こんにちは。
今回は、セルロースをエステル化させたシリーズで、今回は無水酢酸でエステル化したアセチルセルロースについてお話しします。
そして、以前硝酸でエステル化したものであるニトロセルロースについて解説しました。
「ニトロセルロースは硝酸とセルロースのエステル化だったの!?」
そして、今回は無水酢酸によってエステル化した、アセチルセルロースについてお話しします。
目次
無水酢酸を用いたエステル化
特に新しい反応を学ぶ必要は一切ありません。無水酢酸とヒドロキシ基の反応なんて今までもよくやって来ていました。
エステル化は普通に、カルボン酸とヒドロキシ基で行うと、可逆反応になるため、無水酢酸を使うのでした。

そして、エステル化のアルコールの代わりとしてセルロースがエステル化します。

このようにエステル化します。

アセチル化して、

このような構造になります。
なので、反応式は、
[C6H7O2(OH)3]n+3n(CH3CO)2O→(濃硫酸)→[C6H7O2(OCOCH3)3]n+3nCH3COOH
トリアセチルセルロースの性質
トリアセチルセルロースというのは、グリコシド結合に使われていないOH全てが、アセチル化されたもので、

アセチルセルロースはアセチル基を含めて排気すると自然界の微生物が分解するので環境へのダメージが少なく、さらに難燃性である事が優れている。
アセチル化の計算法
アセチルセルロースでよく出る問題は、計算問題です。アセチル化して分子量は○○になりました。
というタイプの問題です。
この手の問題を解くためには、少なくとも、『アセチル化』でどれくらい分子量が増えるのかをわかっている必要があります。

このようにアセチル化されるという現象をヒドロキシ基のOとHの間に赤の構造を挿入すると考えます。
こう考えると1つアセチル化されると、分子量は42増加します。
だから、もし、セルロースのヒドロキシ基が全てアセチル化されると、多糖類のOHの数は、3n個なので、トリアセチルセルロースの分子量は
M=162n+42×3n=288n
となります。
アセチルセルロースの性質
トリアセチルセルロースのうち、1/3のアセチル基を加水分解してジアセチルセルロースにして紡糸したものを『アセテート繊維』と言います。
これが紡糸です。
このように、ヒドロキシ基が1つだけ加水分解された状態、というのは、1カ所だけ極性がある状態なのです。
これは、アセトンと全く同じなんですよ!
このように似た者同士よく解ける!という現象で、ジアセチルセルロースはアセトンに溶けます。
またアセチルセルロースは、アセチル基を含めて、廃棄すると「アセチル基」やらがどんどん微生物に分解されます。
なので、たばこのフィルターなんかは、アセチルセルロースが使われているので、吸い終わったフィルターは『ポイ捨て可能!』というわけです!
どうせ土に返るからね!
なので、タバコのポイ捨ては、20歳になってから、『土があるところ!』にしよう!笑
どうでしたか?セルロースは変化させて様々な工業的製品に使われています。
これは繊維のところでもよく疲れるところなので、きっちりマスターしておいてください!
繊維は分子の数も多く、理解しずらかったのですが、イメージが湧きました。
授業ではアセテート繊維がいきなり出てきて戸惑いましたが、3つのうち2つがアセチル化したセルロース、つまりジアセチルセルロースなんですね。