「金属元素」と「非金属元素」の違いと見分け方をわかりやすく徹底解説!

金属2

こんにちは。

しょうご
さて、次の問題…「ベリリウムは金属である。⚪︎か×か。」あれ? どっちだっけ?
受験化学コーチなかむら
「金属元素」と「非金属元素」の見分け方で困っているのかい!? だったら、超わかりやすいコツを伝授しちゃうぜ!

元素の分け方には「典型元素 or 遷移元素」と「金属元素 or 非金属元素」の2種類があります。

この2つが、ごっちゃになって混乱してませんか?

この記事を読めば、「金属元素」と「非金属元素」の違い見分け方がはっきりと分かるようになります!

「典型元素」と「遷移元素」の違いと見分け方の解説については、この記事をご覧ください!

周期表 13ー18族(2)

「典型元素」と「遷移元素」の違いと見分け方をわかりやすく徹底解説!

目次

金属と非金属の違い

まずは「金属」と「非金属」の違いをしっかり確認しましょう!

中学校で「金属には、固有の特徴 ー金属光沢・電気伝導性・熱伝導性ー がある」ということを学んだかと思います。

この性質はどうして生まれるのでしょうか?

そして「非金属」にも、固有の特徴ってあるのでしょうか?

金属

金属の単体は、たくさんの原子が電子を共有することで「金属結合」を形成します。

金属1

⬇︎

金属2

ぜーんぶの原子が一体化していますね!

このとき、共有化した電子は「自由電子」となり電子雲の中を自由に移動します。

電子が自由に動き回れることが「電気伝導性」「熱伝導性」という金属特有の性質を生み出しているのです。

また自由電子は入射した光のエネルギーを受け取り、そのエネルギーをすぐにまた光として放出します。

これにより、金属の表面にピカピカした「金属光沢」が生まれます!

金

 

非金属

非金属の単体も電子を共有し「共有結合」を形成します。

非金属1

⬇︎

非金属2

共有結合の電子は、原子核に引きつけられているので金属のように自由電子にはなりません

したがって、つながりあった原子はある程度の大きさをもった「塊」になるんです。

これが「分子」ですね!

水素(H2)、酸素(O2)、窒素(N2)などは2つの原子が結合した分子となります。

 

一方、14族の炭素(C)やケイ素(Si)は共有結合で次々とつながって、塊が巨大になります。

これは分子ではなく「共有結合結晶」といわれます。

炭素の共有結合結晶が「ダイヤモンド」です!

ダイヤモンド

 

18族の「希ガス」はちょっと変わっています。

ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの「希ガス」は反応性が非常に低いので、何の結合もせず「単原子分子」という原子一つだけの姿で存在しています。

どの結合もしていないということは「金属ではない」ので非金属に分類されます。

 

まとめるとこういうことです。

非金属の単体は

  • 共有結合によって分子を作る
  • 共有結合によって共有結合結晶をつくる
  • 何の結合もせず単原子分子として存在している

 

化学結合についてはYouTubeで詳しく説明したので、気になる人は以下の動画をご覧ください。

 

金属元素と非金属元素の分類

金属元素と非金属元素を周期表の中で表すと、このようになります。

周期表 金属・非金属

実は、現在までに見つかっている118の元素のうち、8割以上の96個は金属元素なのです。

非金属元素はわずか22個。

つまり元素の種類のほとんどが金属元素なのです!

そして「金属元素」の中はいくつかの分類があります。

この分類を周期表の位置と合わせて理解していきましょう。

 

アルカリ金属

周期表 アルカリ金属

周期表の一番左にある「1族」の元素から「水素」を除いたものが、アルカリ金属です。

いずれも融点が低くやわらかい金属で、水や酸素との反応性が非常に高いです。

なので実験室では空気中の酸素や水分と反応しないよう、石油中に保存します。

でもなぜ水素は金属元素に含まれないないのでしょう?

それは水素は常温常圧では共有結合し、二原子分子を作るからです。

しかし超高圧環境下では金属結合し「金属水素」になると言われています。

超高圧の星でもし文明が誕生していたら、水素も「アルカリ金属」に分類されているかもしれませんね!

 

アルカリ土類金属

周期表 アルカリ土類金属

その隣、2族にあるのがアルカリ土類金属です。

アルカリ金属ほどではありませんが、やわらかくて反応性も大きいです。

理科の実験で「マグネシウムリボン」を燃焼させたことはありますか?

空気中でまぶしい光を出して激しく燃えますよね?

あれがアルカリ土類金属の酸化反応です!

 

遷移元素

周期表 遷移元素

3族〜11族の遷移元素は全て金属です。

金、銀、銅、鉄など人類に昔から知られ、利用されているものが多いですね。

いわゆる「金属」のイメージ、「重くて硬い」というのが遷移元素の特徴です。

くわしい遷移元素の性質については、この記事を読んでみてください。

周期表 13ー18族(2)

「典型元素」と「遷移元素」の違いと見分け方をわかりやすく徹底解説!

 

亜鉛族元素

周期表 12族

12族元素はひと昔まで「遷移元素」に含まれていましたが、現在は独立し「亜鉛族元素」ともいわれます。

古い教科書や参考書では「遷移元素」に入っていたりしますね。

遷移元素の金属より柔らかく、比較的融点が低いのが特徴です。

水銀(Hg)は常温常圧で唯一の液体の金属です。

 

13〜18族元素の金属

周期表 13ー18族

さて、ここからが「金属元素」と「非金属元素」の分類で肝心なところです。

13〜18族の元素は金属元素と非金属元素が混在しています。

その分かれ目は、周期表上で「階段状」になっていますね。

でもなぜこのようになるのでしょうか?

