天然高分子のなかでもっとも出題されるものの1つである『糖類』。
この糖類について入試で聞かれる『ポイント』を徹底的にまとめて見ようと思います。
これさえ読めば、もはや糖類で困る事は無いし、あとは演習を積むだけ!という状態になります。
なので、ここでキッチリ基礎を固めて覚える事は覚えていきましょう!
目次
糖とは?
まずは、糖とは何か?という事から始めていきましょう!
まず、糖とは、『多価アルコール』のことです。
糖の分類
単糖・・希硫酸などを用いても加水分解する事が出来ない糖
二糖・・単糖2分子がグリコシド結合して1分子になってもの
オリゴ糖・・単糖3〜20分子が縮合して1分子になったもの
多糖・・単糖数百〜数千分子が縮合して①分子になったもの
このように糖は分類されます。
糖の反応
還元性を示す反応・銀鏡反応+フェーリング反応
糖は鎖状構造になったときアルデヒド基をもつため、銀鏡反応やフェーリング反応が陽性です。
なので、単糖類でグルコース、マンノース、リボース、デオキシリボースのような糖であれば、
どうみても、アルデヒド基を持っています。
そして、これらのアルデヒド基が1位にあるものはもちろんですが、C=Oが2位にあるフルクトースも還元性を示します。
このように、塩基性条件でエノールケト互変性によりアルデヒド基が生じます。
開環したり環化したりする
糖は、鎖状構造と環構造があります。基本的に環構造なのですが、これが開環して、鎖状構造になったり鎖状構造が環化したりします。
鎖状構造は『フィッシャー投影式』によって表します。
またこの記事では、フィッシャー投影式からどのようにして環構造にするのかを書いておきました。
アセタールとヘミアセタール
このように糖には『エーテル結合』が存在しています。
エーテル結合×2の構造を『アセタール』といい、エーテル結合×1で片方がヒドロキシ基なものをヘミアセタール構造と言います。
このヘミアセタール構造が無くなるとその糖は開環することが出来なくなります。
『アセタール、ヘミアセタール構造』についてはこちらの記事をご覧下さい。
糖へのアセチル化
糖のヒドロキシ基に対して、無水酢酸がエステル化する反応がよく出ます。
後ほど、『アセテート繊維』(セルロース)のセクションでもやりますが、糖に対するアセチル化の雰囲気を掴んでもらいます。
単糖
単糖とは、これ以上希硫酸などを用いても加水分解出来ない状態の糖のことです。
分子式はCn(H2O)mでn=m=6のものをさします。
単糖の勉強での悩みどころは、構造をどこまで覚えれば良いのか?と言う事です。
グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、デオキシリボースなどなど、
これらをどのように覚えるのかというのが、悩みどころです。
ですが、あるものを覚えれば、実は『グルコース』だけ覚えれば終了となります。
それが、『フィッシャー投影式』です。
二糖類
二糖類とは2つの単糖がグリコシド結合によって繋がったものの事を言います。
大学受験ではほとんど6角形の単糖どうしの結合したものが出ます。
M二糖=342で覚え方は、
と覚えます。
グリコシド結合
二糖類は『グリコシド結合』を考えなければなりません。
グリコシド結合については、
グリコシド結合とは?加水分解の反応も合わせてどうぞ!
をお読みください。
二糖類の還元性
二糖類には還元性があるものと無いものがあります。
そして、この還元性に関わるのが先ほどの『ヘミアセタール構造』なのです。
このようにマルトースのようなヘミアセタール構造が残っているものは、還元性を持ちます。しかし、スクロースはこれとは異なり還元性を示しません。
この部分に詳しく書いております。
オリゴ糖
オリゴ糖とは、3〜20分子の単糖がグリコシド結合して1分子になったもののことを言います。
オリゴ糖と多糖の違い
オリゴ糖と多糖は、どちらも構造式を書くと
同じです。でもこの2つをちゃんと区別しないと問題では間違います。
多糖
多糖類とは、グリコシド結合によって単糖が繋がりまくった高分子の事を言います。
グリコシド結合で繋がっていくわけですが、グリコシド結合で繋がる場所は、以下の3カ所です。
なぜしたの2つのヒドロキシ基が使われないのか?と言う事ですが、この2つのヒドロキシ基は、別の大仕事があります。なので『グリコシド結合』には使われません。(後々出てきます!)
また、多糖類はグルコースが『反転するのかしないのか』という一見地味なところが非常に重要となっています。
この重要なところを徹底的にマスターしておいてください。
デンプン
デンプンとは、α-グルコースが
この向きのままひたすらグリコシド結合を繰り返したものの事をいいます。
α-グルコースですので、クルクル曲がっていきます。らせん状構造になります。
デンプンは、我々の主食である米や、小麦粉などに使われています。
デンプンには、『アミロース』と『アミロペクチン』という2種類が存在します。
デンプンのアミロースとアミロペクチンについてはコチラの記事を確認して下さい。
セルロース
セルロースもグルコースがグリコシド結合によって繋がった高分子です。
ですが、デンプンやグリコーゲンとは少し違います。それは、α-グルコースではなく、β-グルコースがグリコシド結合で繋がっていると言うてんです。
また、表だけでなく、裏にもなります。表裏表裏表裏という順番でβグルコースがひたすらグリコシド結合をしていきます。
セルロース繊維
半合成繊維
トリニトロセルロース
セルロースのヒドロキシ基を硝酸エステル化したものを『ニトロセルロース』と言います。
このニトロセルロースはよく
しかし、実際これはニトロ化ではありません。ニトロ化ではなくエステル化です。その理由は、こちら。
アセチルセルロース
これは先ほどのニトロセルロースとほとんど同じ反応です。
再生繊維
再生繊維というのは、まず水や有機溶媒に溶けにくいセルロースを、溶液などを使って無理矢理溶かします。
そして、それを再生して、セルロースを加工して作った繊維の事です。
を読んでください。
グリコーゲン
グリコーゲンもα-グルコースがグリコシド結合をしまくった、多糖類です。
デンプンとグリコーゲンの違い
デンプンとグリコーゲンって違いがあまりよくわかりませんね。そこで、このデンプンとグリコーゲンの違いについて徹底的に解説しました。
いかがでしたか?これら全てを一気に身につける事は難しいと思います。
ですが、入試でどれも大切な事です。
ブックマークしたり、Twitterでツイートしておくなどして残しておきましょう!
そして何度も読んでいきましょう!それでは!
とてもわかりやすくまとまっていてすばらしいです。糖類の勉強はまだまだでしたので、これを参考にして勉強させてもらいます。
ありがとうございます!なかなか全部は大変ですが、是非活用してみてください!
二糖 覚え方について
覚えても良いと思うのですが、
結局グルコースのエステル結合(グリコシド結合)×1なので
グルコースの分子量180を覚えて
180×2-18=342
の方が理解が進むと思います。
生意気ながらにすみません。
はい、二糖類の説明記事に飛んでください。そこにそれは書いています。
ですが、計算では覚えた方が良いですね!
エステル結合ではありませんね、すみません。
もう一回全部読み直します!ご指摘ありがとうございます。
そうですね!頑張ってみてください!
M二糖=342とはなんでしょうか…?
二糖類の分子量です