こんにちは。
今回の水素結合って本当に重要です。ちょっと電荷が偏って、ちょっと引き合ってるだけのくせして、大きく物質の性質に影響を与えます。例えば、僕らの設計図である2重螺旋構造のDNAも水素結合でできています。
なので、しっかり重要な部分を学んでいってください。さらに、僕が1万人以上のメルマガ読者から寄せられた水素結合に関する質問をまとめて解説します。

例えば、
このような疑問に対しても全て解決していきますので、ぜひ最後まで読んでください。
※この記事は約3分ほどで読み終わります
目次
水素結合とは?
水素結合って、あんまり言葉で理解するものではないなって思います。
こんなの見ても全くわかりませんよね。ていうことで、原理を例を出して見てみましょう。

まず、水分子がありますね。このO-Hの結合に注目してください。Oの方が電気陰性度が大きいので、Oの方に共有電子対が引き寄せられます。

このように共有電子対がOに引き付けられて、Hが+、Oがーに電荷が偏ります。

すると、この電荷の偏り同士が、「分子間」で静電気的な引力で引き寄せられます。

よって、このように分子間で水素結合ができます。普通は、このような点線のようなもので表します。
ちなみに、電気陰性度がいまいちわかっていない人は、必ず電気陰性度を学んでくださいね! 水素結合の記事なので、流石に電気陰性度を詳しく詳しくこの記事で説明することはできません。
水素結合する分子の例
水素結合するのは、電気陰性度トップ3のF>O>Nの3つの水素化合物。
水素結合をするのは、F,O,Nが関わるものです。
HF、H2O、NH3はもちろんですが、それ以外にもH-F、H-O、H-Nの結合を持つものは水素結合をします。
具体的な例としては、
エタノール

アニリン

アミノ酸

このように、H-F、H-O、H-Nがあれば、水素結合をします。
別にH-F同士、H-N同士じゃないとダメな訳ではなく、異なる分子同士でも水素結合することができます
具体例:DNAの核酸塩基

水素結合と沸点

水素結合をする第2周期の水素化合物、特に水素結合をするHF、NH3、H2Oは、異様に高いですよね。これは、他の水素化合物ができない水素結合ができるからです。
他の水素化合物は、ファンデルワールス力だけを切ることで気体になります。

Aは原子っぽいですが、分子だと思ってください。分子同士をバラバラにするためのエネルギーは上の図レベルだと考えてください。次に、水素結合する水素化合物は、

ファンデルワールス力だけでなく、水素結合も切らないといけません。てことは、他の水素化合物よりも外部からエネルギー(熱量)を受け取らないと、水素結合を切って気体になることができません。
つまり、水素結合するNH3とH2OとHFは他よりも沸点が高くなるのです。
水素結合に関するよくあり疑問コーナー
水素結合でよく質問を受ける内容をご紹介していきます。ちなみに、こういう疑問が生まれるところが記述問題でよく問われますので、しっかり疑問点は潰しておいてください。
なぜ水素結合は水素出ないとダメなのか?

なぜ水素結合だけ注目されるのでしょうか?
電気陰性度の差が大きくて、、というのはわかるのですが、水素よりも電気陰性度が小さいものはたくさんあるのに何で、水素がすごい注目されるのでしょうか。
こちら、実際に来た質問です。そもそも、なぜ水素結合なのか? 確かに水素よりも電気陰性度が小さい非金属は存在します。

この紫色に塗りつぶしているところです。このように金属と非金属の境目らへんの元素は水素よりも電気陰性度が小さいものが多いです。
ですが、水素以外の非金属のどの原子を見ても、F,O,Nよりも原子半径が大きいのです。確かに電気陰性度
だって、よく考えてください。NH3、H2O、HFの水素って電子がN,O,Fに引き寄せられているのだからほとんど裸の陽子だけのような状態です。ほとんどの水素原子は中性子がありません。

このように、水素原子の原子核は、陽子1個のみな訳です。中性子がありません。なので、陽子の+を邪魔するものが何一つないのですよ。
よって、陽子の正電荷がもろδーと接近できるくらい原子半径が小さく、陽子がむき出しなのです。
よって、水素原子は十分にそのほかの原子に接近できて静電気的引力が強く現れるのです。これがもし別の原子だったら陽子の周りに電子があるので、表面の静電気的な力が小さくなります。
よって、水素は特別扱いで水素結合なのです。
なぜ窒素Nと塩素Clの電気陰性度が同じなのにHClは水素結合をしないのか

電気陰性度の記事を見させていただきました。電気陰性度の大きさを覚えるときに、F>O>N≒Cl>C>H>金属とおっしゃっていましたが、 F,O,Nが水素結合をするのに、なぜ塩化水素HClは水素結合をしないのでしょうか?
Nのアンモニアが水素結合をするとしたら、HClも水素結合をなぜしなしのか疑問に思いました。
電気陰性度の大きさは、F>O>N=Clです。NもClも同じ大きさなのに、なぜかNH3は水素結合するのに、HClは結合しないんですよ。このようになります。
塩素原子が窒素原子よりも一周期大きく原子半径の表面積が大きくなるからです。表面積が大きくなると、表面積の電子の密度が小さくなりますよね。すると、δ-が小さくなるんですよ。

よって、十分な結合が生まれる静電気力が起きないので、原子半径が大きい塩素の水素化合物の塩化水素は水素結合しません。このことについて詳しく1記事丸ごとを使って解説していますので、ぜひこちらをご覧ください。
なぜ水素結合の力はHFの方が大きいのにH2Oの方が沸点が高いのか?
画像
沸点が高いっていうことは、水素結合を切るために必要な結合エネルギーが大きいってことですよね。
水素結合 | 結合エネルギー |
HF | 29 |
H2O | 21 |
NH3 | 17 |
結合エネルギーはこのようになります。しかし、沸点は

このように、H2Oの方がHFよりも沸点が高いのですよ。
その理由は、H2Oは1分子あたり2個水素結合をするからです。
ですが、水の場合は、下の画像のように2箇所で水素結合をします。てことは、結合エネルギーは21×2=42になり、HFよりも大きな熱量を加えないとバラバラにならなくなるのです。よって、H2OはHFよりも沸点が高いです。


いい質問だ!ですが、これは2本と考えます。その理由は動画で解説しましたので、こちらでご覧ください。
最後に
水素結合は、学んだからといって、これで終わりなわけではありません。有機化学で特に何度も何度も出てくる知識ですので、必ず何度も何度も知識として定着するまで復習してください。
それでは!