電子親和力ってイオン化エネルギーと一緒にならうと頭の中がぐちゃぐちゃになる人が多いです。その原因がこれかと思われます。
イオン化エネルギーが大きい→陽イオンいなりにくい
電子親和力が大きい→陰イオンになりやすい
この2つの定義が超絶わかりにくいわけです。結論から言うと、イオン化エネルギーと電子親和力は「イオンのなりやすさ」で理解しようとしてはいけません。
この記事では、主に電子親和力を「誰の電子が好きか」で定義していきます。この定義ならイオン化エネルギーと電子親和力を対比して覚えることができます。
今、イオン化エネルギーや電子親和力が理解できていなくても大丈夫です。過去300万人以上の人に読まれ、合計800万PVを達成しているこのサイト、ならびにメルマガ読者約1万5000人に支持されている覚え方を伝授します。
なので、大船に乗ったつもりで最後まで読んでください。
目次
電子親和力とは「他人の電子をいくらで買い取れるか」と覚えろ!
電子親和力は他人の電子に対していくらなら支払えるか?=他人の電子がどれだけ好きか?
電子親和力はいかに電子が好きかと例えられることはよくあります。しかし、重要なのは「他人の電子がどれだけ好きか」を表すと言うことです。
原子を青、電子を黄色とした時、電子を得た時に放つ熱量のことを電子親和力と言います。よって、電子親和力が関わる反応は発熱反応です。
このくっつくとエネルギー図で下向きの矢印を引き、発熱反応であることは覚えておいた方がいいです。
参考:ヘスの法則で熱化学方程式を解く超体系的エネルギー図法!
この電子親和力は、「他人の電子にいくらお金を払えるか?」と覚えたらいいです。まずここで重要なのが、
でして、基本みんな閉殻構造になりたいわけです。じゃあ、ハロゲンなんかもう少しで閉殻になれるような原子は、多少多くのお金を払っても他人の電子が欲しいですよね。
だからこそ、塩素は、他人の電子が好きで他人の電子に払えるお金が大きいので、電子親和力が大きいのです。
逆に、ナトリウムのようなアルカリ金属を考えてみましょう。ナトリウムの電子配置は以下のようになります。
M殻に1個電子があり、その電子を手放せば陽イオンになって閉殻構造になれるのです。
電子を1個すでに捨てたいと思っている人に、電子を高く売ることはできますか?
無理なんですよ。ナトリウムにさらに別の電子を売るとしたら、めっちゃ少額しか払ってくれません。よって、ナトリウムのようなアルカリ金属は、電子親和力は小さいのです。
他人の電子が好きなやつほど電子親和力が大きい。他人の電子に興味のないやつほど電子親和力が小さい
陽イオンになりやすい奴らは、自分の電子をすぐに手放す→自分の電子が好きじゃない→イオン化エネルギーが小さい。
陰イオンになりやすいやつらは、どうにかしてでも他人の電子が欲しい→電子親和力がでかい。
希ガスは閉殻でこの状態が好き→自分の電子は好きで他人の電子興味なし→IE大、EAほぼ0
— 受験化学コーチなかむら (@kagakucenter) 2018年9月17日
イオン化エネルギーも電子親和力も区別できないって人は、大小関係を無理に覚えようとしすぎです。
イオン化エネルギー=自分の電子がどれだけ好きか
電子親和力=他人の電子がどれだけ好きか
で覚えているとわかりやすい。
陽イオンになりやすい奴らは、自分の電子をすぐに手放す→自分の電子が好きじゃない→イオン化エネルギーが小さい。
陰イオンになりやすいやつらは、どうにかしてでも他人の電子が欲しい→電子親和力がでかい。
希ガスは閉殻でこの状態が好き→自分の電子は好きで他人の電子興味なし→イオン化エネルギーは大きく、電子親和力は0に近い
電子親和力の大小を周期表とグラフで表してみた
電子親和力の大小を周期表やグラフ入試問題でもよく出ます。イオン化エネルギーと混同しないようにしっかり区別してください。
電子親和力は希ガスが最も小さい
これがわかっていたら、イオン化エネルギーと間違えることはまずありません。先ほども言いましたが、
わけです。
電子配置界のカリスマが希ガスなんです。みんななんとかして電子を手放したり、電子をもらったりして「希ガス型の電子配置」を目指しているんです。
なので、先ほども言いましたが、ハロゲンなら、
となります。
と一蹴されます。希ガスに電子を売るなんて言ったら2ちゃんねるで叩かれます。希ガスの電子親和力は最も小さいんです。
じゃあ、電子親和力じゃなくてイオン化エネルギーだったとしたらどうでしょう。イオン化エネルギーは、自分の電子を売るときの売値でした。
ってなりますよね。さらに希ガスは、
ってなります。ハロゲンも希ガスもイオン化エネルギーはめちゃくちゃでかいんですよ。なので、電子親和力とイオン化エネルギーの周期表での違いは、希ガスで見極めることができます。
また、原子番号を横軸にとったグラフで表すと、
ハロゲンが最もでかく、希ガスが最も小さくなっているのが電子親和力です。一方イオン化エネルギーのグラフは、(Twitterの画像を埋め込みます)
s軌道の閉殻によってBe,Mgが、p軌道の半閉殻によってN,Pが「チョット安定」な状態になることで、イオン化エネルギーのグラフの凸凹ができるのはOK? pic.twitter.com/daDAV5HZjK
— 古川哲嗣 (@tetsushi_jp) 2014年4月22日
このように、希ガスが最大になっています。
電子親和力は周期表やグラフで表すと、希ガスに特徴が表れています。
電子親和力と電気陰性度のグラフの違いですが、電気陰性度も希ガスに特徴が表れます。というのも、希ガスはそもそも電気陰性度を定義することができないのです。よって、グラフが途切れてしまうのです。
補足:電子親和力のエネルギー図での扱い
もし、この記事を受験生ではなく、化学基礎学習中の高校生が見ているとしたらまだ学習する必要がない部分です。しかし、エネルギー図は入試でも非常に重要なので、余裕があれば必ず読んでください。
くっつく→発熱反応
離れる→吸熱反応
〇〇熱(中和熱など)→下向き矢印、発熱反応、熱化学方程式の符号は正
〇〇エネルギー(結合エネルギーなど)→上向き矢印、吸熱反応、熱化学方程式の符号は負
ざっくりエネルギー図についてまとめましたが、上の参考記事を詳しく読んでください。
このように、〇〇熱とつくと、基本は発熱反応なんです。そして、ここでつまずくのが、「電子親和力」をどう扱うのか? ってことなんです。
ちなみに、先ほども言いましたが、電子親和力っていう名前なのに熱量を表します。なので、電子親和力は当然エネルギー図でも扱います。
結論から言うと、電子親和力は〇〇熱扱いをします。なぜなら、原子と電子がくっついて放出する熱量のことですから、下向き矢印で、熱化学方程式では、正の符号で扱います。
エネルギー図的に考えるときは、電子親和力は「電子親和熱」って言う名前が適切だと考えられます。
受験は割と情報戦
いかがでしたか? 今日学んだことって、ほとんどは学校では習わないことだったと思います。電子親和力自体は習ったものの受験勉強に最適化された知識ではなかったはずです。
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参考:2018年化学受験テクニック塾の合格体験記&合格体験対談
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