デンプンのアミロースとアミロペクチンの違いとは?

デンプン粒,アミロース,アミロペクチン

こんにちは。

今日はデンプンのなかのアミロースとアミロペクチンについてお話ししたいと思います。

結論から言うとアミロースとアミロペクチンの違いは、分枝の量の違いです。この結論からわかりやすく解説していきます。

目次

デンプンとは?

デンプンとは、『多糖類』で、数百〜数千のα-グルコース分子が反転せずにそのままグリコシド結合を繰り返したした天然高分子のことです。

 

植物の光合成で作られ、植物の趣旨や根、地中に埋まっている茎などに『デンプン粒』としてエネルギー貯蓄されています。

 

デンプンを分解してグルコースにしてしまえば、エネルギーを取り出す事が出来ます。

 

アミロースとは?

アミロースとは、α-グルコース分子同士がひたすら1位と4位でグリコシド結合しまくっている状態なのですが、

 

ひたすら1位と4位という部分が重要です。というのも、6位を意地でも無視しようとしているのです。

 

実は、この6位を意地でもつかわないというのが、アミロースの特徴であり、アミロペクチンとの違いでもあるのです。

 

ひたすら同じ向きにα-グルコースを結合していくのです。すると、

アミロース,グリコシド結合,

このように最初は90°で結合するのですが、この状態が不安定なので、広がり110°になります。こうなると、どんどんらせん状になっていきます。

 

アミロース,構造,螺旋構造

 

また、ヒドロキシ基がらせん構造になっていきます。

 

 

アミロペクチンとは?

アミロペクチンとは?α-グルコースが基本的に1位と4位がグリコシド結合して高分子化したものです。

 

アミロースとアミロペクチンの構造を比較するとこのようになります

 

アミロース

アミロース,構造

このように枝分かれ無しで、どんどんらせん状になっていきます。

アミロペクチン

アミロペクチンの構造

 

アミロースとアミロペクチンの違いまとめ

アミロースはひたすら、1位と4位だけがグリコシド結合をしていったが、アミロペクチンは時々1位と6位が結合する事で枝分かれをしている。

 

 

ちなみに、アミロペクチンも、デンプンの一種なので枝分かれしても、『反転せず結合する』というこだわりは残っています。

アミロース,アミロペクチン,構造

このようなイメージです。

 

アミロースとアミロペクチンは同じデンプン中に存在する事もあり、

デンプン粒,アミロース,アミロペクチン

このように、アミロースとアミロペクチンが混在した構造になります。

 

 

ヨウ素デンプン反応

デンプンの非常に有名な反応として、ヨウ素デンプン反応があります。

 

この反応は小学校や中学校でやった事があると思いますが、芋にヨウ素液を加えて青紫色になる事を確認した事があると思います。

ヨウ素デンプン反応,青紫色

これは、どのような原因で青紫色になっているのかをお話ししたいと思います。

 

デンプンと言うのは先ほど話しましたように、『らせん状』になります。ここにヨウ素分子がもぐり込む事によって、青紫色のヨウ素デンプン反応を起こします。

ヨウ素デンプン反応,デンプン

しかし、さきほど話したように、『水素結合』によって、螺旋構造が保たれているので、

 

 

加熱されると水素結合が滅亡して、『ヨウ素デンプン反応を示さなくなる』のです。なぜなら、ヨウ素が入り込む”らせん”がなくなるからです。

 

 

デンプンの分解酵素

デンプンを分解する酵素として有名なものがあります。それが『アミラーゼ』です。

 

デンプンはα-グルコースが永遠に並んでいる構造ですよね。なので、

デンプン,グルコース,マルトース

このようにマルトースが並んでいる状態とも見る事が出来ます。

 

アミラーゼは様々な切り口でデンプンをぶった切っていきます。そして、様々な分子量の糖が出来ます。

デンプン分解酵素、アミラーゼ

この分子量が様々な物質が混ざった溶液を『デキストリン』と言います。

 

なので、途中様々な分子量を持つデキストリンと呼ばれる加水分解生成物を経て最終的にマルトースまで加水分解される。

 

そして、マルトースは『マルターゼ』によって、グルコースまで分解する事が出来ます。

まとめ

デンプンはα-グルコースが縮合重合した高分子です。

 

アミロースとアミロペクチンの種類がある。この2つの違いは枝分かれがあるかどうか。



9 件のコメント

  • ねこ より:

    デンプンをアミラーゼで分解するとデキストリン、さらに分解するとマルトースっていうのは知ってたんですけど
    だいたい問題集とかで分解したら何になるのか答える時マルトースっていうものばかりでデキストリンなんだろうってずっと思ってました(笑)
    すっきりしました!!!

    • 受験化学コーチなかむら より:

      おお!良かったです!このへんややこしいですもんね!

  • りんごほっぺ より:

    アミノ酸らへんは適当に授業が進んでいくので(早く範囲を終わらせるため)
    なかむらさんの記事のおかげで色んな知識が補充できるのでありがたいですm(__)m

    • 受験化学コーチなかむら より:

      おお!良かったです!
      もっと良いコンテンツを増やしていきますね!

  • おむす より:

    アミロースはaグルコースが1と4位で必ず結合するから、らせん構造をとってヨウ素デンプン反応で青紫色に呈色するけれど、アミロペクチンは1と6で結合する時もあるから枝分れしてらせん構造を取らないから、ヨウ素デンプン反応では青紫色に呈色しないという違いがあるんですね!!

    高分子分野は特に苦手分野なので、本当に重宝していますありがとうございます!

    • 受験化学コーチなかむら より:

      1と6ではしますが、1と4が基本なのでヨウ素デンプン反応はアミロースだけでなくアミロペクチンでもおこります。

  • うさぎ より:

    デンプンの枝分かれ構造って体内の何に似てますか?

  • あはは より:

    受験ではないのですが(中学生です)デンプンが分解されると最終的にブドウ糖、は知っていたのですが、マルトースやデキストリンが何なのかよくわかっていなかったため、わかりやすい記事をがあってよかったです!ありがとうございました!

    • 受験化学コーチなかむら より:

      おお、よかったです!
      ありがとうございます!

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    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。