こんにちは。
突然ですが、問題です。
空気10gを5.0L、27℃の密閉容器に詰めたとします。この時の圧力はいくら?
パッと答えられますか?
この記事では「平均分子量とは何か?」 に答えるだけでなく、「なんで平均分子量を使う理由があるのか?」と言う本質的な内容まで迫っていきます。
※この記事は、演習問題を除けば読み終わるまでに1分ほどです。時間が余っていたら+2分ほどで演習問題を解いて知識の確認をしてみてください。最初の例題は途中で解説しますので、ぜひじっくり読んでみてください。
目次
結論:平均分子量とは「分子の個性をなくす」ために考えられた
先ほど「空気」の問題を出しましたね。空気は混合気体でして、二酸化炭素が若干混ざっているものの、窒素と酸素が大変を占めています。
このように、窒素と酸素の混合気体が空気ですが、これらの窒素と酸素のという個性を破壊します。窒素と酸素の混合気体として考えるよりも、「空気という1つの気体」として考えた方が簡単な場合があるんです。
これを使うと、空気の平均分子量もわかります。
窒素の分子量は28でモル分率は0.8、酸素の分子量は32でモル分率は0.2です。なので、これから考えると
28×0.8+32×0.2=28.8
空気の平均分子量28.8は覚えておいた方がいいです。よく使います。
では、ここまで平均分子量とは何か、そして平均分子量をどうやって求めるのかがわかったと思います。しかし、ここからは、平均分子量を扱うメリットを解説します。
なんで使うのかがわからないと、いつ使うかがわからないですよね。
平均分子量を扱うことのメリット
平均分子量を使うと、ごちゃごちゃいろんな種類が混ざっているものを、1種類の気体だとみなすことができるのです。
なので、1種類の気体だとみなせると、状態方程式だったり、いろんな方程式を当てはめることができます。
ここまでくると、冒頭の問題がわかってきたんじゃないですか?
空気10gを5.0L、27℃の密閉容器に詰めたとします。この時の圧力はいくら?
これは、混合気体の空気を1種類の気体と考えてモルを求めて状態方程式に当てはめればいいのです。窒素と酸素の混合気体をある1つの気体である「空気」と考えるのです。
求めるのは、空気の圧力Pなので、状態方程式に代入していくと、
このようになります。よって、P=1.7×105Pa
逆に平均分子量が与えられたら何がわかる?
平均分子量を求めて、1つの気体とみなして計算することができるのはわかりました。しかし、入試問題であんまり出ません。
むしろ、平均分子量で気体を1つにまとめることよりも、分圧や分体積を求めなければならないことの方がはるかに多いです。
もうさっさと答えを言いますが、平均分子量から分圧や分体積を求めることができます。
ステップ1:平均分子量がわかるとモル分率がわかる
このように、平均分子量を求めますよね。しかし、逆に平均分子量がわかっているってことは、モル分率を求めることができるのです。
モル分率は全て足すと必ず1になります。よってどちらかのモル分率をxとおくともう一方は、1-xって置けますね。
今回は空気でやっているので簡単にわかりますが、混合気体でこのように計算すればXが求められるのでモル分率を求めることができます。
ステップ2:モル分率がわかれば分圧がわかる
モル分率を全圧に掛けたら、分圧を求めることができる。
混合気体でモル分率がわかると、モル分率を全圧に掛けることで分圧を求められるんですよ。よって、ここまでのことをまとめると、平均分子量がわかれば分圧まで求められるということです。
これを具体的にどのように使うのか解説しているのがこちらの記事です。
まとめ
- 平均分子量は個性をなくすためのもの
- 平均分子量を使うと1つの気体として扱うことができる
- 平均分子量がわかればモル分率がわかる。モル分率がわかれば分圧がわかる
いかがでしたか? ここまででかなり平均分子量の扱い方や意義がわかったんじゃないでしょうか。混合気体の分野で非常によく出題されますのでこの平均分子量の計算には必ず慣れておいてくださいね。
また、混合気体は本当に苦手な人が多いので、しっかり慣れておく必要があります。こちらをばっちり理解しておいてください。