アルカン、アルケンときたので、次は、alkyne(アルキン)の反応をマスターしてきましょう!
アルキンというのは、炭化水素でかつ、>C≡C<(三重結合)を持つ総称です。
これは、置換命名法がわかっているとわかります。
alkyneのうち、
alk(炭素数)
y(三重結合)
e(構成元素C,Hのみ)
また、三重結合というのは、強固なσ結合と、弱いπ結合2本で出来ているので付加反応、付加重合をします。
アルキンは主に、アセチレンH-C≡C-Hが主に出題されます。なので、アセチレンをメインに説明します!
目次
アセチレンの生成
アセチレンは、特殊な生成反応があります。
CaC2+2H2O→Ca(OH)2+HC≡CH↑
と言う反応が起ります。
このCaC2をカルシウムカーバイドと言います。
カルシウムカーバーイドの名前の付け方
カルシウムカーバーイドは、炭素(carbon)の陰イオン(~ide)と言う意味です。
※少数原子からなる、陰イオンを、~ideにするというのがこの世の習わしです。
カルシウムカーバイドの反応
カルシウムカーバイドの
アセチレン生成反応は、
カーバイドイオン(:C≡C:)2-
が水の電離で生じたH+と
結合してアセチレン(HC≡CH)
になる反応で、
水の電離で生じるOH–と
カルシウムカーバイド由来の
Ca2+でCa(OH)2が
生じる。
(:C≡C:)2-+2H+→HC≡CH
Ca2++2OH–→Ca(OH)2
カルシウムカーバイドの生成反応
カルシウムカーバイドは以下の手順で、
生成されます。
生石灰(CaO)とコークス(C)
を電気炉で強熱すると得られる。
CaCO3→(加熱)CaO+CO2
CaO+3C→(電気炉、強熱)CaC2+CO
アセチレンの付加反応
アセチレン等のアルキンは、
ほぼほぼ、アルケンと同じ反応を
します。
めっちゃ大事やからね!
アルケンみたいに、
H2,X2(ハロゲン)
HXと付加反応するのは、
一緒です。
H2付加
【水素付加アルキン】
アルケンのところでも言いましたが、
水素付加は、ラジカル反応です。
そして、水素ラジカルをぺたぺた
くっつけておくのが好きな、
Ni,Ptを触媒にします。
これで、
H-C≡C-H→CH2=CH2
と付加反応が起ります。
さらに付加反応をします。
CH2=CH2→CH3CH3
臭素付加
Br2水に付ける事で、
臭素が付加されます。
これは、陽イオンがいったん攻撃し、
その後に、陰イオンがアタックする
反応でした。
H-C≡C-H→CHBr=CHBr
となります。
さらに付加反応がすすみ、
CHBr=CHBr→CHBr2CHBr2
となります。
ちなみに、
Br2水をくぐらして、
臭素の色が脱色されると、
『π結合』がある!ということがわかります!
この臭素付加は、
π結合の存在を検出する反応として、
使われるので、
臭素脱色→π結合
と言う風に反射レベルで反応出来る
ようにしましょう。
HX付加
さきほど、アルキンとアルケンの
反応が、ほぼほぼ一緒と言った理由が
これです。
アルキンの付加反応は、
アルケンより起りにくいです。
なので、
『アルキンの場合のみ、触媒が必要』
になるのです。
そして、このときの触媒が、
Hg2+です。
なので、HXの付加で、
Hg2+が触媒として、
必要なら、C=Cではなく、
C≡Cがある!と思いましょう!
>C=C<+HX(触媒不要!)
-C≡C-+HX(Hg2+触媒必要!)
H-X付加によって、
ビニル化合物が出来ます。
【ビニル化合物】
この点線部分をビニル基と言います。
そして、これが付加重合すると、
合成高分子になります。
このXが
X=Clのとき、
モノマーを塩化ビニル、
ポリマーをポリ塩化ビニルと言います。
X=OCOCH3のとき、
モノマーを酢酸ビニル、
ポリマーをポリ酢酸ビニル
と言います。
X=CNのとき、
モノマーをアクリロニトリル
ポリマーをポリアクリロニトリル
と言います。
マルコフニコフ則
プロピンのような、
『非対称のアルキン』の場合、
アルケンと同様に、
『マルコフニコフ則』が成り立ちます。
(例)プロピン(CH3C≡CH)へのHCl付加
覚え方は、Hな奴は、Hなやつと
よく群れる!でした。
アセチレンへのH2O付加(エノール・ケト互変性)
アセチレンの水付加は、
また特殊な反応です。
これは、HX付加にあたるので、
(x=OH)
アセチレンにHg2+触媒は必要と
なります。(HgSO4+希H2SO4)下で、
H2O付加すると、
ビニルアルコールと言う物質が出来ます。
絵を書いて覚えるエノールケト互変性
このエノールケト互変性ですが、
ちゃんとどのように反応するかが
わかっていないとダメです。
なぜなら、
『アセチレン以外の水付加』
もエノール家と互変性を
起こすからです。
ということは、きっちり、
どのように反応するのか、
がわかっていないと他のアルキンで
応用が効かないのです。
なので、下図のように、
書いて行きましょう!
完全にお引っ越しします。
そして、
アセトアルデヒドが出来ます。
エノールケト互変性が起る官能基
実は、エノールケト互変性というのは、
>C=C<と-OHさえあれば、
起きます。
つまり、別に
アセチレンの水付加じゃなくても起こります。
なので、とにかく大事なのは、
『どのように反応するか』
です。
有機反応といのも、
どのように反応するかを
理解するのが、重要です。
どのように反応するかは、ある程度化学基礎の知識が必要です。
アセチレンを硫酸水銀(Ⅱ)を含む希硫酸中に通じると、アセトアルデヒドが生じるとテキストに書かれていました。
その下にはH2Oが付加されている図があったのですが、どういうことなのでしょうか。
教えてください。
宜しくお願いいたします。
説明はなされています
ご返信、ありがとうございます。
すみません、言葉足らずだったかもしれません。
記事には、H2Oを付加すると、と書かれていますが、手元のテキストには、そのような説明(言葉)がなかったのに、いきなり図中でH2Oがでてきたので、このテキストのはどういう意味なんだろうと思って質問した次第であります。
「アセチレンを硫酸水銀(Ⅱ)を含硫酸中に通じると生じる物質は何か。」という問題と、H2Oの表記がある解説(図)を、一言でまとめて質問したことで、読まずに質問したと思わせてしまったのかもしれません。
記事の内容は読んで、自分なりに理解することができたと思っています。
よろしければ ぜひ教えてください。
宜しくお願いいたします。
アセチレンに水を付加させたときにできるビニル基がエノールケトを引き起こすので、別にアセチレンに限った事ではないし、この反応の本質は、C=Cに-OHがくっついているエノールががケト型に変わる事なのです。
分かりました。
ご返信頂き、本当にありがとうございました。