こんにちは。
中和滴定って色々な器具をつかいますよね。
実験器具って実際に使ったことがないとなかなか頭に入らないですよね。教科書や参考書だけではイメージがわきませんからね。
この中和滴定の器具も頭こんがらがりませんか?
コニカルビーカーやら頭ごちゃごちゃになるわけなんです。実際そういう質問がきました。
実際こんなメッセージも来ました
いつもブログめっちゃ見てます。最高です! まさか自分が緩衝液とか電離平衡に抵抗がなくなるとは、、、焦ってます!
これも全てなかむらさんのおかげです。
ただ、、計算めっちゃできるようになったんですが、実験器具で共洗いとか入ってくると厳しいです。
なんかごっちゃになります。いい方法ありませんか?
実験器具の区別ができない問題です。今回はこの疑問について解説していきます。
ちなみに、共洗いに関してよく間違いを誘発してしまう書き方がなされています。
よく、参考書には、「共洗いするもの、しなくてもいいもの」という書き方がされていますよね。実はこれ間違っているんですよ。
「共洗いする物、共洗いしなくてもいいもの」ではなく、「共洗いするもの、してはいけないもの」なのです。
ということで今回の記事にこの詳しい内容が書かれています。絶対に最後まで読んでください。
目次
【語呂】共洗いが必要な中和滴定の実験器具はこうやって覚えろ!
ビュレットとホールピペットは共(とも)洗いをしなければならない
受験テクニック的には、ビュレットとホールピペットの2つが共洗いが必要です。
名前でわかりますが、共(とも)洗いが必要な実験器具は単語の終わりに“と”があるのです。
結構しょうもないように感じますが、この覚え方でどれが共洗いをするかは覚えられますね!
ですが、きっちり理解していないと全く意味がありませんし、難関大学ならば実験器具の記述問題が出てしまいます。
そこで、今回は『なぜ共洗いをするのか? 共洗いをしてはいけないのか?』を解説します。
共洗いする理由を理解するには中和滴定の実験の流れを覚えろ!
共洗いをする理由を理解するためには、まずは中和滴定の実験の流れを覚える必要があります。
中和滴定で共洗いする理由と共洗いしてはいけない理由は「正確に測るため」
共洗いする場合も、共洗いしてはいけない場合も、両方とも理由は正確な数値を知るためです。
意外とわかっていない実験器具系
このブログでは中和滴定を扱うときは、大体『計算』に着目したり、酸塩基の定義に着目してきました。
例えば、この記事
これでは酸塩基の定義に着目し、そして酸塩基の計算問題では、『こういう式をたてろ!』と言う情報を書いています。
また、他にも、
『炭酸ナトリウムの二段滴定の受験テク!滴定曲線の書き方!』
とか
『逆滴定(二段滴定)の計算問題の解法!アンモニアと二酸化炭素にヤマはれ!』
とかのように、
かなり難しい逆滴定で、物質のモルを求める『計算』をお渡ししました。
『電離平衡大全!pH計算のための水素イオン濃度の求め方!』
のように電離平衡から、[H+]を求める方法をかなり詳しくやってきました。
特殊なパターンである『塩の加水分解』も『緩衝液』も楽勝で攻略できる方法もお渡ししました。
これで中和滴定出来ない
受験生は撲滅だろ!!
『中和滴定の流れ』がわかっていない。
そもそも
『器具をちゃんと覚えていない』
『希釈されてもいいときとダメなときの区別』
ができてない。
だと思います。なので、この疑問を徹底的に潰します!
と、その前に、、
中和滴定の言葉のまとめ
中和滴定って結構よくわからない言葉をあんまり気にせず使っていると言う事もあると思います。
中和滴定には、意外とちゃんとわかっていない言葉が何個かあります。なのでそれをまとめていきます。
標準溶液
標準溶液とは、『標準となる溶液』つまり、『濃度』が既にわかっている溶液の事です。
試料
試料とはその名の通り、試す材料です。なので、中和滴定で濃度を知りたいものが試料です。
[quads id=5]そもそも中和滴定の目的は?
そもそもあなたは中和滴定の目的わかってますか?
案外これわかってないと、器具を使う意味もわからへんし、ひいては、共洗いする意味もわからへんわけです。
だからここでキッチリわかっておいてください。
この中和滴定の目的は、『試料の濃度を知る事』です。
また、逆滴定などでは、二酸化炭素やアンモニアのモルを測定する事が目的でした。
しかし、気体の状態では、どうせ滴定は出来ないわけですから、溶液に溶かすのでした。
(※溶かした方はちょっと特殊です。)
逆滴定に関してはこちら
中和滴定の流れ
器具で共洗いをするかどうかは、中和滴定の流れを知っているかどうか、にすべてかかっていると言っても過言ではありません。
たとえば、
『試料はどの器具に入れるか?』
とか、
『標準溶液はどの器具に入れるのか?』
とかです。
だって、そもそもビュレットでたらすのは、『試料』ですか?『標準溶液』ですか?
