どうも、受験化学コーチなかむらです。
と思っているかもしれません。しかし、自分の手を動かして反応の流れの漫画を書くことで必ず丸暗記する必要なく覚えることができます。
ただ、ヨードホルム反応って反応を覚えるのはただのスタートラインです。ヨードホルム反応で入試問題で恐ろしく出るのは「構造決定」なのです。
ぶっちゃけ、ヨードホルム反応が理解できていなくて、問題文を読んでヨードホルム反応だと即答できなければ、構造決定の序盤で全て崩れ落ちます。
構造決定が取れないってことは受験化学終了のお知らせですので、必ず本記事で理解しておきましょう。
- ヨードホルム反応はどういう条件で起こる?
- 構造決定ではヨードホルム反応はどのように表現される?
- ヨードホルム反応の反応の流れの覚え方
- ヨードホルム反応の反応式の書き方
はっきり言います。ヨードホルム反応は丸暗記では太刀打ちできません。
本記事は、必ず最後まで読むことをお勧めします。本記事では反応を理解して覚えるだけでなく、実践レベル(構造決定)で使えるようにします。
目次
そもそもヨードホルム反応ってなに?
ざっくりいうと、ヨードホルム反応はヨウ素の酸化力でアセチル基と端から2個目の第2級アルコールを酸化し、水酸化ナトリウムNaOHで加水分解したら
受験的にはアセチル基と端から2個目の第2級アルコールを検出する反応だと思ってください。
ヨウ素(ヨードとも呼ばれます)は酸化力があります。
I2+2e–→2I–
このような半反応式で左辺に電子があるものは電子を受け取っているので酸化剤でしたね?
酸化還元反応の定義が曖昧な人はこちらの記事を読んでおいてください「酸化還元の最重要定義!学校では教えてくれない受験テクとは?」
このヨウ素の酸化剤としての酸化力を利用して、有機物のアセチル基と端から2個目の第2級アルコールを酸化します。
この反応をする中で生成物としてヨードホルムという黄色い沈殿ができるのです。
多くの人は、アセチル基の方ばかりを覚えます。しかし、アセチル基ではない第2級アルコールの方がよく出題されます。
多くの人は理解するしないに関わらず、ここまでのことは理解しています。しかし、
ただし、受験化学においてはヨードホルム反応の役割は完全に決まっています。それは、
アセチル基と端から2個目の第2級アルコールの検出
です。
構造決定の問題でヨードホルム反応だとわかった瞬間にアセチル基か端から2個目の第2級アルコールが存在することがわかります。
ヨードホルム反応は黄色い物質
ここまでヨードホルム反応を文章で解説してきましたが、なかなか理解しにくかったかもしれません。本記事ではヨードホルム反応を自分で「漫画」を書きながらマスターしていってほしいと思います。
ヨードホルム反応は「漫画」で流れを追って理解せよ!
ヨードホルム反応は自分で反応の流れを書き上げてしまうのが非常に効果的です。僕はこれを「漫画を描く」と言っています。
ヨードホルム反応の漫画を描くことで、有機化学の電気陰性度による極性の反応が理解できます。一石二鳥どころの騒ぎではないのです。反応式も自分で数えれば書けるようになります。
それでは漫画を書いていきます。この流れを自分で手を動かしながら再現できるようにしていきます。
(ちなみに、実際に僕が手で書いている動画も載せておきますので、一度理解したらこんな風に書くんだな〜と言うのを理解するように動画をみてください。)
まず、端から2個目の第2級アルコールを書きます。
そしてこの端から2番目第2級アルコールをヨウ素が酸化します。
ただし時々問題によっては、第2級アルコールの酸化と言うことで、二クロム酸カリウムが使われることもあります。
ヨウ素がアタックしてアセチル基が出来ました。
これにさらにヨウ素が攻撃していきます。このメチル基のHと置換していくのです。以下のような反応になります。
端から2個目の第2級アルコールをヨウ素で酸化するとアセチル基になるのです。
ちなみに、このタイミングで別の反応も起こっています。このタイミングでできたHIは酸性物質です。この反応ではNaOHが使われていますので中和されます。
2HI+2NaOH→2NaI+2H2O
ここではあえて係数を2のまんまにしています。
そして、次に再びヨウ素で酸化します。先ほどと同じようにHを奪うタイプの酸化です。
すると下の画像のように、-CH3だったのが、-CI3となります。さらに、ヨウ化水素HIが3個できます。
これを加水分解します。ちなみに
って思っている人は、加水分解の反応をしっかり理解するようにこちらの記事をご覧ください。エステルの加水分解と全く同じです。
加熱して加水分解をします。(あとで言うけど加熱ってめっちゃ大事なキーワードです)
OがCヘアタックし、HがCI3のCとIの間にアタックします。すると新しい結合ができて古い結合が下のように切れます。
この反応は電気陰性度の差があってこの辺りがわかっていない人は別の記事で解説していますので、これをご覧ください
ちなみに、-CH3をI2で酸化すると-CI3以外に3HIできますね。この3HIは先ほどと同様にNaOHと中和反応します。
3HI+3NaOH→3NaI+3H2O
もちろん、あえて3を消していません。あとで化学反応式を作るときに理由がわかります。
すると、2つの物質にわかれます。
このようにRCOO-とCHI3にわかれます。RCOO–は水中のNa+(元々は水酸化ナトリウムのイオンのペアだったナトリウムイオン)とくっついてRCOONaになります。
このCHI3こそヨードホルムです。小さ(CHI3)いヨードホルムとでも覚えておきましょう。
これ流れを自分で作れるようになったら、確実にヨードホルム反応はマスターできますし、ヨードホルム反応の反応式も作ることができます。
ちなみに、僕がデジタルな図を使ったことで
って思ってしまった人もいるかもしれません。
なので僕も手書きでヨードホルム反応を書いてみたのでぜひこの手書きを真似てみてください。
ヨードホルム反応の化学反応式はどうやって書く?
