こんにちは。
なんか高校化学では、配向性と言う物をぼんやり習いますよね。
でもちゃんと知っておかないと普通に大学入試で出ます。特に私立大学は当然の知識として出題してきますのでやはりキッチリ知っておくべきです。
そして、ちゃんとわかれば、他の反応がメチャクチャわかりやすくなってきます。
というのも、この配向性を使った反応がかなり多いのです。
サリチル酸の製法だったり、ジアゾカップリングだったりと、かなり様々な反応があります。
目次
配向性を学ぶための前提知識
配向性とは?
配向性を知っておかなければならない反応と言うのは、実は、2段階反応だということです。
ベンゼン環に2番目に置換するX+陽イオンは、先に置換した官能基に左右されるということです。

というのは、1つ目の置換基の影響を受けるから、2分子目のアタックの場所に優劣が出来るわけです。
なので、この1番目に置換した物によって、『オルトパラ配向性』なのか、『メタ配向性』なのかが決まります!

後ほど、『オルトパラ配向性』『メタ配向性』ごとに、きっちり説明していこうと思います!
ベンゼンの状態
ベンゼン環は、共鳴していました。
ベンゼン環の構造式の書き方の謎、中に◯書くやつなんなん?でも書きましたが、
ベンゼン環の正体はこのような物でした。

このように電子がくものように取り巻いている状態を共鳴状態と言います。
で、この共鳴状態が電子に取って、『メチャクチャ気持ちがいい状態』なのです。
つまり、電子たちは共鳴を楽しんでいるのです!

このようにクラブのように『電子の盛り場』なのです。
で、電子は基本的に参加したいし、陽イオンからしたら格好のえさ場なのです。
実は、この2つの違いだけでこのオルトパラ配向性と、メタ配向性がわかります。なので、ここから徹底的に考えていきましょう!
オルトパラ配向性の覚え方
先ほど言いましたが、1つ目のベンゼン環への置換、

Xの影響で、オルト位パラ位が反応しやすくなるのが、『オルトパラ配向性』です。
で、このオルトパラ配向性になるのは、このXが電子が余っている奴らのときです。

例えば、ヒドロキシ基は、非共有電子対などがあるため、電子があまっています。
このように電子が余っていると、余った電子が、『ベンゼン環の共鳴に参加したい!』って思うようになります!
すると、この余った電子達がベンゼンへ流れ込みます!

すると、この電子がまず、オルト位へ流れ込みます!

そしてこのオルト位に流れた電子の一部がメタ位にながれます。

そしてメタ位に流れ込んだものがそのままパラ位に全て流れ込みます。

パラ位は電子が流れ込むだけなので、電荷がマイナスに偏ります!
このように電子を流してくれる1つ目の置換基の性質を電子供与性と言います。
電子供与性の置換基が1つ目につくと、オルト位、パラ位が負に電荷が偏ります。そして、メタ位は特に変わりません。

そして、思い出してください!
ベンゼン環に直接置換反応を起こす事が出来るのは陽イオンでした。
ということは、陽イオンがアタックしやすくなっているため、オルト位、パラ位は反応しやすくなっています。
これをオルトパラ配向性と言います!
電子供与性になるもののは、
O–>NH2>OH>CH3
このような順番です。覚え方は、

このように電子をもらえてうれしい!そんな顔の口の位置が置換反応されやすい!と言う風に覚えましょう!!
メタ配向性の覚え方
オルトパラ配向性が電子が余っている物でしたが、メタ配向性は『電子が足りないもの』です。
ということは、ベンゼン環から電子を吸い上げます。

すると吸われたところにオルト位の電子が補いにいきます!

そして、オルト位の電子をメタ位の電子が少しだけ補います!

で、メタ位に流れた電子を相殺するために、パラ位から電子が流れますが、パラ位は1カ所しか無いので、左右両方のメタ位に電子が流れます。

オルト位とパラ位は、+に電荷が偏ることで、かなり陽イオンが近づき難くなります。
すると、結果的にメタ位が反応しやすくなります。
このように、オルト位とパラ位が反応しづらくなった事によって相対的にメタ位が反応しやすいように見えるのが、メタ配向性です。
メタ配向性になるような、ベンゼンから電子を吸引するXの性質を電子求引性と言います。
電子求引性を持つのは、『ニトロ基』や『スルホ基』など陽イオンにして置換反応した物ばかりです。
また、『-Cl』などもあります。(ですが、ーClや-Brは例外的にオルトパラ配向性です)
覚え方は、このようにベンゼン環を顔面に見立てて、覚えましょう!

いかがでしたか、ベンゼン環の顔面で見ると、スバラシクおぼえやすいので、これで覚えていってください!
この記事の書き方では『-Clは電子吸引性基でメタ配向性』というように見えてしまい
勘違いする人も出てくると思われます
ハロゲン(ClやBrなど)は電子吸引性基ですが
例外としてオルト・パラ配向性なのです
詳しい説明をすると難しくなってしまうので
ハロゲンは例外だと覚えておきましょう
ご指摘ありがとうございます!
修正いたします。
電子供与性のものは非共有電子対を持ち、電子が余っているとあるのですが、メチル基などは非共有電子対を持っていないのに電子供与性なのは何故ですか?
個人的には電気陰性度の小さい水素が電子を追い出そうとしてるからかな?と思ったのですが、それだとヒドロキシ基の酸素は炭素よりも電気陰性度が大きいのに電子を供与することに違和感を感じてしまいました
なにかスッキリする説明はありませんか?
まあ、C-H間ではCがHより、電気陰性度が大きいので電子が余っている状態と考えます。とはいえ、非共有電子対が無いので、電子供与性のなかでは弱めです。
どうしてオルト位では電子が留まり、メタ位に流れ込んだ電子は全てパラ位に流れ込むのですか?電子同士が反発することを考えると、パラ位に多く集まりそうな気がします。
電子の供給もとに近いからだと思われます。
詳しくは、大学の有機化学を
学んだわけではないのでわかりませんが、
メチルオレンジのカップリングの時にパラ配向性なのは何故でしょうか?スルホ基はメタ配向性のはずなのにとても不思議です。何かご存知だったら宜しくお願いします。
カップリングの反応は
塩化ベンゼンジアゾニウム(C6H5-N≡NCI)
+ナトリウムフェノキシド(C6H5-ONa)なので、
オルトパラ配向性ですね
メチルオレンジの場合、
アニリンをスルホ化→ジアゾ化→ジメチルアニリンとカップリングの順に生成するので、
アニリンのオルトパラ配向性により、パラ位にスルホ基が付きます。
細かいことで申し訳ありませんが、電子吸引性ではなく電子求引性です。
ありがとうございます!
クラブのところが分かりやすすぎて爆笑しました!笑このサイトは本当に分かりやすくて多々お世話になっております!これからも応援しています!
ありがとうございます1
励みになります!
分かりやすかったです!!
インパクト大事ですね!
ギレン
わかりやすい!
ありがとうございます!