こんにちは。
昨日、こういう質問がきました。

Nのアンモニアが水素結合をするとしたら、HClも水素結合をなぜしないのか疑問い思いました。
確かに電気陰性度だけみたらN窒素もCl塩素も両方とも電気陰性度は3.0なので、本来NH3が水素結合するのなら、HClも水素結合をしてもいいはずですよね。
ですが、塩素の水素化合物である塩化水素は水素結合をすることはありません。今日はその理由を解説していきます。
目次
塩化水素が水素結合をしない理由は表面の電荷密度
塩素の原子の表面が大きいので、電荷密度が小さくなり水素との静電気的引力が小さくなる
確かに、塩素と窒素は同じ電気陰性度です。しかし、窒素の最外殻はL殻で塩素の最外殻はM殻です。しかも電子の数は同じ数ですよね。(水素と結合しているので)
てことは、同じ8個の電子なのに、窒素の方が原子の表面積が小さいわけですよ。塩素は原子半径が窒素よりも大きいのでその分表面積も大きくなります。
これは、風船を膨らませることを考えてみるとわかります。

このように、風船って小さい時って色が濃いですよね。でも風船を思い切り膨らませると、色が薄くなりますよね。
これって、
風船の素材に含まれる色素の数が決まっていて、膨らませることで色素の密度が小さくなっているんですよ。
〇〇〇〇
が引き伸ばされて
〇 〇 〇 〇
って話されているイメージ。
これと同様に窒素と塩素では最外殻の電子の数は同じなのに、塩素の表面の電荷密度は窒素よりも小さいのです。すると、水素との結合もかなり弱くなります。水素結合と呼ぶには不十分な結合になってしまいます。

まとめ
塩素の原子半径が大きい→塩素の表面電荷密度が小さい→表面のδーが弱いので水素原子のδ+を引き付ける力が弱い。
この結合に関わる分野はほぼ全て、根本的な原因は電子配置や原子半径の話に帰結されます。このように、何が本質なのか? っていうことを考えながら学習してみてください。