R-CH(OH)・CH3+6NaOH+4I2→CHI3+R-COONa+5NaI+5H2O
くれぐれもこんな化学反応式を覚えないでくださいね。こんな複雑な化学反応式は覚えられないです。他のことに脳みそを使ってください。
この記事をここまでちゃんと読んできた人は余裕です。ヨードホルム反応の反応式は他の反応式よりも簡単になりました。なぜなら、登場人物の数を数えるだけでいいのです。
それでは順番に見ていきましょう。
まず、R-CH(OH)・CH3が1個(当然だけど)です。
これをI2が1個で酸化するとHIが2個できますね。この2HIは2NaOHと中和するんでしたね。
2HI+2NaOH→2NaI+2H2O
これにより
NaOHが2個
NaIが2個
H2Oが2個
ですね。次の反応も酸化でした。
まずR(CO)CH3が1個ですが、後ほど加水分解で朽ち果てますので、別に数えなくていいでしょう。
-CH3のH3個に3個のI2がアタックして、置換していきます。すると、3個のHIができます。これが3個のNaOHと反応します。
3HI+3NaOH→3NaI+3H2O
これによって
HIが3個
NaOHが3個
NaIが3個
H2Oが3個
となります。
この次に加水分解されますね。
ここで、NaOHを1個使います。するとR-COONaとCHI3が1個ずつできます。
あとは、簡単ですね。全部足し算して並べていくだけです。
反応前は、
第2級アルコール1個、
NaOH6個
I2ヨウ素4個
そして反応後は
CHI31個
RCOONa1個
NaI5個
H2O5個
です。これで並べるだけで化学反応式が出来上がるのです。あとは並べるだけで完成です。
R-CH(OH)・CH3+6NaOH+4I2→CHI3+R-COONa+5NaI+5H2O
当然のごとく、
『反応式の丸暗記は不要です!』写経で覚えた人は、どこでHIがどれだけ生じたかなんて一瞬で分かります。
その場でパッパと写経して作ればいいのです!
ヨードホルム反応の登場人物を知っていれば、未定係数法で化学反応式を書くこともできます。
ヨードホルム反応の流れを書くのが不安な人は未定係数法を使って作ってみてください。
ヨードホルム反応は構造決定の問題文でどのように表現をされるのか?
問題文では「ヨードホルム反応」と書かれていなくても、ヒントから「これはヨードホルム反応のことをいっているんだな!」って把握しないといけないんだ!
ヨードホルム反応は回りくどく表現されます。次の表現は必ず覚えてください。
水酸化ナトリウム(NaOH)とヨウ素(I2)を加えて、加熱する。
この表現があればヨードホルム反応確定です。問題文にヨードホルム反応というキーワードがなくてもこの反応がヨードホルム反応だと理解しなければなりません。
ちなみに、親切な出題者なら問題文に「特有の匂いがある黄色沈殿ができる」という言葉を書いてくれることもあります。
【超絶重要】ヨードホルム反応の例外
ごめんなさい、こんな下の方まで解説しなかっ他のですが、めっちゃ重要です。説明の流れ的に話すタイミングありませんでした。
ただ、ちゃんとここまで読んでくれている人へのえこひいきです。クソ重要です。
ヨードホルム反応の例外が1つあります。それがエタノールです。
エタノールは端から2個目にヒドロキシ基がありますので、「端から2個目」の部分は満たします。
しかし、エタノールは第2級アルコールではなく第1級アルコールです。エタノールは例外的に第1級アルコールでヨードホルム反応が陽性なのです。
これはすごいヒントです。なぜなら、
ということがわかればその瞬間に構造決定でエタノール決定ということです。もちろん、第1級アルコールであることも直接的に第1級アルコールだと書かれることはありません。
別の言い回しで書かれます。
参考記事:アルコールの級数を見分ける方法
構造決定ではどういう風に使う?
