こんにちは。
このような疑問にお答えしていきたいと思います。混合物の分離法の中でよく出題される「石油の分留」でセンター試験にも時々出ますのでしっかりマスターしていきましょう。
目次
そもそも原油や石油は?違いは?
原油や石油は炭化水素の混合物です。炭化水素に関してはこちらの記事「アルカンで入試で出る事!原油とかナフサっていったい何?」でも解説していますが、名前の通り炭素と水素でできている有機物です。
原油とは石油が油田から汲みたてほやほやの状態です。原油には不純物の硫黄や窒素や酸素などが含まれています。
石油は灯油とかガソリンとか重油とかの混合物の状態です。この石油という混合物を分離することで、車を動かしたり、飛行機飛ばしたり、ストーブ使ったりしてます。
原油や石油はさまざまな混合物であり、それぞれ性質が違うんです。例えばですけど、灯油とガソリンが混ざってる状態ですね。
ってなわけで、ちゃんとこの混合物を分けてやらんとあかんわけです。
そこで分けるために使う方法が「分留」なんですね。
石油(原油)の分留のやり方の手順をわかりやすく解説
液体の混合物から分離する方法です。分離の仕方は「沸点の違い」を用います。
石油の分留では、石油を気体になるまで沸騰させます。沸点が高い順に取り出す方法です。
詳しく解説していきますね。簡略化した図で話します。石油を分留する工場みたいな装置を精留塔と呼びます。
この精留塔で徐々に沸点が高い液体から脱落させていきます。
精留塔というバトルタワーに参加するのは、石油の成分である以下の5つ。
- 石油ガス
- ナフサ(ガソリン)
- 灯油
- 軽油
- 重油
こいつらを沸点が高い順番に脱落させていきます。
ステップ1:めっちゃ熱々ゾーンに原油をぶち込む
原油をめっちゃ熱々ゾーンに流し込みます。めっちゃ熱々ゾーンは350℃くらいです。こうなるとほとんどの原油の成分は沸騰して気体になります。
だけどこの350℃でも気体になれない沸点が高すぎるやつがいます。それが重油です。
この時点で350℃のめっちゃ熱々ゾーンで重油は取り出すことに成功しました。
ステップ2:気体になった石油が熱々ゾーンに入り冷やされて軽油が脱落する
重油を除いた原油は今気体となって、熱々ゾーンに上がります。ここは大体250~320℃ほどです。
250~320℃は軽油の沸点よりも低いのです。ってことは軽油は気体から液体になります。
ここで軽油は液体になったので脱落して分離完了です。
ステップ3:残りの石油がぼちぼちゾーンにたどり着き灯油が液体になり分離
重油と軽油が取り除かれて、残りは石油ガスとナフサと灯油です。次にぼちぼちの温度なゾーンにたどり着きました。
ここの温度は180~250℃で、灯油の沸点より低いです。
ここで灯油が気体から液体に変わります。
ステップ4:最後の常温ゾーンで液体になるナフサとまだ気体の石油ガスに分離される
最後に原油が常温くらいに冷やされてナフサが液体になります。そしてナフサが脱落します。最後まで生き残ったのが石油ガスです。
んで、実際精留塔は以下のような仕組みになっております。このように大きな工場で石油が徐々に日常で使いやすいように分離されていきます。
最後にまとめた図が以下のようになっています。
このように石油の分留は沸点の違いを使って、徐々に冷やしながら分離していくんです。
まとめ:石油の分留は沸点の違いを用いて混合物を分離していく方法
- 分留は「液体と液体の混合物」を沸点の違いで分離する方法
- 石油の分留は加熱して沸騰させ、冷却しつつ凝結させて取り除く
別の記事では蒸留と分留の違いを解説しています。ぜひ蒸留と分留の違いを頭に入れておいてください。
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