こんにちは。
本記事では両性酸化物だけじゃなくて、酸性酸化物、塩基性酸化物もついでに解説し、そのあとにこいつらの見分け方。違い。
さらに化学反応式の作り方も解説していきます。
どういうものが酸性酸化物になり、塩基性酸化物になり、両性酸化物になるのか徹底的に分かるようにしていこうと思う。
目次
酸性酸化物とは
酸性酸化物とは何か?それは水と反応して酸になるもの、塩基と中和反応するものです。
基本的に酸性酸化物は、非金属元素の酸化物です。この理由は後でお話しします。
①水と反応して酸になる反応
SO2+H2O→H2SO3
(H2SO3のように、酸素を含む酸をオキソ酸と言います)
このように電荷の偏りを非共有電子ついて埋め合う反応がおきます。
これは男の非共有電子対が、女の正電荷の偏りを埋めている様子です。
②塩基との反応
SiO2+2NaOH→Na2SiO3+H2O
という反応を起こします。
このような酸化物の中和反応はコツがあります。
それは、まず水と反応させると言う事です。
水と反応させると、
SiO2+H2O→H2SiO3
と言うように酸になりそうですよね?
この状態にしてから塩基と反応させると、中和反応も作りやすいでしょう。
H2SiO3+2NaOH→Na2SiO3+2H2O
この2つの式を足します。
すると、
SiO2+H2O→H2SiO3
+)H2SiO3+2NaOH→Na2SiO3+H2O
SiO2+2NaOH→Na2SiO3+H2O
と言うように式が完成。間違っても覚えようとしないで!
SiO2+H2O→H2SiO3・・・①
この反応は実際には起きません。二酸化ケイ素は共有結合の結晶なので分子ではありません。しかし、とりあえずこのような形で反応したことにします。
H2SiO3+2NaOH→Na2SiO3+2H2O・・・②
この反応が理解しやすいからです。どうせ、①式のH2OもH2SiO3も式を足せば消えますから安心してください!
塩基性酸化物とは
もう酸性酸化物が何か聞いたらわかるでしょう!
水と反応して塩基性になる酸化物の事。
また、酸と中和反応するもの。
そして塩基性酸化物は金属の酸化物の事です。
①水との反応
BaO+H2O→Ba(OH)2
なぜこのような反応をするのかというと、塩基性酸化物のO2-は、H+とくっつきたがる性質を持っているから。
このようにO2-とH+とがくっついてOH–を作ろうとします。
O2-は非共有電子対を持っています。H+は電子を持っておらず空の軌道があります。
そこで配位結合のように非共有電子対を空の軌道に渡して、共有結合を作成するのです。
このように「電子が余っている軌道」と「全く電子がない軌道」の需要と供給がマッチしてO2-とH+はくっつくのです。
そして、
と言う風になります。
②酸と中和反応
MgO+2HCl→MgCl2+2H2O
このような酸化物の中和反応は、先ほど酸性酸化物のところでお話ししたように、まず水と反応させます。
MgO+H2O→Mg(OH)2
そしてこの水酸化物になった物を酸と反応させます。
Mg(OH)2+2HCl→MgCl2+2H2O
この反応式の和をとります。
MgO+H2O→Mg(OH)2
+)Mg(OH)2+2HCl→MgCl2+H2O
MgO+2HCl→MgCl2+H2O
さっきも言ったけど、反応式覚えようとしないで毎回作るって感覚。
ステップ①水と反応させる
ステップ②中和反応させる。
両性酸化物とは
両性酸化物は、両性元素Al(あ),Zn(あ),Sn(すん),Pb(なり)の4つの元素の酸化物の事を言います。
塩基性酸化物は酸に溶け、酸性酸化物は塩基に溶けますよね。
でも両性酸化物は酸にも塩基にも溶ける!
両性元素は[Al,Zn,Sn,Pb](ああすんなり)と覚えてください!
酸性酸化物と塩基性酸化物と両性酸化物の見分け方
酸性酸化物、塩基性酸化物、両性酸化物の違いの見分け方は、元の元素を見る事です。
周期表の金属元素非金属元素はこのような区分になります。そしてこの金属元素の酸化物を塩基性酸化物、非金属元素の酸化物を酸性酸化物と言います。
そして、両性元素は、ピンク色の塗りたくっているのが両性元素です。
このピンク色の部分の場所に注目して下さい。金属元素と非金属元素の間にあるわけです。
つまり、金属と非金属の間の性質を持っているのです。だから『酸性でも塩基性でも反応する』のです。
記事全部読みましたが面白いしわかりやすいです!
ありがとうございます。励みになります!