ここまでは、アセチル基や端から2個目の第2級アルコールがヨードホルム反応をすると解説してきました。しかし、これが理解したからといってヨードホルム反応を構造決定で使うことができません。
ですが、構造決定は発想が逆なんです。
と理解するのです。先ほども言いましたが、問題文では「ヨウ素+水酸化ナトリウム+加熱」です。
最後に:ヨードホルム反応まとめ
- ヨードホルム反応は自分の手で書いて理解する
- 構造決定ではヨードホルム反応と言う文章を書かれることはない
- 「ヨウ素と水酸化ナトリウムを加えて加熱」=ヨードホルム反応
- ヨードホルム反応をしたらアセチル基か端から2個目の第2級アルコール
- ヨードホルム反応は化学反応式は数えたら簡単に作れる(それか未定係数法)
- 第1級アルコール×ヨードホルム反応でエタノール確定
重要ポイント死ぬほど多いですね。それくらい重要なんですよ。
他の反応と同じようにスルーしてしまっていたかもしれませんが、他の反応に比べて圧倒的に重要度が高いです。
なので、しっかり理解して上記の重要ポイントはサクサク答えられるようにしてください。こんな風に使える形で有機反応を学べる無料プレゼントを差し上げます。
まずはこれで勉強してみてください。
[quads id=6]
端から2番目の第2級アルコールという覚え方では、エタノールのヨードホルム反応の説明がつきません。はじから2番目の第2級または一級アルコールでどうでしょう。
第1級アルコールでヨードホルム反応するのはエタノールだけなので、例外として覚えた方が良いと考えて上記のように書いております。どちらでも大丈夫です。
なぜ、端をばつを打つのか理由がわかりません。教えていただけますか?
まずC骨格5のときは
C-C-C-C-Cですよね。
そして、C骨格4のときは、
C-C-C-Cはこれです。
C-C-C-Cこれに残り1個のCがくっつけるのは、
端から2番目か3番目ですよね。
一番端は、くっつくとC数5と同じになります。
まあ間違えるのを防ぐために端を×してます。
仕組み知ると覚えやすいなぁ 感動した
ありがとうございます!
無理に反応式で覚えるなんて人間がやることじゃないですからね。
I2は4個ではないでしょうか?
ご指摘ありがとうございます。編集いたしました。
アセトアルデヒトもヨードホルム反応を示すのではないでしょうか。
違ったらすみません。
アセトアルデヒドはCH3-CHOで表されますよね。
なのでCH3-CROに含まれているので言及する必要はないと思われます。
[…] […]
いつも拝見させていただいてます Rがアルデヒド基だとヨードホルム陰性と習ったのですが例えばRの中で-CH2-を一つ挟んで-OHでも陰性なのでしょうか?疑問に思い質問させていただきました
ヨードホルム反応は、ヨウ素の酸化力を使います。
還元剤のアルデヒドがあるとヨウ素と酸化還元反応が起こってしまいます。
とはいえ、全くおからないかというとなんともいえないですね。
受験で議論がややこしいものは出ないでしょう。
めちゃくちゃわかりやすいです!!
感謝しきれません。
これからも頑張ってください!
ありがとうございます!
励みになります!
この説明だと、ヨウ素が炭素に結合している水素を直接攻撃しているように見えるのですが、可能なのでしょうか?
酸化反応です。
ヨウ素で酸化させてるのになぜClがつくのですか?あとその後に加水分解した時にClがIに変わるのはどうしてですか?
ただ炭素とヨウ素がくっついて塩素に見えるだけだと思われます。
加水分解するとR(CO)CH3が加水分解して朽ち果てるとありますが、コイツも含めて化学反応式を全て書き出し、定数倍して和をとってみると正しい反応式ができません。なぜですか?
-RがーOーR‘のようになっていると、ダメらしいのですがどうしてなのでしょうか?
高校化学での解説は難しいです。
ありがとうございます!
いえいえー
今まで係数を覚えては忘れを繰り返していたのでこの方法に感動しています。ありがとうございます。これでヨードホルム何とかなりそうです(;;)
役立ってよかったです〜!
記事とは全く関係ありませんが、国際的なドメインをつけていただきたいです。学校でもこのサイトを見たいのですが、学校から配布されているiPadに制限がかかって、見れません。学校の方に交渉したところ、このことで無理だと言われました。どうかよろしくお願いします。
なるほど、検討します。
ですが、ドメイン変更は影響範囲が大きく、サイトの評価を落とす可能性(Googleからの)がありますので、
あまり期待しないでいただけると。