【微妙】標準状態体積が22.4L/molであることの求め方や導出過程!意外と使えないよ

昨日、こういう質問が来ました。

問題:酸素は0℃、1.0×105Paで、1Lの水に49mL溶ける。0℃、5.0×105Paで、水1Lに溶ける酸素は、0℃、5×105Paで何mLか。

という問題の解答解説に対して、

質問内容
この質問に対しての解説動画では、ヘンリーの式の、左辺のn(気体のを、気体の状態方程式を使って求めています。
なぜ、左辺のnについて、モル利用(49/22.4)を使えないのですか?

左辺のnの求め方について、使い分けがあるんですか?

ヘンリーの法則がわからない人のために、もっとざっくり質問内容は、

49mLの気体の体積がわかってんだったら、なんで22.4を使わず状態方程式で解いたのか?

っていう質問です。この疑問って思ったことある人が多いと思います。

体積を見たら全て22.4で割る習慣ができている人もいます。しかし、22.4L/molを使ってはいけない状況も実はかなりたくさんあるんです

本記事の内容
  • 標準状態体積が22.4L/molであることの求め方と導出過程
  • 導出過程から考えるに22.4L/molは意外と使えないという事実

本記事を読むことで、molを求めるときに体積を22.4で割るやり方は、意外と使えないことがわかるでしょう。

目次

標準状態体積22.4L°/molの求め方と導出過程

22.4L°/molの導出

標準状態で1molあたりの体積なので、P=1.013×105Pa(=101.3kPa),n=1mol、R=8.31×103=8.31k、T=0℃=273K

この時の体積を求めればいいので、状態方程式に代入して、

22.4を導出する

ちなみに、このk(キロ)=103です。この使い方は補助単位の記事で学んでください。

キロを使うことで、キロ同士が相殺されます。よって

22.4を導出

となります。よって標準状態の時の気体分子1molの体積は22.4Lとなります。

しょうご
あれ、これって水素と酸素みたいに気体の種類が違う場合でも、全部1molあたり22.4Lなんですか

 

受験化学コーチなかむら

これは気体の種類関係なく、アボガドロの法則で、

同温、同圧の時、同数の分子を含む場合気体の体積は同じである

ことが示されているんだ。

 

なので分子の数が1mol=6.02×1023個の時は、同温同圧ならば、気体の体積は同じになります

よって標準状態のとき気体の体積が44.8Lだったら、その気体の物質量は、

2mol

2.00molになります。

 

これは、確かに革命的に計算が楽になります。本来だったら、

(101.3k)(44.8)=n(8.31k)(273)

を解かなければならないのですから。大幅に計算の負担が減ります。

ただ、肝に命じて欲しいのが、これは標準状態のみ使えるのです

だって導出するときに標準状態の数字を入れて22.4Lを導出していますよね。

なので気体の圧力が1.5×105Paの場合は使えないし、気体の温度がT=300Kの時も使えません。

冒頭の例題

問題:酸素は0℃、1.0×105Paで、1Lの水に49mL溶ける。0℃、5.0×105Paで、水1Lに溶ける酸素は、0℃、5×105Paで何mLか。

このとき使えるんじゃね?って思いませんか?

ただこのとき「少し怖い」という感覚を持って欲しいのです。

1.0×105Pa、0℃で22.4L/molを使うのは危険である理由

1.013×105Paにおける1molの体積が22.4です。100kPaの時に使うと、、

答えは大きくは変わらないけど、少しは変わる

のです。先ほどの導出を101.3kPaではなく、100kPaにすると以下のようになります。

標準状態じゃなかったら答えが間違う

確かに、これで問題なくいける場合もありますが、若干答えの数字が模範解答と異なることがあります。こういう時に博打的に22.4を使う必要はないのではないか? と思います。

また化学の計算問題の観点でも話します。

問題:酸素は0℃、1.0×105Paで、1Lの水に49mL溶ける。0℃、5.0×105Paで、水1Lに溶ける酸素は、0℃、5.0×105Paで何mLか。

この問題文を見てもらえればわかりますが、有効数字2桁です。

受験化学コーチなかむら
そもそも有効数字2桁の問題に有効数字3桁の22.4を使うのが好ましくない。

まとめ:22.4L°/molとの付き合い方

基本的に状態方程式を使いましょう。そして問題文に「この気体は標準状態とする」と書かれているときには、堂々と22.4L°/molを使いましょう。

問題文に書かれていたら、そりゃあもう100%使えます。

しょうご
え〜、でも状態方程式を使うのって、結構面倒なんだよな〜

って思うかもしれませんが、こういう問題の状態方程式は、RやPなどかなりの部分が約分されます。なので、意外と計算自体面倒じゃないことも多いのですよ。



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浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。