こんにちは。
受験化学の入試問題で化学反応式を書くというものがありますよね。
普通は、酸塩基、弱酸遊離、酸化還元、のような知識を使って化学反応式を作っていきます。ただ受験勉強において、詳しく反応の流れを覚えていなかったり、無機化学の工業的製法のように無理矢理起こす反応で作れなかったりする時に、意外と使えます。
こういう複雑な化学反応式を作る最後の手段が本記事で解説する未定係数法です。別に難しいノウハウではないのですが、きっちり理解しておきましょう。
目次
未定係数法で化学反応式を作るための手順
- 化学反応に登場する物質の係数を文字式で置く
- 左辺と右辺で元素ごとに関係式を作る
- 1つの文字を1とする(登場回数が多いもの)
- 文字の答えを元の式に代入し分数を排除する
この手順で未定係数法で化学反応式を作ります。これはいちいち手順を説明するより具体的に手順を見てもらったほうが絶対に早いので、実際にやってみましょう。
aCu+bHNO3→cCu(NO3)2+dH2O+eNOの化学反応式を完成させよ。
この問題できっちり未定係数法のやり方を学んでいきましょう。
1.化学反応に登場する物質の係数を文字式で置く
今回の例題の場合はすでに完成しています。
この状態にしましょう!
2.左辺と右辺で元素ごとに関係式を作る
そして、次に元素ごとに着目します。左辺と右辺で原子の数は変わりません。この原理原則を使って1つずつ関係式を作っていきます。
元素ごとにというのがどういうことを示すのかを学んでみてください。
Cuに着目
すると、まず左辺のCuの係数はaです。そして化学反応式で左辺と右辺の数は同じであるので、右辺のCuの数cですので、
a=cとなります。
Hに着目
左辺のHの係数は、左辺b、右辺のHの係数はdH2Oだから2dです。よって、
b=2dとなります。
Nに着目
HNO3のNですので、左辺のNの数はb個、右辺はCu(NO3)2とNOなので、2c+e個です。よって
b=2c+e
Oに着目
HNO3のOですので、左辺のOの数は3b個、右辺のH2OとNOのOです。
3b=6c+d+e
これらの式をまとめると
a=c・・・①
b=2d・・・②
b=2c+e・・・③
3b=d+e・・・④
となります。
3.1つの文字を1とする(登場回数が多いもの)
a=c・・・①
b=2d・・・②
b=2c+e・・・③
3b=d+e・・・④
このうち一番登場人物が多いのは、bですので、bを1とします。①、②、③、④にb=1を代入していきます。
するとd=1/2と言う事がわかります。(計算過程は画像)
これより、
a=3/8
b=1
c=3/8
d=1/2
e=1/4
となります。
4.文字の答えを元の式に代入し分数を排除する
これを手順①で作った式へ代入していきます。すると、
3/8Cu+HNO3→3/8Cu(NO3)2+1/2H2O+1/4NO
となります。両辺の分数を消すために8を掛けます。
3Cu+8HNO3→3Cu(NO3)2+4H2O+2NO
となります
【実践演習】ヨードホルム反応の化学反応式の係数の空欄を未定係数法で埋めよう
の化学反応式の空欄(A)~(D)を埋めよ
このような空欄補充の問題なんかで未定係数法を使うことができます。ちなみに、アセトアルデヒドがギ酸ナトリウムとヨードホルムに1対1対応するのはヨードホルム反応を理解していればすぐわかります。
ヨードホルム反応の化学反応式は別に未定係数法を使う必要はないです。ヨードホルム反応は必ず理解しなければいけない化学反応なので、化学反応を理解し、化学反応式を作れるようにしておきましょう。
このままにしておきます。
1.Hに付いての関係式 4+b=2+2d・・・①
2.Oに付いての関係式 1+b=2+d・・・②
3.Naに付いての関係式 b=1+c・・・③
4.Iに付いての関係式 2a=3+c・・・④
Cに付いては1~dの係数に絡んでいないので省略しました。
これらを解くとa=3,b=4,c=3,d=3となる。
このようになります。
未定係数法の解法手順まとめ
- 化学反応に登場する物質の係数を文字式で置く
- 左辺と右辺で元素ごとに関係式を作る
- 1つの文字を1とする(登場回数が多いもの)
- 文字の答えを元の式に代入し分数を排除する
すご〜く使える訳ではないけど、時々使うことができるのがこの未定係数法です。知っておいて損はないでしょう。
ただし、本記事の趣旨とは違いますが、今回出した例題の2つとも未定係数法に頼らずとも自分の力で書き出せるようにしておくことの方が大事です。
化学反応式が書けることは非常に重要です。これ以外にイオン反応式というものもあります。
たまに入試に出るんですが、あまり書ける人がいません。簡単なのに人によっては書けず、最後の最後に失点してしまいます。
イオン反応式はやり方さえ知っていれば簡単に書くことができます。
Oって3b=6c+d+eになりますよね??
3b=d+eじゃ答えが出なかったです
画像見た方が早いっすね。
多分打ち間違えたんだと思います
質問なのですが、係数を仮に1度定めるのはbとcのどちらにしましたか?この解き方の場合はbとc両方とも係数を1と定めるべきなのでしょうか?
もう一つ質問です
二問目なんですが、Iってなんで2c=3eになるんですか?
2c=d+3eだと思って解こうとしたんですけど答えにたどり着けませんでした…