って聞かれてわかりますか?
それがわかっていないと、まず、共洗いはわかりません。ひとまず中和の流れを解説した動画をご覧下さい
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
手順①標準溶液をホールピペットで測り取る
まずは、標準溶液からホールピペットで、正確な体積分取り出します。
標準溶液は濃度がわかってるし、さらに体積を正確にわかれば、モルがわかります。
ということで、H+のモルもわかります。
ていうことは、中和点でのOH–のモルもわかりますね!
手順②ホールピペットから、コニカルビーカーに移す
このコニカルビーカーに、さきほどホールピペットで測った、溶液をぶちまけます!
このコニカルビーカーは反応が起る場所です!
ちなみに、この垂れ流し方にも、理由があります。
この画像を見たら、ビーカーの壁をつたって、入れてありますよね!
これです。
こうする理由は、『飛び散ったら困るから』です。
飛び散って、コニカルビーカーの壁についたらどうですか?
ステップ①飛び散る
ステップ②飛び散ったものも含めて標準溶液のモル
ステップ③飛び散ったものが忘れられて中和滴定終了
いや、あかんがな!
そう、測り取る試料の反応する量も変わっちゃうわけなんですよ!
だから、こういうのを防ぐために、飛び散ってるかもしれへんから、コニカルビーカーの壁面を純水で洗い流したりします。
さっき言ったように水増えても全然オッケーなんですよ!
ちなみに、今話した内容は、標準溶液の測り取ったモルより減るからダメ!って言いましたが、
『増えてもあかん』
ってこともわかりますね!
手順③試料をビュレットに入れて滴定始めちゃう
こんな感じで、滴定を開始します。
そして中和点は、指示薬の色で決めます。
手順④中和点でのビュレットの体積変化を調べる
この最初のビュレットの体積を実験ノートにメモっておきます。
そして中和点での体積をメモれば、『中和で必要だった体積』がわかります。
今回は、酸の標準溶液で塩基のモル濃度を測る滴定だったとすると、
下にわかっている物を赤色
わからない物を青色にします。
こういう反応式が完成します。
もうわからない物が1つだけなんで、答えがわかりますね!ちなみに、mは酸の価数nは塩基の価数を表してます。
このような手順で中和滴定実験は行われます。
中和滴定に出てくる器具
中和滴定に使われる器具ですが、主に4つあります。
先ほどのセクションであなたはちゃんと読んでくれたと思いますが、3つ出てきました。
残り1個のメスフラスコ
は濃度の調製のところで出てきます。
『濃度調製に関する記事はこちら』
メスフラスコは標準溶液を作る器具です。
それ以外は、実験手順で出てきました。
ホールピペット、コニカルビーカー、ビュレット、です。
これらのうちどれが共洗いすべきか、どれが共洗いすべきではないかと言うのをお話しします。
まずはこちらの動画で一度頭に入れておいてください。
ホールピペット
正確に線まで溶液を測り取る器具です。
「共洗いしなければならないもの、純水でもいいもの」←この書き方がややこしくする
なんかこの書き方やと、こう思いませんか?
共洗いしてもいいけど、別に
する必要ないんや〜〜ラッキー
こういう意味じゃなくて、実際は、
『共洗いしてはいけない!』
『純水じゃないとダメ!』
って事なんです。
それでは共洗いするものしてはいけないものを解説して行きます。
共洗いしなければならない実験器具とその理由
共洗いしなければならないものは、ホールピペットと、ビュレットです。
ホールピペット
ホールピペットにもし水が入っていたら、どうなるか?
(※りょうの漢字間違ってますorz)
正確な標準溶液が測れない
↓
反応するモルが変わる
↓
中和点がバグる
このため、ホールピペットは共洗いをして、水滴を除去しないと行けないのです。
ビュレット
ビュレットに水滴があっても大変な事になります。
ビュレットに水滴があると、水滴が滴下されたことも、ビュレットの体積変化の一部として数えられてしまいます。
これはやばいです。
こうなると、
試料の濃度がバグる
↓
標準溶液と反応する量がバグる
↓
中和点がバグる
と言う流れがおきますので、やはり、ビュレットも共洗いが必要です。
共洗いして水滴を落としましょう!
