サリチル酸メチルとアセチルサリチル酸それぞれの性質と覚え方

サリチル酸メチル アセチルサリチル酸

こんにちは。

今日はサリチル酸からエステル化で出来る有名な2つの物質であるサリチル酸メチルとアセチルサリチル酸についてまとめていきます。

 

サリチル酸は、

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このような物質で、カルボキシ基とヒドロキシ基を持っていました。そして、思い出してほしいのが『エステル化』です。

 

 

エステル化は何の官能基が反応するんでしたか?

 

はい、そうです!『カルボキシ基』と『ヒドロキシ基』ですね。

ということは、ですよ、サリチル酸はヒドロキシ基もカルボキシ基の両方があるので、両方がエステル化出来るわけです。

 

そして出来上がるのが、サリチル酸メチルと、アセチルサリチル酸です。

で、これがまた
どっちがどっちやったかわかりにくい、、、

どっちが『カルボキシ基』と反応したやつか、、、

どっちが『ヒドロキシ基』と反応したやつか、、、

というのがわかりにくいのです。

 

また、さらにどちらが、『消炎鎮痛剤』だったのか、、、どちらが、『解熱鎮痛剤』だったのか、、、

これもごちゃごちゃになりやすいポイントですよね。ということで、この辺のややこしい事

ぜ〜〜〜〜んぶ解決できるようにしていきます!

最後までお読みください!

目次

サリチル酸をエステル化する意味

 

そもそもサリチル酸をエステル化をする意味をわかっておくべきです。これを理解しておくと消炎鎮痛剤(塗り薬)と解熱鎮痛剤(飲み薬)と別れるのかを理解できます。

サリチル酸は医薬品のところでよく出てきます。有機化学でも生命の有機化学でよく出てきます。

 

実は、サリチル酸は痛みを和らげたりする作用があるんですが、その一方で副作用のオンパレードなんです笑

というのも、「フェノール性ヒドロキシ基」を服用する事で、胃がめっちゃ荒れます笑。

なので、エステル化をしてから使うのが一般的です。

サリチル酸メチルの製法

では、まずサリチル酸の『カルボキシ基』とメタノールをエステル化させた、サリチル酸メチルについて解説していきます。

サリチル酸メチルは、サリチル酸のカルボキシ基がメタノールとエステル化をしているのです。

 

エステル化は男女の挿入反応でした。

サリチル酸メチル

このように、サリチル酸のカルボキシ基の中のカルボニル基の極性の穴に対して、メタノール『非共有電子対』を突っ込むわけです。

 

これによって、
サリチル酸メチル

と言うように水と赤枠の部分同士がくっついて、サリチル酸メチルになります。

サリチル酸メチル

サリチル酸メチルを薬品名でいうと、『サロメチール』と言います。

そう、

サロンパスの原料!サロンパスって貼りますよね。飲みませんよね?

その理由は、先ほど言いましたが、『フェノール性ヒドロキシ基』が潰されていないからです。

 

フェノール性ヒドロキシ基が残ったまんまだから、これは飲み薬にはなれないのです。

 

塗り薬として、炎症部分を沈痛する作用、消炎鎮痛剤となります。

アセチルサリチル酸の製法

アセチルサリチル酸の製法ですが、ほとんど同じです。サリチル酸のヒドロキシ基が無水酢酸の極性の穴に非共有電子対をぶち込むのです!

 

そうでしたね、エステル化は男女の反応でしたね!

男が女に挿入するのと同じようにエステル化は非共有電子対という突起物をカルボニル基のC=OのCの電子が足りない穴に挿入するのです。

アセチルサリチル酸

こうすることで、酢酸とアセチルサリチル酸が出来ます。

アセチルサリチル酸

この赤枠同士がくっつきます。そして、残り物同士がくっついて、酢酸になります。

 

アセチルサリチル酸は役名で言うと、『アスピリン』と言います。熱を下げるために飲み薬になって、解熱鎮痛剤と言われています。

 

フェノール性ヒドロキシ基がありませんので、胃は荒れません!ということで、飲み薬として使えます!

