こんにちは。
今日の反応は非常に重要です。
なぜなら、アルコールの酸化は、
構造決定で、級数を決める上で
非常に重要な反応となるからです。
このアルコールの酸化反応が
わからないと、
絶対に構造決定が解けません。
また、アルコールの酸化では、
強い試薬を使います。
例えば、強酸か剤の
二クロム酸カリウムK2Cr2O7や
これよりも強い試薬である、
過マンガン酸カリウムKMnO4
こいつらを使います。
その理由もきっちりわかるように
お伝えして行くので、
安心してついて来てください!
目次
アルコールの結合
アルコールというのは、
全部σ結合でできています。
ご覧のように
二重結合(π結合)がありません。
なので、
反応性がかなり低いです。
アルコールは簡単に
酸化できません。
なので、どうすべきかというと、
非常に強い試薬を使って、
強引に酸化していかないと
ダメなのです!
で、使うべき、酸化剤というのが、
K2Cr2O7
だったり、
KMnO4だったりするのです。
この2つの酸化剤としての半反応式は、
MnO4–+5e–+8H+→4H2O+Mn2+
と
Cr2O72-+14H++6e–→7H2O+2Cr3+
となります。
アルコールの酸化は級数による
アルコールの酸化は級数によって、
起る反応が異なります。
ということは、
その反応がわかれば、
逆に、
級数がわかる!と言う事になります。
なので、級数ごとの反応を
学んで行きましょう。
第1級アルコールの酸化
第1級アルコールを酸化すると、
アルデヒドができます。
アルデヒドは還元性がある
物質ですので、
自分は『メチャクチャ酸化されやすい』
わけです。
アルデヒドは、酸化されると
カルボン酸になります。
アルコールの酸化の反応式
アルコールを酸化して、
アルデヒドを作る反応の
反応式をつくることは、
容易に出来ます。
これは酸化還元反応なんだから、
半反応式を立てて、
電子を消せば楽勝で出来ます。
見慣れない反応式を見たら、
すぐ暗記しようとする人は、
それは、受験において致命的なエラーになりますので辞めましょうね!
まず、アルコールの酸化の
『半反応式がわからない』と
言う人が居るかもですが、
アルコールから、アルデヒドに
なるということがわかれば、
十分です。
RCH2OH→RCHO
ステップ①Oの数
Oの数は一緒なので、
H2Oを加える必要は
無い。
ステップ②Hの数
右辺の方がHが2個足りないので、
2H+を足す、
ステップ③電荷の調整
両辺の電荷を調整します。
すると、右辺が、2+なので、
それを打ち消すために、電子を加えます。
2e–とすると、
RCH2OH→RCHO+2H++2e–
となります。
これと先ほどの二クロム酸カリウムの
半反応式を加えれば
良いだけです。
(還元剤)RCH2OH→RCHO+2H++2e–
(酸化剤)Cr2O72-+14H++6e–→7H2O+2Cr3+
これを足し合わせれば、
反応式が出来ます。
アルデヒドからカルボン酸への反応式
これもまた、反応式の作り方は、
単純明快で、
もちろん普通の酸化還元反応です。
アルデヒドからカルボン酸になることは誰でもわかりますよね。
ステップ1:左辺アルデヒド、右辺カルボキシ基
RCHO→RCOOH
ステップ2:酸素OをH2Oで補う
RCHO+H2O→RCOOH
ステップ3:水素HをH+で補う
RCHO+H2O→RCOOH+2H+
ステップ4:左辺と右辺の電荷の偏りを電子e–で補う
RCHO+H2O→RCOOH+2H++2e–
第2級アルコールの酸化反応
次に第2級アルコールの
酸化に参りましょう。
第2級アルコールを酸化すると、
ケトンが生成されます。
第2級アルコールの酸化の反応式
第2級アルコールの酸化反応の
式は下のようになります。
(還元剤)RCH(OH)R’→RCOR’+2H++2e–
(酸化剤)Cr2O72-+14H++6e–→7H2O+2Cr3+
これを合わせれば、
反応式となります。
第3級アルコールの酸化
第3級アルコールの構造を
ご覧下さい。
第3級アルコールはこの画像のように、
-2Hする場所がありません。
なので、
酸化できません!!!
第3級アルコールを無理やり酸化する方法
第3級アルコールを無理やり
酸化する方法があります。
それが、
完全燃焼、、笑
CO2とH2O
になります。
でも、第1級アルコールも第2級アルコールも
区別できなくなるので、
こんな事をしてもメリットはありません笑
まとめ
アルコールの酸化は、
第2級アルコール→ケトン
第3級アルコール→酸化できない
となります。
これめっちゃ大事なんですよ。
この知識ってセンター試験で出るから
覚えろ!って言ってるわけじゃないです。
この知識を知っていると、
構造決定で、アルコールの級数を選ぶのに役に立つのです。
第1級アルコールと第2級アルコールと第3級アルコールとでは、見た目や匂いで判断することは出来ないんです。
なので、構造決定で級数を決めるのは、このアルコールを酸化してどうなるかなのです。
こちらを御覧ください!
この酸化のときに、硫酸酸性のニクロム酸カリウムを使うんですか??
基本的に過マンガン酸カリウムでは何でも酸化できます。あまりに強いので、
一級アルコール→アルデヒドの工程では、
それよりも弱い二クロム酸カリウムを使うことが普通です。もし、過マンガン酸カリウムを使えば
すぐに一級アルコール→カルボン酸となることでしょう。
因みに、硫酸酸性にする必要性はありません。
硫酸酸性にする目的はあくまで反応物質間でH+
を増やすことによってルシャトリエの法則から、
酸化を促進させることです。
最後「参加」になってしまってますよ.. 大変参考になりました。
ありがとうございます