の生成反応に関する知識です。
徹底的に読み込んで頭に入れて、人に説明できるくらいにしてみてください。
おっす