サリチル酸のエステル化で出来る物質の命名法

アセチルサリチル酸とサリチル酸メチル。

名前の付け方がめんどくさい、「アセチル基があるからアセチルサリチル酸!」って覚えている人も居ると思いますが、

 

こういう覚え方もあるんやでってことで、紹介しておきます。

○○酸がつくのは、カルボン酸

語尾が『』の場合は、カルボン酸を表します。てことは、

アセチルサリチル酸

このカルボキシ基が残っている。つまり『カルボン酸』は、

アセチルサリチル

 

そして、カルボキシ基がつぶされて無くなっている

サリチル酸メチル

サリチル酸メチ

そう、サリチル酸メチルは語尾が酸で終わらない

これでこの2つを区別すると言う方法があるということも覚えておいてください。

まとめ

用法

フェノール性ヒドロキシ基は、飲むと胃があれるから、フェノール性ヒドロキシ基が残っているサリチル酸メチルは塗り薬(消炎鎮痛剤)

サリチル酸メチル

フェノール性ヒドロキシ基がエステル化で潰されているアセチルサリチル酸は飲み薬(解熱鎮痛剤)!

アセチルサリチル酸

語尾が酸で終わるのは、カルボン酸の証だから、カルボキシ基が残っているのが、アセチルサリチル酸は、残っていない方が、サリチル酸メチルとなります。

 

無理やり丸暗記するより遥かに覚えやすかったんじゃないでしょうか?



19 件のコメント

  • 柿木風香 より:

    アセチルサリチル酸とサリチル酸メチルどちらもサリチル酸の部分は一緒なのに、どうしてつき方が違うのですか??

    • 受験化学コーチなかむら より:

      無水酢酸を使うか、メタノールを使うかの違いです!
      カルボキシ+アンモニアがエステルですから

      • やまちゃん より:

        カルボキシル基+アルコールでエステルの誤記かと思いますが。

        • 受験化学コーチなかむら より:

          どこのことでしょうか?

          • やまちゃん より:

            カルボキシ+アンモニア
            ではなく
            カルボキシ+アルコール
            かと。

            • 受験化学コーチなかむら より:

              ありがとうございます。

      • 柿木風香 より:

        ありがとうございます!

        がんばります

        • 受験化学コーチなかむら より:

          絶対受かりましょう!

  • Aki より:

    アセチルサリチル酸の合成で
    カルボキシル基のO原子にも非共有電子対がありますよね?無水酢酸のCはカルボキシル基のO原子の非共有電子対とは反応を起こさないのですか?
    単にフェノール類としての反応だからヒドロキシ基が反応するってことでしょうか

    • 受験化学コーチなかむら より:

      それだと無水酢酸と同じくらい不安定な構造になります。
      そしたら無水酢酸を使う意味が無くなります。

      不安定な無水酢酸→どちらかというと、安定なエステルへ移動しよう

      という反応です。
      エステル化は普通可逆反応ですが、無水酢酸を使うと、不可逆になりますよね。
      その原理がわかっていれば、そのようなことは起きません。

      • Aki より:

        なるほど!
        理解が甘かったです

        ありがとうございます頑張ります

        • 受験化学コーチなかむら より:

          頑張ってください!

  • 善子 より:

    アセチルサリチル酸のカルボキシル基による飲んだ時の副作用はないのでしょうか

    • 受験化学コーチなかむら より:

      おそらく無いと思います。

  • にーな より:

    解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンのフェノール性ヒドロキシ基はどう捉えたら良いでしょうか?
    そういうものとして認識するしかないですか?

  • 明日葉 より:

    なぜサリチル酸は同じサリチル酸同士では反応しないのですか?

  • さかな君 より:

    サリチル酸メチルの化学反応式を教えて下さい!
    例) C+O2→CO2 みたいな感じで教えてください!

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    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。