化学史〜化学の基本法則の歴史の流れを使った覚え方〜

化学史を流れで覚える方法
しょうご
化学の基本法則ってどれがどれだか名前でごちゃごちゃになる・・・

多くの参考書で一番最初に書かれているのがこの化学の基本法則なのですが、めっちゃ覚えにくいですよね。

特に、
「定比例の法則だとか、倍数比例の法則だとか、どうちがうねん!」
って俺も思っていました。

 

俺の場合入試に出なかったら良いものの、こんなものまともに覚えずに入試を受けていました。でも、今ではちゃんと覚えていますし、選択問題だろうが記述問題だろうが完璧に答えられます。

 

それは、歴史の流れとちゃんと法則の中身理解しているからです。というか、歴史の勉強では当たり前にやっていたはずです。

まさか日本史をこんな覚え方してませんよね?

目次

人名、法則名、法則の説明の暗記は無理なんです。

「織田信長・・・尾張統一」

「徳川家康・・・江戸制定」

「豊臣秀吉・・・明智を倒す」

「明智光秀・・・信長を殺す」

こんな覚え方をしているようなものです。化学の基本法則は化学史という歴史の流れに沿って発明されてきたのです。流れがあるのです。

織田信長が明智光秀に殺されたから、豊臣秀吉が明智光秀を倒したという流れがあるように。

 

なので、今回は、この歴史の流れに沿って化学の基本法則を学んでいきます。が、その前にめちゃくちゃ重要なことを話します。

次のことを理解していたら、

しょうご
倍数比例の法則と定比例の法則の違いがわかりません・・・

っていう状態になりえません。必ず簡単に区別できるし、その理由もわかります。

化学史を使った基本法則の覚え方の注意点

①アホになれ!

化学の基本法則を勉強する上でやるべきなのは、『アホになる事』です。というのも、化学史の始まりって『気体の存在』さえも知らんかった時代なんです。

 

もちろん、モルも無いし、木を燃やしたら、灰と炎になると思ってたんですよ。あのニュートンでさえ錬金術を信じていたのです。

現代人の僕たちが聞くと、

しょうご
え、何を当たり前のことを?

みたいなことを、文章で堅苦しく説明していることがあります。

②何と言っても流れ!

やっぱり流れが重要です。というのも、「倍数比例の法則」とか「定比例の法則」とかこんなもん流れを意識しないとどっちがどっちかわかりません。

 

なんでこういう法則がうまれたのか?これも流れがわかっていないとわかりません。

 

ということで、この流れをきっちりマスターするということは非常に重要なんです! 前置きが長くなりましたが、化学の基本法則を化学史による覚え方をマスターしていきましょう。

質量保存の法則〜ラボアジエ〜

その昔、物は燃えると、灰と『炎』という物質になると思われていました。

 

だから、木を燃やし尽くすと、木が軽くなるのは、「炎が出て、消えたから」だと言われていました。

何度も言いますが、アホになってください。当時は気体さえも知られていませんでした。

ラボアジエの質量保存の法則
でもあるおっさんがある事がある事を提案しました。

 

そのおっさんが『ラボアジエ先生』です。

以下の偉人達の画像はなかむらの自作です。もし試験で偉人の顔面が出たときに、「なかむらの絵と全然違うじゃねえか!」という批判は受け付けませんw
ラボアジエ
密閉したらよくね?

と言いました。

 

で、密閉したところ
ラボアジエの質量保存の法則

ラボアジエ
ほれ見ろ!釣り合っとるやんけ!!

 

つまり、反応の前後では、質量が変化しない!という事がわかったのです。

 

これを質量保存の法則と言います!(まんまやけどな!)

