分子式とは?書き方や読み方のルールを総まとめ

分子式とは?

分子式自体全くわからないって人はいないでしょう。ですが細かいルールを全て理解できている人は割と少ないんじゃないかと思います。

 

例えば、有機物はCHNOPという順番で並ぶのに、炭酸は、H2CO3っていう分子式ですよね。他にも分子式と組成式とはどう違うのか? 分子式と示性式や構造式とはどう違うのか?

 

そのあたりまでバッチリ区別できるような記事にしていきます。ぜひ最後まで読んでみてください!

目次

分子式とは?

分子式とは

分子を構成する原子の種類とを表したもの

例えば、水だと、

水 極性

このような構造です。これを分子式で表すなら、H2Oのように表します。Hの数もHの元素記号の右下に数字を入れて表します。Oは1個だけなので、書きません。

他にもグルコースは、

C6H12O6と表します。このようにCの数を数えなければならないので、ほぼずっと結合を繰り返し、原子の数もわからない金属やイオン結晶は、分子式では表さず組成式で表します。

分子式の読み方にルールはあるか?

基本ルール

後ろの陰性の元素から「〇〇化△△」と読む。原子の数も含めて読む。

例えば、CCl4四塩化炭素、CS2二硫化炭素などのように、読みます。

例外ルール1

慣用名は、暗記する

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H2O=水、NH3=アンモニア、HNO3=硝酸のようなものは、もはや覚えるしかありません。このように、昔からの習わしで名前がついているものは、覚えましょう。

特に有機化合物には、慣用名が非常に多いので、記事にまとめました。こちらは必ず読んで全て言えるか確認しておいてください。

慣用名〜それは有機化学で覚えるしかない化合物

オキソ酸のルール

酸素を含むさんの場合で分子中の酸素原子の数が基準となる酸に比べて少ない方に「亜・・・」、多い方に「過・・・」をつけることがある。

オキソ酸とは?

亜硫酸とか過酸化水素とか、この亜や過ってなんやねんって思ってませんでしたか? これは、酸素が多いか少ないかを表しているのです。

 

硫酸H2SO4に対して亜硫酸はH2SO3です。

水H2Oに対して過酸化水素はH2O2です。

ちなみに酸素が2個不足すると”次”をつけて次亜になる。

例:塩素酸(HClO3)に対して次亜塩素酸(HClO)

分子式の書き方のルール

分子式の順番

分子式ってどういう順番で並んでいるのか、疑問に思うと思いますよね。

簡単なものだとH2OってOH2ではダメなのか? H2SO4はO4SH2ではダメなのか? と疑問に思いますよね。実は、これにはルールがあります。

そのルールがこちら。

分子式の書き方のルール

陽性が大きい(陽イオンになりやすい)ものを左から順番に書く

これが、分子式の書き方のルールです。だいたい電気陰性度の小さい順だと思ってください。なので、陽性が最大なのが周期表の左下のFr(フランジウム)で陰性が最大なのが周期表の右上のF(フッ素)となります。

 

希ガスは、電気陰性度を定義できません。というのも、電気陰性度は共有結合した電子を奪い合う力の強さを表すものです。電気陰性度とイオン化エネルギー,電子親和力を徹底区別!

ただし、例外もあります。

例外1:有機物はCHが先に来る

有機物は、C,Hが先頭に来てその後アルファベット順

だって、陽性はC<Hです。本来はHが前に来てもいいはずです。しかし、有機化学は炭素骨格が主役、その周りについているHがその次に重要なので、C,Hが順番に来ます。

例えば、グリシンというアミノ酸の場合は、

グリシン 分子量

分子式はC2H5NO2のようになります

CHの後にアルファベット順です。

例外2:例外は例外なんじゃ。

NH3は、ルールを無視されております。

分子式と組成式の違い

分子式と組成式の違いって結構ややこしいです。

これは、ズバリ、

分子式と組成式の違い

分子式は分子を構成する原子の種類と原子数を表したもの。

組成式は物質を構成する原子の種類と原子数の比を表したもの。

なので、分子式は分子以外では使えません。一方組成式は全ての物質で表すことができます。イオン結合で繋がる塩化ナトリウムNaClは、完全に組成式です。

Na+ClNa+ClNa+ClNa+ClNa+ClNa+ClNa+Cl・・・・・・・

のように、ずっと繋がってNaとClの数を数えるのが困難だからです。分子ではありませんが塩化ナトリウムを仮に分子式で表すとしたら、Na45232535Cl45232535とかになるでしょう。現実的じゃないので、組成式で表します。

 

なので、酢酸を例に出すと

酢酸の構造式

分子式はC2H4O2になります。一方組成式はCH2Oになります。

分子式=(組成式)nで表すことができます。

詳しくはこちらの記事で分子式と組成式の違いにのみ詳しく話しています。

分子式と構造式と示性式の違いは?

これは、有機物を表すときです。有機化学は「形」の学問です。なので、構造式が一番具体的に有機物質を表しています。例に酢酸を出してみると次のようになります。

酢酸
構造式 酢酸の構造式
示性式 CH3COOH
分子式 C2H4O2
組成式 CH2O

 

補足

実は、CH2Oは受験においてかなり重要な組成式なんですよね。構造式でCH2Oが出て来たら僕はある程度、あいつとあいつとあいつかな、、って狙いを決めます。受験テクニック的には、CH2Oで考える有機物は覚えておいた方が有利です。

組成式CH2Oで考えられる分子

n=1→ホルムアルデヒドCH2O

n=2→酢酸C2H4O2

n=3→乳酸C3H6O3

n=6→単糖C6H12O6

まとめ

重要ポイント
  • 分子式は、分子を構成する原子の種類とその数を表している。
  • 分子式は、陽性が大きい順番に書かれる。NH3は例外
  • 有機物はC,Hの後にアルファベット順で分子式が書かれる

本日の記事はいかがでしたか? 最後までご覧いただきありがとうございます!



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浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。