こんにちは。
今日は、ドルトンの原子説についてです。
プルーストの定比例の法則の次に発表されたのがこれです。
目次
ドルトンの原子説とは?
ドルトンは質量保存の法則や定比例の法則から、物質は最終的に粒からできていると考えました。そして、物質には最後の最後は分割できない粒があり、その粒こそ「原子」だと唱えたのです。
そして、原子はどう言うものかを原子説で発表しました。
- 物質はこれ以上分割できない粒子の原子からできている。(原子核と電子、さらには中性子クォークが発見されている)
- 同じ元素の原子は質量も性質も等しい。(同位体が存在する)
- 化合物は2種類以上の原子が一定の割合で結合した複合原子からできている。
- 化学変化は原子と原子の繋がり方が変わるだけで新しく原子が生まれることはない。(分子が登場)
ちなみに、赤文字は現代化学においては、間違っていることがわかっているものです。( )内に間違いを指摘しています。
ドルトンの原子説を歴史的に紐解く
ドルトンの原子説は歴史的に革命的な説でした。この原子説のおかげで、質量保存の法則も定比例の法則も説明がつくようになりました。
1774年質量保存の法則が提唱され、1799年定比例の法則が提唱されました。そして、これらを物の見事に原子説は説明することができました。
質量保存の法則は、原子説の2と3で説明がつきますよね。
このように、原子の繋がり方が変わるだけだから、左辺と右辺の質量が変わるわけがないと説明がつきました。
定比例の法則は、原子説の2と4で説明がつきます。
例えばHClだったら、H=1、Cl=35.5と言う原子量からできていますから、
このようになります。なので、これが100個集まろうと、20000個集まろうとH:Clの質量の比は変わりませんからね。
なので、質量保存の法則や定比例の法則を説明することができて、みんなハッピーかと思われました。しかし、その後1808年にゲーリュサックが「気体反応の法則」を発見したことで、原子説にほころびが生まれ始めました。
ドルトンの原子説の矛盾点とは?
ゲーリュサックが気体反応の法則「化学反応は同温同圧下での体積を測定すると整数比が成り立つこと」を示したのです。そこで、起きた矛盾がこちら。
そう、今の僕たちにとっては当たり前の反応で、水素と酸素から水蒸気ができたらこのような体積の比になりました。
しかし、これって絶妙に原子説では説明ができないんですよ。原子説で考えるとこのようになるはずです。
つまり、H:O:水=2:1:1になるはずでした。でも実際は2:1:2でした。ここでドルトンの原子説の矛盾点が見つかったのです。つまり、当時はH2なんて分子が考えられていなかったんです。
この2:1:2だとすると、以下のようになります。
すると、これは「原子は分割できない」と言う説に矛盾します。
この後、この矛盾を解決したのはアボガドロの分子説です。
最後に
ここまで話してきました。ものの見事に質量保存の法則と定比例の法則を説明したこの原子説でしたが、だからと言っていきなりみんなが納得したわけではありません。
今の日本を見てください。AIも仮想通貨もAirbnbも素晴らしい発明は最初とりあえず拒むって言う風潮がありますよね。これと同じように、原子説も「説」に過ぎないので、すぐには受け入れられませんでした。
なので、原子説を裏付ける証拠を探しドルトンは邁進していました。そこで見つけたのが「倍数比例の法則」です。次回の記事は倍数比例の法則について解説します。