こんにちは。
今日は、フェノールから反応させるとどうなるか?と言う事を考えていきましょう!
フェノールから出来上がる物質(誘導体)て実は重要な物ばかりなんです。
なので、ここでキッチリ勉強しておいて下さい!
目次
フェノールの誘導体はオルトパラ配向性が前提
フェノールから生成出来る物質と言うのは、既にベンゼン環に-OHがついているフェノールに別の陽イオンがアタックする反応になります。
このように、置換反応がオルト、パラの位置にメチャクチャ起るわけです。
ということは、もちろん、『配向性』が絡んできます。
オルトパラ配向性とメタ配向性の理由と見分け方大全!
このXに影響を受けるんでしたね!で、このX=OHなんですよね。フェノールやし、
てことは、これは『電子供与性』でしたよね?
電子供与性なのは、高校化学で知っておいてほしいのは、
O–>NH2>OH>CH3
この順番で、こいつらでした!
電子供与性ですから、電子を貰えてメチャクチャうれしいわけですよ。
口の位置で覚えて!
というわけで、フェノールから作られる物質は、オルトかパラ、またはオルトとパラ両方が置換される事が多いわけです。
そこは頭に入れておいてください!
2,4,6-トリブロモフェノールの生成反応
この2,4,6-トリブロモフェノールは置換命名法です。
この2,4,6はフェノール、つまりヒドロキシ基がくっついているところを1と数えます。
だから、2,4,6は、、、
オルト位、パラ位やん!!!
ということで、この位置に置換反応が起ります。臭素Brはブロモと言う名前になって
2,4,6-トリブロモフェノールと言う名前の物質になります。
ちなみに、これは『白色沈殿』になるため、『フェノール』の検出反応になります!
「臭素と反応させて白色沈殿が出来る」って書いてあったら、それはフェノールが存在した事の証明になります!
注意してほしいのが、臭素のベンゼン環への置換反応のときは、鉄触媒が必要だったけれども、オルトパラ配向性というのは、非常に反応しやすいため触媒無しで反応する事が出来ます。
つまり、臭素水を加えたらそれで白色沈殿が出来ます。
2,4,6-トリニトロフェノール(ピクリン酸)の製法
これはフェノールをニトロ化する事で出来る物です。
これはニトロ化と同じ触媒で、濃硝酸+濃硫酸の混酸をフェノールと反応させる事によって出来ます。
そして、この2,4,6-トリニトロフェノールの事をピクリン酸と言います。
何度か言いましたが、ニトロ基は爆発するんでしたね!
つまり、このピクリン酸は、『爆発性』を持っています。
そして、ピクリン酸はめちゃくちゃ強酸です。
ニトロ基は電子吸引性なので、電子供与性のOHからガンガン電子が吸い取られます。
てことは、電気陰性度が大きいOは電子が取られて嫌なので、Hからメチャクチャスゴい勢いで、電子を奪います!
ていうことでフェノールよりも遥かにH+を投げる力が増しているので、ピクリン酸は強酸です。
似たような物に、トリニトロトルエンがあります。
-CH3をトルエンにニトロ基がくっついていきます。
しかも、-CH3は電子供与性だから、オルトパラ配向性ですよね。
(2,4,6-)トリニトロトルエンになります。
ならわしで2,4,6-というのは、つけません。
ピクリン酸同様、TNTも爆発性を持ちます。火薬として使用されます。
サリチル酸の工業的製法
サリチル酸をつくる行程は、名前がついていて、『コルベシュミット法』と言います。
多少高校化学からははみ出しますが、高校化学はこれを丸暗記しなさい!というだけなんです。
そして、そんな物覚えられる分けないやん!!!
「なんで最初にNaOH入れるの?」
「なんで二酸化炭素なの?」
「なんで最後塩酸入れてんの?」
こういうのがわからないと思うので、流れを説明します!
1.NaOHを加える
この理由ですが、
配向性のところでお話ししましたが、電子供与性が最強なのが、O–でしたね!
そう、だから、オルトパラ配向性を最強にするために、フェノールをフェノキシドイオンにするために、NaOHをまず加えます。
すると、中和反応によって、ナトリウムフェノキシドが出来ます。そして水溶液中だと完全電離をします。
ということで、オルトパラ配向性が最強になります。
2.CO2を高温高圧で加える
二酸化炭素と言うのは、実は、下のように、たまに陽イオンになります。
そして、このタイミングを逃さないために、高温で二酸化炭素の運動を激しくし、高圧でフェノキシドにアタックしやすくします。
このようにアタックします。
こうなるとサリチル酸イオンができます。
3.フェノキシドイオンをフェノールへ
「あれ、フェノキシドイオンじゃなくなっている?」
って思った人も居るかもしれませんが、あっています。
なぜかというと、二酸化炭素を加えると、炭酸になる物もあります。そうすると、フェノキシドイオンが弱酸遊離反応で、追い出されます。
そして、炭酸が炭酸イオンになります。これによってフェノキシドイオンはフェノールに戻っていたのです!
4.弱酸遊離反応でサリチル酸イオン状態からサリチル酸を遊離
そして、最後にサリチル酸を弱酸遊離反応で取り出します。
今イオン化していますね。ここに強酸を入れれば、サリチル酸を弱酸遊離反応で取り出す事が出来ます。
HClなどをよく入れます。
これによって、サリチル酸が完成します。
このような流れでサリチル酸が出来てきます。
このように、今までからきっちり配向性などを学ぶ事によってキッチリ、反応をマスターする事ができます。
サリチル酸の合成時に、パラ位が置換されたような化合物はできないのでしょうか?
できますよ!
でも、Na塩はオルト位ができやすいんですよ。
サリチル酸ナトリウムはフェノール性ヒドロキシ基でしょうか?
はい!
オルトクレゾールからサリチル酸が生成できると知ったのですがその間の反応が知りたいです
クレゾールのメチル基を酸化してカルボキシ基に変換するのではないでしょうか。