こんにちは。
今日は、リンの同素体である黄リンと赤リンをまとめてみました。黄リンと赤リンの問題はもはや出る問題が確定しているようなものなので、そこさえ逃さなければバッチリ点数を取れます。
黄リンは保存方法と自然発火について聞かれます。赤リンはマッチのことが聞かれます。なので、この辺りを総合的にまとめていきます。リンの同素体がまだわからない人は確実に役に立つでしょう。
目次
リンの同素体黄リンと赤リン
黄リン

黄リンはこのような分子構造になっています。ちなみに、この黄リンは非常に不安定なのです。それもそのはず、リンの結合の角度が60°なんですよ。

この結合角が小さすぎるのです。なので、めちゃくちゃ不安定です。リンはこの結合を切りたくて切りたくて仕方がありません。何か他の物質と反応して、安定したくて仕方がないのが黄リンなのです。
この黄リンの結合角がギチギチすぎることが、黄リンの有毒性、自然発火、人体に有害などの性質を生み出しているのです。
そして、こちらが黄リンを化学模型で組み立てて見た場合の様子です。
黄リンです。
この化学模型(結合手が曲がってギリギリ結合してる感)の無理してる感じ。これが黄リンの自然発火などの原因です。もはや分子構造が無茶なんです。
ちなみに赤リンも安定とはいえ、他の安定分子に比べれば結構不安定です pic.twitter.com/wswMdfpD7J
— 受験化学コーチなかむら (@kagakucenter) 2018年9月6日
このように、かなりギチギチなのがわかりますよね。この模型の結合手も曲がりに曲がっています。すると、P4の分子内の結合が切れます。
黄リンが自然発火する理由
黄リンP4は先ほども言ったように結合角60度がギチギチである。

すると共有結合が切れてしまいます。

この状態をラジカルといいます。上の画像の状態がラジカルです。ラジカル(radical)で受験英語の英単語ですよね。求心的なとか、過激なとか、意味があります。そう。過激な反応をするのです。
酸素もたまに不対電子をむき出しになっている状態があるので、この時を狙って黄リンがアタックし、酸化します。

この時、酸素と化合してるので、酸化反応が起こっていますよね。この時の酸化熱が黄リンの発火温度に達します。よって、黄リンは空気中で酸素と結合して自然発火するのです。
黄リンを水中で保管する理由
なので、黄リンは水中で酸素と触れ合わないように保管されます。また、これが可能なのが、黄リンが無極性分子だからです。これが極性分子だったら水に溶けまくっていました。

極性分子は極性分子にとけやすいです。例えば、HClはH2Oに溶けやすいです。逆に無極性分子のベンゼンなどはジエチルエーテルなどの無極性分子に溶けやすいです。
黄リンは簡単に空気中の酸素と反応して発火する。
酸素と触れ合わないように黄リンは水中で保管される。
よく似ている例がナトリウムは、空気中の水分と簡単に反応して水酸化ナトリウムと反応してしまうので、石油中に保存される。
赤リン

黄リンの分子式はP4で表すことができましたが、赤リンは黄リンの分子の結合が1箇所切れて余った結合手同士が結びついてできています。よって、Pが何個あるかわかりません。
なので、赤リンは組成式で表すことが普通です。赤リンは黄リンよりは安定します。なので、自然発火することはありません。
ちなみに、赤リンは黄リンよりは安定ですが、まだまだ分子の形はギチギチな60°が残りまくっていますよね。てことで、他の安定した物質よりははるかに反応しやすいです。
なので、勝手には燃え出さないけど、こすれば発火してくれるマッチの箱のザラザラな所には赤リンが使われています。

こすった時の摩擦熱で赤リンが発火します。マッチの「箱」が赤リンですからね。マッチぼうの先っちょは赤リンではありません。同じ赤色だから混同しそうですが、箱です。
黄リンと赤リンの性質を表で比較すると
黄リン | 赤リン | |
---|---|---|
化学式 | P4 (分子式) |
P (組成式) |
構造 | 正四面体(無理やり) | 黄リンが結合している |
毒性 | あり | なし |
その他特徴 | 自然発火する (水中に保存) |
マッチの側面 |
最後に
いかがでしたか? 黄リンと赤リンについてでした。黄リンの反応性の理由が分子の構造からくるものであるとわかってもらえれば、全て納得できると思います。
黄リンをどう取り扱うかなどがたまに出題されますので、よく復習しておいてください。