こんにちは。
電気陰性度ははっきり言いまして、受験化学最重要です。これ以上重要な概念はなく、理論化学、有機化学、無機化学、どれを学習する上でも絶対に避けて通れない概念です。
ここで、本気で理解してください。本当に電気陰性度を知っているのと、知らないのとでは習得率も違いうし、理解度、応用力、全ての面で差がつきます。
ちなみに、僕は電気陰性度をしっかり理解して有機化学、無機化学、理論化学をしっかり理解したからこそ成績が伸びたと思っております。
特に、有機化学は電気陰性度を学んでおいて、電子との反応のあり方を学ぶことで、意味もわからず反応をとりあえず丸暗記する必要が無くなります。実際僕は有機化学を電気陰性度と電子の反応のみで3パターンに分類し、反応を理解する方法を紹介しています。
では、本題に入っていきますね。
目次
電気陰性度とはイオン化エネルギーと電子親和力の和である
結論から言うと、電気陰性度とはイオン化エネルギーと電子親和力の和に比例します。
- イオン化エネルギー=自分の電子がどれだけ好きかの指標=自分の電子の売値=高いほど自分の電子が好きだから陽イオンになりにくい
- 電子親和力=他人の電子がどれだけ好きかの指標=他人の電子の買値=高いほど人から電子をもらって陰イオンになりたい
参考記事
つまり、エネルギー図に表すと次のようになります。
イオン化エネルギーは外部からエネルギーをもらって電子を1つ手放す時のエネルギーだし、電子親和力は電子をもらった時に放出する喜びのエネルギーです。
どちらにも共通するのが、両方とも「電子がどれだけ好きか」を表す指標なんです。そして、電気陰性度はその両方の和です。つまり、自分の電子も他人の電子も好きな元素が電気陰性度が大きくなるのです。
電気陰性度はマリケンと言う人の定義では、電気陰性度は以下のように定義されます。
このように表されます。このように、電気陰性度は自分の電子と他人の電子の両方を引きつける力でして、共有電子対を引きつける力と考えて大丈夫です。
電気陰性度によって分極が起こる
このように、化学結合をしているAとBで電気陰性度の差があると、共有電子対がAの方に偏ります。これを表すとδ+とδーで表します。(δは微分などで使うdy/dxのdと同じ語源でデルタと読みます。デルタは微小量を表します)
これめちゃくちゃ重要なんですよ。
このような電荷の偏りがあることから、水酸化物が酸性なのか塩基性なのかが変わって来ます。また、有機化学の反応の7割はこの電荷の偏りを使ったものなのです。
流石の流石に、この記事でそれを解説すると脱線もいいところです。なので、別記事に預けさせてもらいます。
ちなみに、A:Bの結合で電気陰性度の差があまりにも大きいと、δ+とδーのような電荷が偏っているってなレベルではなくなります。それがイオン化であり、イオン結合っていうのも元々は共有結合をしていたのです。
すると、イオン結合となります。イオン結合も元々は共有結合のような結合の仕方をしていたのです。
後ほど説明しますが、他の原子と結合することがない希ガスでは、電気陰性度を定義することができません。記事内で解説してますので、いますぐ気になる人はワープしてみてください。
電気陰性度の大小を周期表で表してみる
これが、電気陰性度の大小関係です。電気陰性度は右上ほど大きく、左下が小さいのです。ちなみに次の章で話しますが、希ガスは定義されません。
て言うのも、電気陰性度は共有電子対を引き付ける力の大きさを表します。
また、希ガスの大きい順番をざっくり理解しておいたほうがいいです。この大きさの順番が直接問われるわけではないのですが、理論化学、有機化学、無機化学全てを学習する上でめちゃくちゃ役に立ちます。
電気陰性度って受験化学で最強に重要です。いや、もはや一番重要な概念ですので、この大きさの順番は必ず頭に入れておいてください。
電気陰性度の大きさの順番はこれを覚えろ!
F>O>N=Cl>C>H>金属
覚え方
「本当に(F>O>N)狂(Cl)っちゃう(CH)金(金属)」
F>O>Nくらいは覚えている人もいるとは思いますが、Cl,C,H,金属の順番も覚えておくといいでしょう。
と言うのも、まずCとHの電気陰性度の関係を知っておくと有機化学の反応を理解する時に非常に役に立つからです。はっきり言って、有機化学の大抵の反応は電気陰性度の分極だけで説明できてしまいます。
また、金属が非金属の水素よりも電気陰性度が小さいってこともしっかり理解しておきましょう。
電気陰性度の周期性
- 同一周期(周期表の横)では、原子番号が大きくなるほど大きくなる
- 同族(周期表の縦)では、原子番号とともに減少
- 希ガスは他の元素の原子と結合しないので評価されない
1.同周期では、原子番号が大きくなるほど大きくなる
「陽子数が大きくなると、最外殻電子を引き付ける正電荷が大きくなります。」ちなみに、この文章を超簡略化することができます。「有効核電荷が大きいから」と言い換えることができます。
有効核電荷とは、具体例を出します。
ナトリウムの陽子数は+11で最外殻はM殻です。M殻の内殻のK、L殻はこの陽子数の +11を打ち消してくれますので、実質最外殻に働くのは+1のみです。
つまり、実質最外殻電子に働く正電荷の大きさのことです。有効核電荷って言葉を知っていると、記述問題であと数文字減らしたい! って時に減らせて便利です。ぜひ知っておきましょう。
2.同族では、原子番号が大きくなるほど小さくなる
同族だと最外殻を引き付ける有効核電荷自体は同じなんですが、最外殻電子までの距離が大きくなります。なので、クーロン力が小さくなり、電気陰性度は小さくなります。
3.希ガスは電気陰性度を定義できない
ちなみに、このような周期表の問題はしばしば、「イオン化エネルギー、電子親和力、価電子数、原子半径」のグラフと並べて出題されます。
この時の電気陰性度の最大の特徴である「希ガスは定義されていない」を最大限生かしてくださいこう言うグラフの問題はよく出題されますので、必ず区別できるようにしておいてください。
最後に
電気陰性度は、この用語を覚えることが重要なのではなく、いかに電気陰性度を使って有機化学、無機化学、理論化学を理解するかが大事なのです。
電気陰性度でスッキリ理解できる概念はめちゃくちゃたくさんあるし、電気陰性度のおかげで丸暗記しなくていいことはたくさんあります。
何度も何度も復習しておいてくださいね!