 

でもラボアジエ先生は、フランス革命のときに処刑されました。

 

コラム

ラボアジエは、徴税人でいわゆる国家公務員で、市民を苦しめていたから処刑すべきだ! とライバル化学者にでっち上げられて処刑されました。

本当は税負担を下げていたのですが、ライバル化学者がラボアジエに自分の理論を否定されていたので嫉妬したからと言われています。

そこで、ラボアジエ先生は、フランス革命のせいで研究をやり遂げることは出来ませんでした。

ラボアジエ
多分な、質量に着目した方がええで

このラボアジエの質量保存という発見から『質量』に着目して研究を進めた人が居ます。

定比例の法則〜プルースト〜

それがプルーストというおっさんです。

プルースト

富士山のふもとの水も、エベレストのふもとの水も同じじゃね?

と提唱した人です。

 

何度も言いますが、この時代の人は、「原子」の存在も「分子」の存在も知りません。そりゃあH2Oは富士山だろうがどこでもH2Oに決まってんだろ!って言うのは辞めてください。

温かい目で彼らを見て上げてください。

要約するとこういう事ですが、正式にどういうことを言ったのか?というと、

プルーストの定比例の法則

ということです。
原子が無い時代にこういう事を言うと、これが正しいのかわからず、物議を醸しました。ちなみに現代の私たちにとってはこれは当然ですよね。

 

だって、H2Oという分子があるんだもの!っていう感じですよね!原子と分子が使える現代に感謝!

このラボアジエとプルーストが提唱したこの2つの法則。これはばっちりスッキリ説明するためにある仮説をした人がいます。

 

この仮説はメチャクチャ有名です!

原子説~ドルトン~

ドルトン
この世の中にはな、最強の粒があるんや!!この粒が最小単位なんや!

最強の粒=原子を提唱して、一躍有名になりました。

 

原子説というのは、

①割れない最強の粒あり
②反応は、原子の組み合わせの変化だ!
③原子は固有の質量を持つ!

この原子説があることで、質量保存則が成り立ちます。
原子説で質量保存の法則を説明

このように、原子の組み合わせが変わっているだけだから質量も変わるはず無いよね!だから質量保存の法則が成り立つよね!って言えるわけです!

また原子説によってプルーストの定比例の法則も説明できます。

 

なぜなら原子って言うのは、固有の質量を持っていて、その原子が組み合わさって出来ている化合物の元素の質量比はそりゃあ一定だよね! って言う事です。

 

さらに定比例の法則の敵として、次のようなものがありました。

 

例えば、酸化銅などでは、Cu:Oの比が異なる種類が存在したと言う事です。つまり、現代で言うと、酸化銅には、Cu2OとCuO(酸化銅(I)と酸化銅(II))があるよ。

ということです。

 

それを原子を使う事で次の法則で説明してみせました。

倍数比例の法則〜ドルトン〜

ドルトン

 

ドルトンの倍数比例の法則

これは、結構わかりにくいかもしれないんですが、この倍数比例の法則は、原子説が成り立つ上で考えると、『定比例の法則』はこれで説明できるよね!ってことです。

 

そして、これによって化合物というものをキッチリ定義する事が出来たのです。

アボガドロの法則〜アボガドロ〜

アボガドロ

気体ってさ、種類関係なく粒の数同じなら体積同じやで、

と言いました。これって現代人では当たり前ですが、当時では画期的な事でした。

 

これがいわゆる『アボガドロの法則』というものです。

 

そして、その後に気体の反応に関する法則がうまれました。

気体反応の法則〜ゲーリュサック〜

ゲーリュサック
気体反応って同温、同圧で体積に注目したら、簡単な整数比になるんやで!

 

例えば、水素の気体と酸素の気体が反応して、水蒸気が出来る反応やったら、、

ゲーリュサックの気体反応の法則

 

ドルトン
おい、お前わいの原子説を否定する気か?

ワイの完璧な理論やぞ!

ワイ、激おこ

ここで、なんで気体反応の法則がドルトンの原子説の否定になるのでしょうか?

