どうも受験化学コーチなかむらです。
このような気体生成反応の発生装置の疑問にお答えしていきます。
目次
気体の発生装置のポイント
気体の発生装置を考える上で重要なポイントは2つあります。
- 加熱の有無
- 反応の止め方
それぞれ解説していきます。
1.加熱の有無
気体の発生反応には加熱が必要なものと不要のものがあります。
加熱が必要なものと加熱が不要なものでは、実験器具も違います。
ですので、加熱の有無でも気体の発生装置は変わってきます。
2.反応の止め方
気体の生成反応では気体の発生を止める方法がないとダメです。
発生させる気体の中には有毒ガスも存在します。
有毒ガスが実験室に充満してしまうと中毒症状や体調を悪くなってしまう人が出てしまいます。
気体の発生装置を考える時に『どうやって反応を止めるか』は非常に重要なポイントです。
この2点を踏まえて実験装置を具体的に解説していきます。
加熱が必要なときに使う気体発生装置
試験管(固体+固体)
固体同士の気体生成反応でよく使われる装置です。
固体と固体の反応は加熱が必要です。
固体は融解しないと反応しません。化学反応はつぶつぶの組み合わせの変化ですから、一度バラバラにする必要があります。
「固体+固体」の気体生成反応では、以下のような試験管を傾けて加熱する気体発生装置を使用することが多いです。
試験管の口を下げる理由
なぜ試験管の口を下げるのかよく問われます。
理由は反応後に液体が生成されて、するお
例えば塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを加熱してアンモニアを生成する反応です。
上の化学反応式のように水が発生します。この水が加熱部分に流れ込むと、試験管が割れてしまう可能性があります。
水が発生すると加熱されている部分が急激に冷やされて試験管が割れてしまいます。これを防ぐために試験管の口は加熱部分より下げておきます。
丸底フラスコ(固体+液体)
固体と液体で加熱ありパターンの時は、丸底フラスコを使います。
と思うかもしれません。この理由は2つあります。
- 対流を起こすため
- 丸底フラスコは強度が均一だから
1.対流を起こすため
液体の場合上に暖かい部分が、下に冷たい部分が移動します。
これを繰り返しながら液体全体がだんだんと温まっていきます。これを対流といいます。丸底フラスコはこの対流が最も起こりやすい形なのです。
2.丸底フラスコは強度が均一だから
三角フラスコは強度に差があります。平な部分は弱いです。
丸底フラスコは丸いので強度に差がなく、加熱に使うことができます。
加熱不要なときの気体発生装置
加熱不要な時に使う実験器具は二又試験管、キップの装置、三角フラスコ+滴下ろうとの3つです。
加熱不要な固体と液体の組み合わせの時に主に使われます。
理由は加熱なしで反応する物質はいつまででも反応が続きます。
液体と固体が混ざっている間反応が進み続けます。
- 3つの気体発生装置は液体+固体の気体発生をコントロールすることができる
- 二又試験管とキップの装置は固体と気体を分離することができる
二又試験管(固体+液体)
二又試験管は加熱が不要な「固体+液体」の気体生成反応で使われる実験器具です。
固体を突起のある方へ、液体を突起のない方へ入れます。
反応させたい時は、二又試験管を傾けて液体を固体の方へ流し込みます。
反応を止めたい時は、液体を元に戻します。
このようにして二又試験管は反応させたり、反応を止めたりすることができます。
二又試験管の詳しい解説は以下の記事でまとめています。
キップの装置(固体+液体)
キップの装置は「固体+液体」で気体生成する反応で非常によく使われます。
キップの装置を使う理由は気体生成反応を途中で止めることができるからです。
ステップ0:栓が閉じられている状態
栓が閉じられていて、密閉空間になっています。
ステップ1:栓を開ける
栓を開けると密閉空間が解消されます。
固体と液体が触れて気体生成反応が起こります。
ステップ2:再度栓を締めると密閉空間になる
密閉したら発生した気体で充満していきます。
ステップ3:充満した気体が液体を押し上げる
発生した気体が液体を押し戻して、固体と液体が分離されます。
このように活栓を開けたり閉じたりすることで、気体の発生をコントロールすることができます。
キップの装置は使い方が特殊で、時々記述問題で出題されたりします。
以下のキップの装置の使い方の記事でぜひ詳しく勉強してみてください。
キップの装置は装置も大きく大掛かりなので、大量の気体を生成させるときに使います。
二又試験管は簡便な実験に向いています。装置がとても小さいので少量の気体を発生させるときに向いています。
三角フラスコ
加熱をしない気体発生装置として、三角フラスコと滴下ろうとを組み合わせた装置をご紹介します。
三角フラスコと滴下ろうとの組み合わせはキップの装置や二又試験管のように反応を途中で止める方法がありません。
だから、ソウっと少しずつ滴下するのです!
少しずつ滴下する必要があります。
ぽたぽた液体が跳ねてしまいます。
なので滴下ろうとと液体はなるべく近くまで持っていき、跳ねないように少しずつ滴下させていきます。
ちなみに「液体と液体」を混ぜて気体を発生させるときは、この気体の発生装置以外方法はありません。
まとめ
- 気体発生装置は「加熱の有無」と「反応の止め方」で区別する
- 加熱が必要なものは試験管と丸底フラスコ
- 丸底フラスコは対流しやすい。三角フラスコは平な部分の強度が弱い
- 加熱が不要な気体発生装置は「キップの装置」「二又試験管」「三角フラスコ+滴下ろうと」
いかがでしたか?
気体生成反応で実験装置を理解することは重要です。実験装置は記述試験の出題ポイントの宝庫ですので、『なぜこの装置を使うのか?』ということをしっかり理解しましょう。