その答えは「電気陰性度=電子を引きつける強さ」が握っています!

全118元素の中で、電気陰性度が最大なのはフッ素(F)です。

これは言い換えると「フッ素は電子が欲しい!」ということです。

フッ素

金属結合するためには、自由電子を手放す必要があります。

しかし、フッ素は電子が「欲しい」のでけっして手放しません!

つまりフッ素単体が行う結合は、電子の不足を補う「共有結合」であり、フッ素は「非金属」なのです。

13〜18族元素の電気陰性度の強さを周期表上で表すと、こういう感じです。

電気陰性度

もうお分かりでしょうか?

13〜17族元素のうち、電気陰性度の大きいものが「非金属」になるのです!

そして一番右端にある18族の「希ガス」は反応性が非常に低くどの結合もしないので「金属ではない=非金属」でしたね。

周期表 13ー18族(2)

しかし、電気陰性度の値だけを基準に金属元素と非金属元素の境界が定められているのではありません。

様々な性質をもとに分類がされているので、この境目の正確な定義は難しいですね。

境界に位置するケイ素(Si)やゲルマニウム(Ge)は金属と非金属の中間の性質をもつので「半金属(メタロイド)」や「半導体」ともいわれます。

「電気をほどよく通す」性質から、電気回路などに利用されていますね。

半導体

「え?一番下の列は全部金属なの?」と思ったあなた!

するどいですね!

じつは一番下の列にあるニホニウム(Nh)からオガネソン(Og)は、実験室で作られた「人工元素」なのです。

これらはわずか数個の原子を、ほんの短い時間だけ作っただけなので、どんな性質なのか全然わかってません!

「うーん。多分金属じゃないかなー?」という推測によって金属扱いになっています。

教科書や参考書によっては、金属か非金属かは「不明」となっているものもありますね。

 

金属元素と非金属元素の見分け方と覚え方

金属元素と非金属元素の見分け方は「名前」に注目して下さい。

金属

金属元素には「〜イウム(ium)」で終わる名前と「金」がつく名前が多い!

チウム・ベリリウム・ナトリウム・マグネシウム・アルミニウム・カリウム・カルシウム、スカンジウム・バナジウム・ガリウム・ゲルマニウム・プルトニウム

ね!? みんな「〜イウム(ium)」で終わるでしょ?

例外は「ヘリウム」です。

こいつだけは「〜イウム(ium)」で終わるのに非金属元素(希ガス)なのです。

 

続いて名前に「金」もしくは「金編」がつく元素です。

・亜(スズ)・白・水

たくさんありますね!

例外はないので、名前に「金」か「金編」が入っていたら100%金属です!

金属なので金編。まあ、当たり前といえば当たり前ですよね!

 

「〜イウム(ium)」で終わらず「金」もつかない金属元素には、日常生活でよく聞く名前が多いので、聞いたら「あ〜金属っぽいな〜」と思うハズです。

もし馴染みがないものがあったら、この機会に「なるほどコレは金属か」と理解して下さいね。

チタン・クロム・マンガン・コバルト・ニッケル・タングステン・ウラン…

まだありますが、受験化学としてはこのくらいをしっかり押さえておけば大丈夫だと思います!

 

非金属

非金属元素には「〜素」と「〜オン (on)」で終わる名前が多い!

・ホウ・炭・窒・酸・フッ・ケイ・塩・ヒ・臭・ヨウ

なんと22個の非金属元素のうち、半分の11個の元素に「素」がついています!

 

名前が「〜オン (on)」で終わるものは、18族の非金属元素「希ガス」です。

オン・アルゴン・クリプトン・キセノン・ラドン

 

のこり6個の非金属元素は

ヘリウム・リン・硫黄・セレン・テルル・アスタチン

です。

このうち重要なのは「ヘリウム・リン・硫黄」なので、これだけはしっかり「金属じゃない」と覚えましょう!

でもヘリウムは「声を変えるガス」、リンは「マッチの先っちょ」、硫黄は「温泉の湯の花」として、日常生活で目にしたことがある人も多いですよね?

どれも金属ではない(金属光沢がない)と明らかに分かるかと思います!

 

名前で見分ける「金属・非金属」
金属元素 〜ium チウム・ベリリウム・ナトリウム・マグネシウム・アルミニウム・カリウム・カルシウム、スカンジウム・バナジウム・ガリウム・ゲルマニウム・プルトニウムなど
・亜(スズ)・白・水
その他 チタン・クロム・マンガン・コバルト・ニッケル・タングステン・ウランなど
非金属元素 〜素 ・ホウ・炭・窒・酸・フッ・ケイ・塩・ヒ・臭・ヨウ
〜on オン・アルゴン・クリプトン・キセノン・ラドン
その他 ヘリウム・リン・硫黄

 

まとめ

この記事では「金属元素」と「非金属元素」の違いと見分け方を、わかりやすく徹底解説しました。

まとめ

金属元素 金属結合をする元素

非金属元素 共有結合をして分子になる元素か希ガス

見分け方:

金属元素 … 「〜イウム(ium)」 or「金がつく

非金属元素 … 「〜素」 or 「〜オン(on)

です!



ABOUTこの記事をかいた人

浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。