 

実はココがメチャクチャ入試で出題されやすいのです。

気体反応の法則が原子説を否定する事になる理由

これは、先ほどの反応の例を出して考えてみましょう。

ゲーリュサックの気体反応の法則

これです。これが、実は原子説と反するのです。

原子説vs気体反応の法則

これが原子説の主張です。でも、先ほどのやつは水素:酸素:水=2:1:2となっていましたよね。

 

でもこのように原子レベルのつぶつぶで考えると、体積は2:1:1にならなければおかしいですよね。

 

だから、気体反応の法則を認めてしまうと、(つまり、気体の反応は体積に着目すると整数比になるということを認めると)原子説の信憑性が疑われてしまいます。

 

この事実を認めてしまうと、原子が分割していないと成り立たないということになります。

原子説と気体反応の法則との矛盾

原子を分割しないと、この反応の比を満たす事ができません。

ドルトン

そもそも気体反応の法則なんて無いんだ!プンプン!

気体の反応の体積なんて別に簡単な比なんかにならないもんプンプン!

って反論していた。

 

でも、そこで救世主が表れる。

分子説〜アボガドロ〜

アボガドロ

気体反応の法則は原子説では満たせへん!でも『分子』っていう概念があったらなりたつくね?

分子説なら全てを説明できる

ほらH2っていう水素分子とO2という水素分子からH2Oっていう水分子が出来る。

 

そしたら、2H2+O2→2H2Oになるし、

『質量保存則』『定比例の法則』『原子説』『倍数比例の法則』『気体反応の法則』説明できるやろ!

この分子と言う事を導入したらドルトンゲーリュサックもどちらもハッピーなんです。

 

この分子説を導入すると、見事に原子説を保ったまま気体反応の法則を説明する事ができるのです。

 

原子と言う概念を壊さずに、気体反応の法則を説明できるのです。このようにして化学史に分子と言うものが刻み込まれました。

終わりに

このように化学史というのは流れがあります。この流れがキッチリ出来ると、結構覚えやすいんです。

 

もちろん、流れをふまえてもすぐにすべてを覚える事は出来ません。なので、友達にこの化学の基本法則と化学史の流れを全て教えてあげるのです

 

しっかりアウトプットすることで、知識がどんどん自分のものになります。

また個別に学びたい人は、こちらに記事をまとめておきましたので、こちらをご覧ください。



12 件のコメント

  • 通りすがり より:

    なかむらさんの描いたプルーストは別人に見えます。
    マルセル・プルーストは作家で、化学者のプルーストはジョゼフ・プルーストです。
    おそらく勘違いをされているのだと思います。
    この記事の本質的に問題ないですし別に顔は覚える必要性はないとは思いますが念のため指摘させてもらいました。

    • 受験化学コーチなかむら より:

      ありがとうございます。
      確かに僕もプルーストってぐぐって書いたので
      ご指摘ありがとうございます。

  • 工藤 より:

    先生のイラストと会話表現が面白くて笑いながら読んでしまいました笑それと同時にわかりやすかったので良かったです(*’▽’*)

    • 受験化学コーチなかむら より:

      ありがとうございます!

  • 岡野 より:

    わかりやすかったです。
    ドルトンの原子説とゲーリュサックの気体反応の法則の矛盾を解決したアボガドロがめっちゃかっこよかったです。
    自分も矛盾を解決できるような人になりたいと思いました。

    • 受験化学コーチなかむら より:

      素晴らしい!!!

  • より:

    どうして倍数比例の法則が定比例の法則を説明できるのかが、まだ分かりません。よろしければ、詳しく教えて下さい。

  • i より:

    特定の反応において原子が分割されることを許せば質量保存則,定比例の法則,倍数比例の法則,気体反応の法則が説明できたと思うのですが、なぜそれが許されなかったのでしょうか。それを許してしまえば原子説になにか矛盾が生じてしまうからでしょうか。

    • 受験化学コーチなかむら より:

      とても面白い意見。

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    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。