アルコールの脱水反応を構造決定に使う方法!ザイツェフ則とは?

受験化学コーチわたなべ
うも、わたなべです。

脂肪族の勉強で、
なかなか重要なのが、
このアルコールです。

 

アルコールはちょっと反応
させるだけで、
アルデヒドになったり
アルケンになったりと

 

脂肪族の起点になっているような
物質です。

起点
今日は、アルコールの脱水反応
をどのように構造決定に
活かして行くか、

 

それを学んで行きましょう。

目次

アルコールの脱水の触媒

アルコールってどういう
結合でしたか?

 

そう、σ結合でした!
σ結合はπ結合よりも
強固な結合です。

二重結合の電子が意味わからない!?σ結合とπ結合の違い!

なので、この強固な結合を
切るためにはやはり
強い試薬を使わないとダメです。

ということで、
アルコールの脱水は、
強い試薬である、
濃硫酸を使います。

 

濃硫酸の脱水のメカニズム!

濃硫酸というのは、
98%以上の濃度の
硫酸水溶液の事です。

濃硫酸が脱水剤として使われる理由が構造式から明らかに!


つまり、
98%H2SO4であり、
のこりたった、2%が水です。

 

そして
H2SO4って超強酸ですよね、

 

てことは、H+
投げたくて投げたくて仕方が
ないわけです。

 

濃硫酸

でも、
投げる相手が居ない、
   
希硫酸ならH2Oが豊富にあるので、
H2SO4から
H2Oめがけて、
H+を投げる事が出来ます。
   
H2O+H+→H3O+
   
でも、濃硫酸が投げる相手が居ない、
よってアルコールとかを見ると、
-OHにむけてH+
投げつけて、水が取れるようにします。
   
このメカニズムは、この後に
キッチリ説明してあります。

 

 

アルコールの脱水は2種類ある!

アルコールの脱水は2種類あり
その2つは温度
区別されます。

分子間脱水

分子間脱水は
約130℃〜140℃で脱水すると、
起ります。
   
超詳しいメカニズムは次のように
なります。
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子間脱水
 
分子間脱水
 
分子間脱水
なので、130℃から140℃で
分子間脱水が起ると、
アルコールから『エーテル』が
出来ます。

分子内脱水

分子内脱水は
160℃〜170℃で起ります。
   
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
分子内脱水
 
このように、約160〜170℃で
脱水を行うと、
アルコールからアルケンが出来ます。
   

ザイツェフ則

これは分子内脱水に関する、
経験則です。
   
アレクサンドル・ザイツェフっていう
おっさんが、発見したもので、
分子内脱水するとき、
   
たとえば、2-ブタノールとか、
ザイツェフ則
2種類できますよね。
  
このとき実は、
上が副生成物で
下が主生成物なんです。
   
 

ザイツェフ則
ヒドロキシ基が脱水されるとき、
-OHの結合した両隣のC原子のうち、
水素原子の数の少ない方から
H原子が優先的に失われ

  
それが主生成物となる!

ザイツェフ則
だから、赤線で囲われた方、
が脱水する方が主生成物
であると言う事です。
   
似たような法則で
『マルコフニコフ則』というもの
があります。
   

アルケンの反応!付加反応のマルコフニコフ則とはなにか?


マルコフニコフ則は、
水素化物が付加する時に
Hが多くついている方
Hが付加するのでした。
   
つまり、

くっつくときは、マルコフニコフ則!
抜けるときは、ザイツェフ則!

というわけですね!  
2つとも経験則ですし、
   
構造決定では時々、
知っている前提で問題が出る事も、
ありますし、
   
以前センター試験でも出てます!笑
  
なので、学校で習ってないから〜とか
ダメですよ〜

   
それではありがとうございました!

9 件のコメント

  • バイオリン より:

    O原子がHイオンを受け取った後、水になっている反応は、
    ①O原子がHイオンを受け取って、OHーになる。
    ②硫酸の投げたHイオンと結びつく。
    ③水になる。
    という解釈で合っていますか?

    • 受験化学コーチわたなべ より:

      -OHのOに硫酸のHがくっつくことで既にH2Oになっています。

      • バイオリン より:

        わかりました!
        ありがとうございました。

  • かさな より:

    脱水って二重結合でするのはわかるのですが、三重結合の時には起こらないのですか?

    • 受験化学コーチわたなべ より:

      二重結合でも三重結合でもしません。

  • 匿名 より:

    アルコールを濃硫酸なので脱水するとエステルを生じますか?

    • 受験化学コーチわたなべ より:

      カルボン酸があれば。

  • 椋介 より:

    何故濃硫酸の片方からしかhプラスは外れないんですか?

    • 受験化学コーチわたなべ より:

      図解的にそう書いているだけで、そうとは限りません。

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    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。