酸性塩と正塩と塩基性塩の見分け方とは、実は液性関係なし?

酸性塩 塩基性塩 正塩

こんにちは。

酸性塩と正塩と塩基性塩、聞いた事がある人は多いでしょう。

この名前を聞いたら、

落ちこぼれ受験生のしょうご
酸性塩は酸性っぽい!
って思うでしょう!

また

落ちこぼれ受験生のしょうご
塩基性塩は塩基性っぽい!
って思うでしょう!

でも実はねこれ
酸性塩基性関係ない
んですよ!

「おい、誰やねんこんな名前付けたん、」

これの名前を付けた奴をマジで恨むべきですが、そうはいっても俺にもあなたにも文部科学省に言って名前を変えさせるほどの権力は無いので、付けられた名前に従って勉強して行きます。

案の定ここで混乱する人が多いです。

これに関してブログに質問が来ていたのでそれに関して答えて行こうと思います。

目次

質問内容

先生 正塩や酸性塩や塩基性塩とはなんでしょうか❓
また塩に関する問題で何か重要なことはあるでしょうか?
セミナーを見ても今ひとつわかりません。
教えてもらえると嬉しいです

うん、やっぱりこの塩の名前の付け方で迷える人が生まれてしまった。

今回質問して来てくれた問題を書きます。

1993年東京薬科大学
次の塩に関する記述のうち誤っているものを選び、記号で答えよ。(a)CH3COONaは正塩であるが、その水溶液は弱アルカリ性を呈する。
(b)Na2SO4は正塩で、その水溶液は中性を呈する。
(c)NH4Clは酸性塩で、その水溶液は弱酸性を呈する。
(d)NaHCO3は酸性塩であるが、その水溶液は弱アルカリ性を呈する。
(e)Al2(SO4)3は正塩であるが、その水溶液は弱酸性を呈する。

という問題。

なるほど確かに塩の知識がフルに動員されていて、よく、間違えそうなところをついて来ている問題だな〜と思いました。

塩と液性は無関係?

普通に考えて名前に書いてあるんだから、
「酸性塩は酸性でしょ!」
「塩基性塩は塩基性でしょ!」
「正塩はなんとなく中性でしょ!」

こうなっておかしくない。

でも実は、○○塩の○○は液性には全く関係ない!

のです。

わたしの回答

この質問に俺はこう答えました!

酸性塩は、分子式中にH+があるもので、
塩基性塩は、OHがあるもの。
正塩は、どちらでもない塩の事です。

CH3COONaなどで、CH3のHは含まれません。水素イオンとして分離できるHが含まれていれば酸性塩ということです。

だから、NaHCO3のときのHはH+として投げられるので、これは酸性塩です。

しかし、面倒なのが、酸性塩が水に解けたときに酸性であるかというとそういうわけではないのです。
炭酸水素ナトリウムNaHCO3は酸性塩ですが塩基性です。酸性塩、塩基性塩、正塩と液性の酸性塩基性は関係ないと思っていいです。酸性塩、塩基性塩、正塩の見分け方はさきほど言った通りです。

と答えました。

塩の定義

酸性塩だから酸性と言うわけではなく、実際は、塩の式に『H』が入っていればそれで酸性塩なのです。

だから例えば、NaHCO3(炭酸水素ナトリウム)なんかは、中学校でも習う塩基性物質ですが、

こいつの分類は酸性塩と言う事になります。

 

また塩基性塩は式中に『OH』が入っていればそれで塩基性塩なのです。

 

だから例えば、塩化水酸化マグネシウムMgCl(OH)

のような物質は、塩基性塩なのです。

 

なぜならOHをもっているからです。

塩の実際の液性

回答の続きがこちら

塩と液性の関係は
強酸+弱塩基⇒酸性
強塩基+弱酸⇒塩基
強酸+強塩基⇒中性
弱酸+弱塩基⇒中性
となります。

このように塩と言うのは、H+とOH-同じ量のはずなのに、なぜ酸性、塩基性があらわれるのかというと、

この現象は塩の加水分解といって、
きっちり計算でpHを求められないといけません。

塩の加水分解とは?計算問題が出来ないシンプルすぎる理由は?

こちらで求められるようになります!

こんな感じで区別ができるはずです!

