こんにちは。
気体の乾燥でよく使われるソーダ石灰。
勘違いされやすいのですが、ソーダ石灰という純物質があるわけではなく、酸化カルシウム(CaO)と水酸化ナトリウム(NaOH)の混合物です。
この2つの物質を一緒に使うことにどのようなメリットがあるのでしょうか?
この記事ではソーダ石灰の性質や用法について徹底解説します!
目次
ソーダ石灰とは
ソーダ石灰は上の模式図のように、中心の酸化カルシウムのまわりを水酸化ナトリウムでコーティングしたもの。
チョコボールに例えると、ピーナッツの部分が酸化カルシウム、チョコの部分が水酸化ナトリウムという感じですね。
ソーダ石灰の製法は酸化カルシウム(CaO)、通称「生石灰」の小粒を水酸化ナトリウム(NaOH)、通称「苛性ソーダ」の濃水溶液中で加熱し、乾燥させるというもの。
重要なのは、酸化カルシウムと水酸化ナトリウムが反応して別の物質になるわけではなく、2つの物質のコンビネーションだという点です。
ソーダ石灰は優秀な乾燥剤
ソーダ石灰は塩基性乾燥剤としてはたらきます。
その仕組みを見ていきましょう。
水酸化ナトリウムは非常に高い溶解度を持ち、空気中の水分をどんどん吸収していきます。
つまり、とても優秀な「乾燥剤」なんですね。
しかし一つ問題が…。
実は水酸化ナトリウム、水への溶解度が高すぎて自分が吸収した水の中に溶けてしまうのです。この性質が潮解性です。
この問題を解決するのが酸化カルシウム(生石灰)。
酸化カルシウムも乾燥剤なのですが、溶解度の高さではなく、下のように水と反応することで水分を吸収します。
CaO + H2O → Ca(OH)2
生成物である水酸化カルシウムは「消石灰」と呼ばれる白色の固体。
つまり水を吸っても固体のままでいられるということです。
空気中の水をどんどん吸う水酸化ナトリウムと、その水と反応してしまう酸化カルシウム。
このコンビネーションによって、ソーダ石灰は効率的に気体を乾燥してくれるのです。
ソーダ石灰で乾燥できない気体
酸性の気体は乾燥できません。
酸性の気体
Cl2, HCl, H2S, SO2, CO2, NO2 など
乾燥可能な気体 | 乾燥不可能な気体 |
中性・塩基性の気体
H2, O2, N2, CH4, NH3 など |
酸性の気体
Cl2, HCl, H2S, SO2, CO2, NO2 など |
ソーダ石灰を構成する水酸化ナトリウムと、酸化カルシウムが吸湿して出来る水酸化カルシウムはどちらも強塩基の物質。
酸性の気体とは反応してしまうため、乾燥することができません。
しかし、この反応を逆手に取りソーダ石灰を二酸化炭素の吸収剤として用いることもあります。
ソーダ石灰を「二酸化炭素吸収剤」として使った元素分析の方法について詳しく知りたい人は、この記事も読んでみて下さい!
そもそも「ソーダ」って何?
「ソーダ」はナトリウム化合物の一般名称です。
語源は、干潟に生えるアッケシソウという植物のラテン語名「ソーダナム(Sodanum)」。
ソーダナムにはナトリウムが多く含まれいるため、ナトリウムの英語名も「ソディウム(Sodium)」になり、苛性ソーダ・重炭酸ソーダ(重曹)・ソーダ石灰などの名前の由来になったのです。
でもなぜ炭酸水のことをソーダと呼ぶのでしょう?
実は炭酸水はかつてレモネードに重炭酸ソーダ(重曹)を加えて作っていたため、製法が変わった今でも「ソーダ水」や「ソーダ」と呼ぶのです!
まとめ
・ソーダ石灰は酸化カルシウム粒の表面に水酸化ナトリウムをコーティングしたもの。
・水酸化ナトリウムが潮解して生じる水分と酸化カルシウムが化合することで乾燥剤として働く。
・塩基性乾燥剤なので、酸性の気体の乾燥には使えない。
・二酸化炭素吸収剤として使うこともできる。
基本的なとこですが、ソーダってなんだろうって思ってました…
いつも、ソーダってなんだっけ、って思ってました。
ソディウムに由来してるのですね!
そうなんですよね!語呂がわかるとわかりやすいですよね。
塩化カルシウムの表記が間違ってると思います>_<
ご指摘ありがとうございます!
ソーダ石灰の前に脱水してしまうと、CaOH2ができず、酸を吸収できないのではと思ってしまいました。水がなくてもいいのでしょうか?
この乾燥剤にソーダ石灰のかわりに、塩化カルシウム、五酸化二リンを用いることは不可能ですが、、理由を確認してもらえますか?
塩化カルシウムが駄目な理由➡CaCl2・8NH3が出来るから(なぜできるのですか?そこが分かんなくて覚えられません)
五酸化二リンが駄目な理由➡酸性酸化物だから、塩基性の気体だと中和反応してしまう
以上、すみませんがお願いします
お前は自分の日本語頑張れ。