Al.Zn.Sn.Pbって「ああ、すんなり」って覚えますよね!
セミナーを解いていたら、「常温の水に容易に溶けてオキソ酸を生じる酸化物を選べ」という問題がありました。オキソ酸を生じる酸化物なので酸性酸化物の中から選ぶというのは解説を読んでわかりましたが、水に溶けるか溶けないかの判断がわかりません。
教えてください!
NOやCO以外と覚えると良いと思います。
また、金属で無機で習う沈殿関連も解けませんので、
それ以外と覚えるとわかりやすいと思います。
ありがとうございます
結局何故、金属にOが付いたものは塩基性で、非金属にOが付いたものは酸性なのですか?
Naで例に出すと金属は電気陰性度が小さい、
よって、Na-O-HだとHがOとの共有電子対をヒク力が大きくなるのでNa-OHと言う封になる。
OH–を投げる事になります。
非金属の場合はNなどで見ると
N-O-HとなってHより電気陰性度が大きい。
よってNO-Hと言う形になり、H+を投げます。
これより酸塩基は電気陰性度によって決まります。
分かりやすいですありがとうございます
ありがとうございます。
励みになります!
めっちゃわかりやすい。質問者もいい質問でしたが返答も完璧でした。謎が解けました!
ありがとうございます!!
非金属と酸素から成る化合物はすべて水と反応してオキソ酸を作るのでしょうか?
それと、アルカリ金属とアルカリ土類金属だけが常温で水と反応するのはなぜでしょうか?
イオン結合性が強いから?でしょうか?
非金属の水酸化物をオキソ酸といいます。
アルカリ金属・アルカリ土類金属はイオン化傾向が大きいのでめちゃくちゃ還元力が大きいです。
高校生です
両性酸化物ZnOについて
塩基と反応させると
ZnOから
→Zn(OH)2=オキソ酸H2ZnO2として
→Na2ZnO2【間違い】
→Na2[Zn(OH)4]【正しい】
というように間違った結果になるのは何故ですか?実際は違う機構で反応しているのですか?
Znはオキソ酸をつくらないからです。
酸性酸化物では無いからです。
https://xn--qck0d2a9as2853cudbqy0lc6cfz4a0e7e.xyz/inorganic/oxyacid
コチラを確認してください。
酸化物をまず水と反応させるとありますが、その水は実際に存在していなくても反応は進むのでしょうか?
例えば、中和反応だったりすると酸性酸化物と塩基と言う場合、塩基は水溶液ですので、そこに水がふくまれていることから、水と反応する事が出来ます。
なので、水が無い場合は何も起こりませんが、たいがい酸化物との中和反応は、水があります。
3NO2+H2O⇆2HNO3+NOという反応について質問です。これは酸性酸化物のNO2がH2Oの反応して酸の硝酸ができている。では、NOも酸化物だからNO+H2Oで反応はしないのでしょうか?
するとは思いますが、その前に酸素と反応してNO2になります。
なるほどです。追加で質問です。NOがすぐに酸化されてNO2になってしまうのは何故ですか?
NOが不安定でNO2の方が安定だから
いつもこのサイトにお世話になっています。
酸性/塩基性酸化物の反応式の作り方は完璧になったのですが、両性酸化物の反応式の作り方がわかりません。。まだ錯イオンがどうこうをやっていないのですが、それを勉強したら作れるようになるのでしょうか?
そうですね、まずは錯イオンを勉強しないことにはどうしようもないですね。
返信ありがとうございます。コメントの後錯イオンを勉強したらわかるようになりました!お手数おかけしました。
二酸化ケイ素と水との反応について何が起きているのでしょうか?二酸化硫黄が水と反応するのは極性があるからということでしょうか?もし、それであっているならば、二酸化ケイ素は極性をもっていないのになぜ水と反応するのでしょうか?
両性酸化物に鉄が含まれないのはなぜですか?
ヘキサシアニド鉄2イオンとか陰イオンなので酸と反応したりしそうですがしないんですか?
酸性酸化物と水の反応と塩基性酸化物と水の反応はなぜ違う感じになるのですか??
塩基性酸化物のO2-は、H+とくっつきたがる性質を持っているから。という理屈はなんですか?
記事の中で解説を付け加えました。
ありがとうございます!
助かります!
良かったです!
塩基性酸化物の場合はアルカリ以外ほとんど水に溶けないのに対して、酸性酸化物のほとんどが水に溶けるのは何故でしょうか。
極性が大きいからでしょうか。
なかなか面白い視点ですね。
それもあると思うし、かつ酸化物が分子であることが多く、結晶を作らないことも関係するのかもしれません。
SiO2なんかは共有結合の結晶ですので、水には溶けません。