どうも、受験化学コーチなかむらです。
このような疑問にお答えしていきます。
キップの装置は活栓の開け閉めで気体発生をコントロールできる面白い気体発生装置です。
この部分が記述問題でも問われることがあります。この記事で仕組みを理解し、回答できるようにしておきましょう!
目次
キップの装置の使用用途
キップの装置はキップっておじさんが作った気体発生装置です。
気体生成反応の中でも「固体と液体」を混ぜる反応でかつ加熱を必要としない反応で使用します。
理由はキップの装置が固体と液体を混ぜて気体を生成する反応を止めることができるからです。
加熱が必要ない反応ってことは、言い換えると固体と液体が接触し続ける限り勝手にどんどん気体が発生してしまいます。
もし発生する気体が有毒ガスだったら、発生を制御できないと危険ですよね。
ですので、気体の発生を制御できる装置を使うことが重要になります。
キップの装置はそれができます。
ちなみにキップの装置以外にも「固体と液体の加熱が不要な反応」で使える装置があります。
それが二又試験管です。ぜひ以下の記事でご確認ください。
キップの装置は気体の生成を止める方法がとても秀逸です。非常に上手いことできている装置ですので、ぜひこの記事で気体発生の止め方を学んでみて下さい。
キップの装置の実験手順
キップの装置の実験手順は上の画像のようになります。
詳しく1つずつ解説していきます。
ステップ1:漏斗部を容器部
漏斗の部分を容器の部分に差し込みます。
ステップ2:固体を入れる
キップの装置の容器のくびれの部分に固体を入れて溜めます。
ステップ3:活栓付きガラス管を差し込む
活栓付きガラス管をキップの装置の容器部分に差し込みます。
ステップ4:漏斗部に液体を入れる
漏斗部から容器の方へは液体はほとんど流れません。
理由は容器に空気が充満しているからです。活栓を閉じているため空気が液体を押し戻してしまいます。
ステップ5:活栓を開く
活栓を開くと空気が容器の外に逃げていきます。
すると液体が容器に入っていき、固体と液体が混ざります。
これによって固体と液体が混ざり気体が発生します。
ガラス管を通して発生した気体を集め、捕集していきます。気体の捕集方法に関しては以下の記事を参考にしてみてください。
ステップ6:活栓を閉じる
気体の発生を止めようとするときは、活栓を閉じます。
活栓を閉じると容器内に発生した気体が充満します。
容器内に気体が充満すると気体の圧力が大きくなり、液体を押し戻します。画像のように液体が押し戻されて固体と液体の接触が無くなります。
このような流れで気体の発生が止まります。
頭の整理として最初に貼り付けたキップの装置の実験手順の画像を貼り付けておきます。ぜひこちらで何度も確認しておいてください。
簡易的でもいいので、上の画像を自分でスラスラ書いて人に説明できるようにしておくと良いですよ!
キップの装置の気体の発生の止め方と原理
キップの装置で気体を止める方法は上の画像の赤枠で囲んだ活栓を閉めることです。
これによって固体と液体が分離されます。
先ほどの実験手順のステップ6でも解説しましたが、活栓を閉じると液体と固体が混ざってできる気体の行き場がなくなります。
発生した気体が漏斗に入っていた液体を押し返すようになります。
これによって固体と液体が分離されます。
固体と液体が接触していないので、当然反応はストップされます。
これがキップの装置で気体の発生を止める原理です。
物理的に離れたら当然反応は止まるもんね!
キップの装置で発生させる気体の具体例
- 石灰石に希塩酸または希硫酸を加えてCO2を発生させる
- 硫化鉄に希塩酸または希硫酸を加えてH2Sを発生させる
キップの装置で発生させる気体はCO2とH2Sの2つです。
どちらも弱酸遊離反応を使って弱酸の気体分子を生成させる反応です。弱酸遊離反応については「弱酸遊離反応をジャイアンとのび太に例えて覚える方法」で解説しております。
1.石灰石に強酸を加えてCO2を発生させる
二酸化炭素は実験室的には石灰石(炭酸カルシウム)に強酸を加える弱酸遊離反応で発生させることができます。
CaCO3(弱酸の塩)+2HCl(強酸)→CaCl2(強酸の塩)+CO2(弱酸)
このような反応が起こります。気体の発生量はキップの装置の栓の開け閉めで調整できます。
二酸化炭素は酸性気体ですので下方置換で捕集します。
2.硫化鉄に強酸を加えてH2Sを発生させる
硫化水素は実験室的には硫化鉄に強酸を加える弱酸遊離反応で発生させることができます。
FeS(弱酸の塩)+2HCl(強酸)→FeCl2(強酸の塩)+H2S(弱酸)
FeS(弱酸の塩)+H2SO4(強酸)→FeSO4(強酸の塩)+H2S(弱酸)
H2Sは「酸性気体」ですので、下方置換です。
最後に
- キップの装置は「気体+固体の気体生成反応」で「加熱不要」な実験で使用する器具
- キップの装置の活栓の開け閉めで気体の生成量をコントロール可能
キップの装置だけでなく二又試験管も「気体+液体」かつ「加熱不要」の反応で使われます。
二又試験管もキップの装置と同様に記述問題で問われることがあります。
これら以外にも「固体+固体」「固体+液体で加熱あり」など気体の発生装置はさまざまなパターンがあります。
高校化学で覚えておくべき気体の発生装置の総集編を以下の記事に解説しました。
ぜひこちらも併せてお読みください。
使用方法STEP4で、
文章にはHと書かれているところがありますが、図にはありません。
どのことを指しているのでしょうか?
ご解答お待ちしております!
フルパワーでリニューアル中ですので、少々お待ちください。
リニューアルしました。