モル質量と原子量、分子量、式量の違いってすごくわかりにくいんですよね。なんでモル質量には単位がついているのに、原子量、分子量、式量には単位がついてないんだよ。。。
そう思うことも多いと思います。なので、この記事ではこの違いがスッキリわかるようにします。
結論を言うと、超厳密にモル質量と原子量、分子量、式量の違いを理解したところで、それほどメリットはないです。
というのも、ここを厳密に入試で聞いて来ることを見たことがないし、なんなら入試問題の問題文でも厳密に区別できていないことがあるからです。
そのことにも触れますが、まずは厳密な区別を紹介し、そのあとに入試問題の実情を紹介します。
※2分ほどで読み切れますので、2分ほど時間を投資して読んでみてください。
目次
モル質量と原子量、分子量、式量の違いは?
ごめんなさい、一旦モル質量と原子量、分子量、式量の説明をしてから違いについて解説します。
しゃらくさいから、とっとと「モル質量と原子量、分子量、式量の違い」を教えろよ、って人は、こちらから(記事内で該当箇所に飛びます)
モル質量とは?
ある粒子をアボガドロ数個(6.0×1023個)1mol集めた時の質量をモル質量と言います。
12Cの原子の質量が1.9926×10-23g/個なので、アボガドロ数6.0×1023個集めたら、12g/molになります。
これが、モル質量でして多分こちらの方が理解しやすいでしょう。
という疑問が聞こえてきそうですね。
原子量、分子量、式量とは?
原子量、分子量、式量は、12C=12にした相対質量を元に導き出されている数値です。
相対質量は12C=12を基準とします。
このように12個の水素と1個の炭素がつり合いますよね。てことは、水素原子は炭素原子の1/12倍の質量です。
なので相対質量も12分の1ですよね。だから、1Hの相対質量は1なんですよ。
12C原子と比べて何倍か? ってので相対質量を決めているので相対質量に単位はありません。
じゃあ、原子量は?
原子量は、相対質量の期待値なんですよ。
というのも、原子には同位体があります。同じ原子番号なのに、中性子数が異なる奴らですね。
同位体がいると、原子1個の質量が変わって来るんですよ。塩素には35Clと37Clのように同位体があります。こいつらは、炭素と比べると、
このようになりますね。
塩素の質量が炭素と比べて12分の35倍なんですよ。てことは、相対質量は35ですね。
また、塩素原子には、35Clだけじゃなくて37Clの同位体が存在します。
この釣り合いを考えますね。
すると、塩素の相対質量は37じゃないですか。35と37で地球上に存在する比率は75:25なんですよ。
で、35Clと37Clを区別して計算するの面倒じゃないですか。というかあんまり区別ができないんですよ。
あんまり化学的性質に差がないんですよ。
だったら、この2つをまとめて35と37と考えるよりも、
自然界から塩素原子を取り出したら相対質量の期待値は35.5なんですよ。この35.5が原子量なんです。
原子量は相対質量
割と解説したのですが、この辺りを超詳しく説明したのが、こちらの記事です。
でもモルの定義が、原子量にgをつけたもの厳密に違う12C=12を基準とした相対値なんですよ。どのように相対値を求めるかというと、
水素原子1Hは12C=12の12分の1の質量だね。
てことは、相対質量は1だね。っていう風に考えました。
そして相対質量1を1g集めるのに、
相対質量12を
原子量は相対質量の平均値です。塩素の相対質量は35.5ですが、これは12Cと比べて35/12倍重い35Clと37/12倍重い37Clが存在するんですよ。これの割35と37がいるって考えるよりも、面倒だから全部まとめて35.5だと考えた方が早いんです。
ちなみに、分子量や式量は構成原子の原子量の和ですので、特に難しく考える必要はありません。
これを踏まえて違いをわかりやす〜く説明すると
水素原子1Hで例を出しますね。
1H原子の原子量は1である。
↓
これを1gになるまで集めた時、6.0×1023個でこれを1molと呼んだ。
次に、モル質量は、
1H原子の粒があります。
↓
1mol(6.0×1023個)集めたら1gでした。
違いってこれだけ。
原子量1の原子が1gになるように個数を揃えたものを1molと定義したんですよ。
じゃあ、原子1mol集めたら1gになるよね。
クソくだらねえ。。。。
割と、くだらないことなんですが、悩んでいる人がいたら困るので解説しました。あんま気にしなくていいですよ。
厳密な違いはそれほど重要ではないです
ごめんなさい。厳密に理解したほうがいいには決まってますが、混同していても特に問題はありません。原子量を与えられても普通にg/molとして扱いますよね。
もはや、計算問題で厳密にモル質量と原子量、分子量、式量を区別することはありません。
僕もそれほどいつも明確に違いを意識していなくて、
このような図のように、モル質量の中に、原子量、分子量、式量が含まれているという理解で全く困りません。
というか入試問題でもね、言葉が混同されていることが良くあります。
そもそも原子量は相対質量の期待値なのですよ。なので、「原子量の基準変更問題」っていうのは厳密な表現ではありません
まとめ
- モル質量は粒子を1mol集めた時の質量。よって単位はg/mol
- 原子量、分子量、式量は、12C=12を基準にした時の相対的な数値。よって単位はない。
- でもあんま気にすんな(笑)