塩と液性の関係

先ほど言ったように、酸性塩だからといって酸性とは限りません。

 

それとは関係なく液性は決めなくてはなりません。

 

そしてその決め方は、

強酸+弱塩基⇒酸性
強塩基+弱酸⇒塩基
強酸+強塩基⇒中性
弱酸+弱塩基⇒中性

これは加水分解と言う現象が起きているからです。
加水分解は、理論化学では、
pHも求めなければならない
問題もあります。

加水分解の水素イオン濃度を求める方法
こちらの記事でご覧下さい。

 

イメージとしては、強い方の液性になると覚えておけばいいです。

 

強酸+弱塩基なら酸がつよいため、
液性は酸性になります。

強い方に引っ張られるのです。

注意点

強酸+強塩基の酸性塩NaHSO4が中性にならないのはなぜですか

このような質問を貰いました。

 

ただ、この場合中和反応の途中なのがわかりますか?

 

2価の硫酸のうち1つ目のH+だけを中和しています。こういう状態

硫酸水素ナトリウム

ということはですよ、硫酸のもう1つのH+の発射台は全然生きているわけです。もちろん、H+を投げるのが酸です。

だから、強酸と強塩基の中和塩である炭酸水素ナトリウムは『酸性』となります。

 

このあとさらにNaOHを加えて中和してNa2SO4になればこれは中性になります!

 

まとめ

ということで、酸性塩、中性塩、塩基性塩というのは、液性が関係なくHがあるかどうかのみで決まります。

 

液性は、基本的に、

強酸+強塩基→中性
弱酸+弱塩基→中性
強酸+弱塩基→酸性
弱酸+強塩基→塩基性

 

となります。理由は塩の加水分解です。

 

また、硫酸のような2価と1価の反応の場合は、2価のうち半分しか中和されていなければ、強酸強塩基の反応だとしても酸性か塩基性になる事もあります。

 

それでは最後まで読んでいただきありがとうございます!



12 件のコメント

  • ぷ。 より:

    CH3COOHはHがあるのに酸性塩ではないのはなぜでしょうか

    • より:

      CH3COOHはそもそも塩じゃなくてただの弱酸ですね。
      ただCH3COONaなど、Hを含んでいても正塩であるものも存在するので「Hが含まれていれば酸性塩」と一概に言い切ってしまうのはちょっとどうかと…
      正確には「水素イオンとして分離できるHが含まれていれば酸性塩」と言ったところでしょうか?

      • 受験化学コーチなかむら より:

        ありがとうございます。そのように表記を変えさせていただきます。

  • はてな より:

    強酸+強塩基の酸性塩NaHSO4が中性にならないのはなぜですか

    • 受験化学コーチなかむら より:

      完全に中和が進んでいないからです。
      硫酸は2価ですよね。
      でも残り1つのH+が中和されていません。だからです。

  • 赤点化学 より:

    CH3COONaのHはH+にならず、
    NaHCO3のHはH+になる理由が、二者の構造式を見てもわからないので教えていただけないでしょうか。

    酸性の電離度(H+)の時もそこで躓きました。
    その時は自分で調べた結果、
    化合物の構造式の中心に電気陰性度の高めな原子がいると、Hにくっついてる原子が中心の電気陰性度高めな原子に引っ張られるからHを手放し易くなると結論付けました。
    例えばHNO3の場合、中心のNとOが強く引き合って、OはHを手放し易くなる、です。
    この理解で正しいでしょうか?

    化合物中のHが、H+になる、ならないの見分け方を教えていただけるとありがたいです。

  • るる より:

    「だから、強酸と強塩基の中和塩である炭酸水素ナトリウムは『酸性』となります」とありますが炭酸水素ナトリウムではなく硫酸水素ナトリウムではないでしょうか

  • N より:

    注意点の最後から2行目、”強酸と強塩基の中和塩である炭酸水素ナトリウムは『酸性』となります。”
    について硫酸水素ナトリウムの誤りだと思います。

  • あは より:

    水酸化ナトリウムは正塩でしょうか?

    • 匿名 より:

      水酸化ナトリウムは塩ではありません。 強塩基の化合物です

  • NH より:

    弱酸+弱塩基=中性 は本当ですか。電離度の影響で限定できないと思いますが、
    酢酸アンモニウムでは、pHが6.5~7.5と出ていました。

    • 受験化学コーチなかむら より:

      高校化学レベルでは中性と思っておいて大丈夫です。
      組み合わせによっては例外もあります。

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    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。