こんにちは。
銀鏡反応とフェーリング反応はアルデヒドの検出反応として非常に有名です。
以前、銀鏡反応についてお話ししましたが、
今回アルデヒドの還元性を検出する反応として、もう1つの反応『フェーリング反応』についてお話しします。
このフェーリング反応ももちろん、アルデヒドの検出反応としてよく使われます。
銀鏡反応とほとんど同じように
使いますが、
若干フェーリング反応と銀鏡反応は
違う部分があります。
実際にこの違いを知っておかないと、
ミスってしまう問題もあります。
なので、今日この場で、
「フェーリング反応は何きても大丈夫!」
って言えるようにしましょう!
目次
フェーリング反応のメカニズム
まずフェーリング反応は
その材料を覚えてしまえば
良いのです。
フェーリング反応の材料は、
3つあります。
銀鏡反応のときのように、
それぞれに役割があります。
では、その3つとは、
酒石酸ナトリウムカリウム、
CuSO4
NaOH
です。
このフェーリング反応の基本と言うのは、
還元剤であるアルデヒドと
(=酸化されやすい)
Cu2+の酸化還元反応である。
CuSO4のCu2+
とNaOH由来のOH–が反応して、
Cu2Oの沈殿が出来る
反応です。
この出来たCu2Oの赤褐色で、
「あ、アルデヒドができたんだな!」
と考えられます。
このOH–は、
NaOH由来のものです。
酒石酸ナトリウムカリウムの役割は?
ちなみに画像は酒石酸です。
酒石酸は、ご覧の通り、
ヒドロキシ酸
(ヒドロキシ基を持つカルボン酸)
で、
代表的なヒドロキシ酸です。
このカルボン酸の酸の部分の、
H+の部分が、
Na+とK+に
なっているのが、
酒石酸ナトリウムカリウムです。
この酒石酸ナトリウムカリウムが
なぜ必要なのか?という理由を明らかにして行きます!
酒石酸ナトリウムカリウムが
必要な理由は、もしかしたらちゃんと無機を
勉強している人なら気付いているかも?
というか、
「ん?このままで大丈夫?」
という異変に気付いたと思います。
それは、銅+OH–
と言う組み合わせです。
ほとんどの金属は、
OH–とのイオンの組み合わせで
沈殿になります。
今回も、
Cu(OH)2の青白色沈殿
が出来ます。
Cu2+だから、
反応しなくなるんじゃ、、
それを防ぐのが、
酒石酸ナトリウムカリウム
なんですよ。
酒石酸ナトリウムカリウムが、
錯イオン状態に保つ事が
出来るのです!
このメカニズムは、
高校ではお話ししきれませんが、
酒石酸ナトリウムカリウムは、
銅の沈殿を錯イオンに変える
という役割をしていると
思っておいてください!
フェーリング反応の反応式の作り方
フェーリング反応の反応式は、
アルデヒドの還元性を利用している
ものなので、
『酸化還元反応』です。
(還元剤)RCHO+H2O→RCOOH+2H++2e–
(酸化剤)2Cu2++2OH–+2e–→Cu2O+H2O
Oは酸化の英語oxidation
の頭文字を使っています。
Cuの酸化数を見ると
最初+2だったのが、
反応後+1に変わっています。
やっぱり還元されているわけです。
アルデヒドじゃないのにフェーリング反応陽性
なんとアルデヒドじゃないのに、
面倒な事に、フェーリング反応陽性
な有機物があります。
でも、その構造式を見たら、
一瞬で納得できるので、
百聞は一見にしかず!
ご覧下さい!
確かに!!!
そう、アルデヒド基もこっそりこいつは、
もっているんですよ!
だからフェーリング反応もします。
ベンズアルデヒドは例外!
f
実は、ベンズアルデヒドは、
銀鏡反応は示すが、
フェーリング反応は示しにくいです。
(※フェーリング反応しないと覚えて構いません)
ベンズアルデヒドに限らず、
『芳香族+アルデヒド』は、
反応が起りません。
なぜかというと、
ベンゼン環は、共鳴していて、
この共鳴の電子が、
アルデヒドのカルボニル基の
>C=Oの電荷の偏りに
流れ込むからです。
アルデヒドが還元性
=アルデヒドが酸化される
=アルデヒドのC-HにOが割り込める!
という構図です。
カルボニル基の電荷の偏りが小さくなると、
このアルデヒドのC-Hの間に
Oが割り込みやすさが弱くなるのです。
などのベンゼン環に直接アルデヒド基が、
くっついているやつが
酸化しにくい理由を話します。ですが、これはあくまで
イメージで完全に厳密な物では
ありません。受験においていは、
ベンゼン環にアルデヒド基がついている
ものは、酸化しにくく、
フェーリング反応は起りにくい!と言う事を覚えていただければ、
オッケーです!
まずアルデヒドには、
このようにカルボニル基があります。
なので、普段は、
Hから電子を奪っていて、
C-Hの結合が切れかけています。
なので、
C-Hの間に-O-が割り込みやすいんです!
でも、
ベンゼン環についている
アルデヒドは、ベンゼンから
電子を受け取ります。
すると、Cの電荷の偏りδ+が
小さくなります。
このため、ベンゼン環に
直接くっついているアルデヒドは、
還元性が弱くて、
フェーリング反応は起りにくいです。
銀鏡反応は?
これはイオン化傾向を見ると、
わかりますが、
イオン化傾向が大きいほど、
e–を投げやすい、
つまり還元性が強いわけです。
ということは、
イオン化傾向が小さいと言う事は、
酸化力が大きいと言う事になります。
イオン化傾向的に言うと、
CuよりAgの方が、
小さいです。
つまり、銀は酸化力があるので、
ベンズアルデヒドであっても
銀鏡反応を示します。
ちなみに、
以前新潟大学で、
「ベンズアルデヒドを検出するための
手順をこたえよ!」
と言う問題が出ました。
このとき
フェーリング反応だな!
死んじゃってるので、
この知識は普通に問われる!
ということを覚えておいてください。
いかがでしたか?
今日はフェーリング反応について、
キッチリ学んでいただきました。
酸化剤の半反応式のつくりかたはどう考えればいいですか?
それと、Cuの係数は2じゃないですか?
Cu2+の係数に2忘れてますよ
ベンズアルデヒドがフェーリング反応をしない理由がよくわかりました。ですがその流れだと銀鏡反応もしないと思うのですがどうですか?
ギ酸も銅イオンとキレート錯体を形成するので、フェーリング反応は起こりにくいのではないですか?
私も思いました。
同じこと思いました
いつもありがとうございます。
すでにメルマガに登録している人はテキストはどーやって受け取れますか
送られているので、メールボックスで探してください。