油脂のヨウ素価の計算方法と受験テクニック一挙公開!

こんにちは。

油脂の計算で出てくる非常に重要な「ヨウ素価」についてお話しします。

目次

ヨウ素価とは?

ヨウ素価は、本当に定義が全てです。定義がわかっていれば、それだけでヨウ素価を求める事が出来ます。

それは、
油脂100g(hg(油脂))に付加する事の出来るヨウ素の質量(グラム)をヨウ素価と言います!

ヨウ素価の計算方法

ヨウ素価を計算するには、定義でも出来ますが、あるものを覚えるのが手っ取り早いです。

これさえ覚えれば、あとは、特別に覚える事もありません。

理論化学で学んで来た知識が使えます。

それはヨウ素価の単位です。

これは覚え方があります。

ヨウ素価,単位
このように、単位を覚えれば勝利確定です。質量%濃度とほとんど同じです!※hはヘクトで102のことになります。

油脂は不飽和(全て単結合ではない)脂肪酸(脂肪族のカルボン酸)が構成している事も在るので、ヨウ素が付加できます。

C=C1molあたりI2は1mol付加できる事を理解しておきましょう!

では、実際にヨウ素価を求めていきましょう!

まずスタートは、油脂1molあたりのC=Cのmolから始めて行きましょう!

仮に1molのとある油脂にnmolのC=Cが存在したとします。

ここから
ヨウ素価,単位

この単位に変換していきます。

やはり、ここでも濃度変換と同じテクニックを使います!

ヨウ素価,求め方 ヨウ素価,求め方

このように変換してヨウ素価の単位にしていきます。

すると最終的に(ここは質問せず自力で計算してみてください!)

油脂,ヨウ素価

これが最終的な結果となります!

絶対に覚える!ヨウ素価の特徴!

実は、ヨウ素価というのは、C=Cが1,2,3,4個と増えていくと、

30,60,90,120,と変化していきます!この事を知っておくと、問題を解くときに非常に役に立ちます。

1種類の純粋な油脂があり、そのヨウ素価は、59であった。

という文章があったとする。この時点でC=Cが2個で在ると言う事が一瞬でわかる!

ではなんで二重結合が2個であることがわかるのか?
それは、先ほど求めた、
油脂,ヨウ素価

これです。これに油脂の分子量は800~900である事を考えると、

ヨウ素価,近似,求め方
と計算で大体油脂のヨウ素価は30の倍数であるということがわかります。

なので59≒60=30×2なので、

この事実は絶対覚えておきましょう!非常に試験で役に立ちます

例題:オレイン酸のみからなる油脂のヨウ素価を求めよ!

まず、油脂の分子量を求めます。
M油脂=282×3+38=884となります。

また、この他にもステアリン酸のみからなる油脂の分子量は、
M油脂=890
なので、ステアリン酸より分子量が2小さいオレイン酸からなるので、

Mオレイン酸のみの油脂=890-2×3=884

それではヨウ素価を求めましょう!

最初のnのところのを3にするだけです。


これを計算した答えは、86.2です。

ヨウ素価で決まる乾性油とボイル油

油脂でも不飽和脂肪酸(C=Cを含む脂肪酸)から出来ていると、π結合は反応性が高いので、空気中の酸素に攻撃されます!よって

油脂,ボイル油

このように分子内や分子間に架橋反応が起り、くっつく!

分子量が大きくなる。

ファンデルワールス力が大きくなる。

固形化して乾いているように見える!

これを乾性油と言います!
ヨウ素価が130以上の場合は、空気中に放置するとすぐに固化します。なのでこれを『乾性油』と言います。

乾性油

また、乾性油に空気を送り込んで加熱する事で『ボイル油』になります。
ボイル油

まとめ

ヨウ素価は30の倍数で狙いを定めましょう!



12 件のコメント

  • イケダ より:

    ヨウ素価、という言葉をいままで聞いたことがなかったので知れてよかったです。またオレイン酸やステアリン酸という言葉も初めて聞いたのですが、これらはどんな物質なのかぜひ教えてください。

    • 受験化学コーチなかむら より:

      これはめちゃくちゃ炭素数が多い、カルボン酸だと思っておけば良いです!

      • イケダ より:

        わかりました。ありがとうございます

  • ねこ より:

    ヨウ素価初めて聞いたんですが
    よくわかりました!
    架橋構造もゴムのとこで出てきた硫黄をくっつけて強くすることしか知らなかったです、、
    質問なのですが、ステアリン酸とかオレイン酸の化学式と何個二重結合があるかっていうのは丸暗記しかないですか?
    学校では有名なもの4つぐらい教えられて覚えたのですが覚えてないもの出たら困るなと思いまして、、どこまで覚えればいいのかとかあったら教えて欲しいです。

    • 受験化学コーチなかむら より:

      そうでしたか!ありがとうございます!
      パルミチン酸
      ステアリン酸
      オレイン酸
      リノール酸
      リノレン酸
      についてはキッチリ覚えておきましょう!
         
      そうですね、二重結合の数は覚えておかなければなりません!

  • こまつ より:

    けん化価ヨウ素価の計算問題は意味もなく公式をおぼえているだけでした。感動です。おまけに、計算も素早くできます。今までは時間がなくてスルーしてましたけど、きちんとヨウ素価までだして構造決定ができそうです。ありがとうございました。

    • 受験化学コーチなかむら より:

      おお、それはよかったですね!
      素晴らしいです!
      今後どんどん活用していってください!

  • りんご より:

    ヨウ素価っていうものの存在を初めて知りました。ありがとございます。
    かなり初歩的な質問かもしれないのですが、オレイン酸のみからなる油脂の例題で、nのところを3にするのは オレイン酸のみからなる油脂にc=cが3個あるからっていう理解でいいですか?

    • 受験化学コーチなかむら より:

      そうですね!

  • ぜつ より:

    油脂の分子量が800から900というのは絶対ですか?

  • A より:

    ヨウ素価の問題集を解いていて、86.2gのヨウ素が付加したと書いてあったので二重結合の数は3つだと思ったのですが、解説にはC=C結合1つにヨウ素が付加するため、油脂にはC=C結合が3つあるため油脂1molに3molのヨウ素が付加すると書いてあって、二重結合の数は3ではなく1と書いてありました。これはどういうことですか?

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    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。