共洗いしては行けない実験器具とその理由
共洗いしなくてもいいじゃなくて、『してはいけない』のですよ!
水滴があっても影響を受けない器具が純水洗いします。
逆に溶液がついてしまっていると、反応が狂います。
メスフラスコ
メスフラスコが共洗いしてはいけない理由は、
標準溶液の調製の記事で書いています。こちらでご確認ください!
コニカルビーカー
なぜコニカルビーカーは水滴が残ってていいのか?
それは、水が増えても、『H+やOH–のモルは変わらない』からです。
この三角フラスコで重要なのは、
『モル濃度が変わらない事ではなく、
モルが変わらない事』
なのです。
その証拠に、酸塩基では、どういう式を立てればいいかというと、
これでした。
既に測り取った溶液ですから、別に、H+のモルは一切変わりません。
じゃああなたに聞きます。
とある酸性の溶液(標準溶液)がありました。
C[mol/L]の濃度がV[mL]
ありました。
これをある塩基(試料)で中和滴定します。
さあ問題です、
酸性の溶液(標準溶液)に水を加えたところで、中和する塩基(試料)の量変わりますか?
もちろんですが、
この式を立てるんですから、
水が増えようと、
全く関係ありません。
つまり、反応する場所となる、コニカルビーカーは、蒸留水洗いでOKです!
いや、むしろ!!!
共洗いなんかしたら、モル変わっちゃうから絶対にやってはいけないのです!!!
なんか、参考書とかに、「共洗いする必要はない!」って書いてあるけど、
厳密に言うと、「してはいけない」やから注意しておいてください!
最後に共洗いをしなければならない、共洗いをしては行けない、の見極めの仕方の最強の考え方をお教えしますので、もう少しお読みください!
加熱して乾かしたらあかんの?(おまけ)
『体積を正確に測るもの』は絶対に加熱してはいけません。
膨張して、器具の容器のメモリや体積が変わってしまったら、正確に測れへんからこれはあきません。
正確に体積を測る必要があるのは、溶液を正確に取り出さなあかん、
ホールピペットと
正確に希釈するために必要な
メスフラスコは
加熱しては行けません。
『正確に体積測る器具は加熱したらあかん』
こう覚えておいてください。
共洗いまとめ
ワタナベ流まとめ!
共洗いをしなければならない、してはいけないの
覚え方は、
共洗い◯ | その器具内で溶液混ざらないもの |
共洗い× | 器具内で溶液混ぜるもの |
こう覚えてください!
とても分かりやすかったです!
しかし、最後の過去問集に飛べないのですが、会員か何かでなければ閲覧できないのでしょうか。(ちなみに、パソコンから見ています。)
宜しくお願いいたします。
メルマガでお渡しします!
ありがとうございます。
「共洗いをする必要がない」ではなくて、「共洗いをしてはいけない」だったんですね!
正しい知識を得られてよかったです!!
そうなんですよ!
学校の教科書だと、
「共洗いしなくてもいい」
みたいな記述なんで迷っちゃうんですよね〜
とがつくやつがとも洗いの”と”って覚えると瞬殺ですよ
ホールピペット、ビュレット
おお!これはすごいですね!
これは使わせて
いただきます。
理解もしやすい上に覚えやすくて思わず笑ってしまいました。
いままでこんな簡単なことを理解せずに丸暗記しようとしていた自分がアホでしたね(笑
ありがとうございます。
そうなんですよね〜考えたら当たり前なんですよね〜
是非使いこなしてみてくださいね〜
共洗いは、「する必要ない」ではなく、「してはいけない」だったんですね!
共洗いに関しての知識すっかり抜けていたのでとても助かりました!!
そうなんですよね。
ありがとうございます!
そういう整理の仕方はしませんね。
蛇足かもしれませんが、「細長い器具」は共洗い必要‼︎という覚え方もどうでしょうか。個人的には気に入っているのですが…
なるほど!それは良いですね!
メスフラスコが共洗いしても大丈夫、になってます…!
本当はダメですよね?
飛べばわかると思いますが一応…!
ありがとうございます。
びっくりするほど分かりやすい!暗記する必要なんて、一切ありませんね!
次の学年末テストに活かせそうです!
よかったです!ありがとうございます。
僕の学校では、中和滴定の際シュウ酸標準溶液は最初から液体で、粉末(シュウ酸)から水を入れるという作業がありませんでした。その場合、シュウ酸の測容器具は共洗いしてもいいと思うのですがどうでしょうか?