こんにちは。
同位体とは何かをバッチリ言える人はなかなか少ないはずです。同位体とかなり名前が似ている同素体の区別がつかなくなり、頭がごっちゃごちゃになっている人もたくさんいるでしょう。
なので、まずはこの記事では「同位体」とは何かを学んでいきましょう。
※この記事は2分ほどでサクッと読めます。
目次
同位体とは?
原子番号が同じなのに質量数が異なる原子同士=陽子数が同じなのに中性子数が異なる原子同士
同位体は原子番号が同じなのに、質量数が異なる原子同士のことを言います。原子番号が同じ=陽子数が同じですよね。つまり質量数が異なる理由は中性子の数が異なるからです。
また、原子番号が同じなので、周期表での位置も同じってことです。同じ位置にいるから同位体って覚えると混同しにくくなります。
例えば、一番簡単な例を出すと水素原子には3つの同位体が存在します。
このように水素には3つの同位体が存在しますが、1つ目の普通の水素は中性子0個、2つ目の重水素は中性子1個、3つ目の三重水素は中性子2個。
同位体は、化学反応の性質的にはそれほど影響を及ぼしません。なぜなら、化学的性質のほとんどが電子によるものだからです。
主な同位体の「存在比」
同位体が存在する割合を存在比という。
地球上では以下のような同位体が存在している。
元素 | 同位体 | 存在比[%] |
水素 | 1H | 99.985 |
2H | 0.015 | |
3H | ごく微量 | |
炭素 | 12C | 98.90 |
13C | 1.10 | |
14C | ごく微量 | |
酸素 | 16O | 99.762 |
17O | 0.038 | |
18O | 0.200 | |
塩素 | 35Cl | 75.77 |
37Cl | 24.23 |
出典:新研究
ちなみに、化学計算ではこれらの同位体をいちいち考えていると時間がかかります。例えば、塩素なら35Clと37Clが75%と25%の確率で存在します。
なので、HClのClは毎回35Clなのか?それとも37Clなのか? と計算しなければならなくなります。それが面倒ですし、そもそもそんなこと細かく測定しないとわからないですよね。
それが不可能なので、次の章で相対質量の「期待値」を使います。
存在比から元素の原子量を求める方法
先ほども言いましたが、中性子数は化学的性質にさほど影響を及ぼしません。なので、基本的に化学反応では同位体をいちいち区別することはありません。
実際に世の中には塩素原子でいうと35Clと37Clが75:25の割合で存在しています。
ただ、1つ1つの塩素原子が35Clなのか、37Clなのかを区別するのは面倒です。なので、地球上という袋の中から塩素原子を取り出すときの、相対質量の期待値は35.5です。
このようにできるのは、同位体で化学的性質にそれほど差がないからです。
同位体の存在比の求め方
上では、同位体の存在比がわかっている状態で原子量を求める問題でした。次は逆に、原子量がわかっていて存在比の求め方をしる問題を出していこうと思います。
塩素の原子量は35.5である。35Clと37Clの存在確率はそれぞれ何%か?
こういう問題が時々出ます。なので、こういう時にも迷わずに計算ができるかです。
ステップ1:わからないものを文字でおく
35Cl:37Cl=x:y
ステップ2:連立方程式を立てて解く。
x+y=1・・・①
35x+37y=35.5・・・②(これは先ほどの原子量を求める期待値計算をそのまま文字で立式しただけ)
y=1-xを②に代入すると
x=0.75,y=0.25
よって35Cl:37Cl=75%:25%
まとめ
同位体は、同じ元素の原子で中性子の数が異なるもの。
- 原子番号が同じなのに質量数が異なる原子同士=陽子数が同じなのに中性子数が異なる原子同士。
- 普段同位体を考慮するのが面倒なので原子量を使う。
- 同位体は、周期表の同じ位置にいる
いかがでしたか? 同位体に関する知識はスッキリまとまったのではないでしょうか?
随時リンクを貼っていきます。
準備中:「同素体とは?」
準備中:「同位体と同素体の違い」
準備中:「放射性同位体とは?」