こんにちは。
塾講師時代を含めるとすでに5年ほど受験生に指導をしていますが、その中で赤本の使い方が上手い人と下手な人がいるな〜と気づきました。
そして、赤本の使い方が上手い人は合格し、下手な人は残念な結果になることに気づきました。
例えば、
・赤本は本番前の実力試し
・まだ勉強が進んでいないから赤本やっても無駄
・過去問
ですが、こう思っている人はかなりの割合でうまくいっていません。
5年間で数万人に教えてきて、様々な質問に答えてきて、大量の合格者と不合格者のデータからわかることは、赤本は中心教材にすべきであるってことです。
今日は、そもそもなぜ赤本を使って勉強しなければいけないのか? と、どうやって使えばいいのか? を徹底解説しました。また、赤本を中心に学習をすることで、大胆な戦略をとり、京大医学部に現役合格した過去の合格受験生の実例をあげていきます。
目次
赤本はいきなり5年分全て解け!
受験勉強には戦略が不可欠ですが、戦う相手を知らずに戦略を練るのはあまりにも無謀です。
大学生になって研究をするときに、まずやることは「サーヴェイ」という作業です。これは、ここ10年ほどの論文を片っ端から読みこなすのです。
これは、競合の論文の存在を把握し、競合と被らないようにする、または競合に勝てる要素が自分にあるか? を考えるのです。
このように、敵を知らないと全く同じ研究をしてしまって、せっかくの研究もすでに研究されていたことだったら悲しいですからね。
これと一緒で受験勉強もまずは敵を知らないとどうやって勉強するかの戦略を練ることができるわけがないのです。なので、受験勉強を始める時にはまず赤本を解きます。
赤本をいきなり使うことで時間の節約になる
受験勉強をする上で、
「全てを網羅する」
「完成させる」
なんて幻想です。不可能です。だからこそ、赤本はとっとと解きましょう。そして、特に現役生で部活やってた人は、ガンガン捨てる部分を作りましょう。各教科で捨てても確率が低い部分ってたくさんあるはずです。
— 受験化学コーチなかむら (@kagakucenter) 2018年9月12日
受験勉強をする上で、
「全てを網羅する」
「完成させる」
なんて幻想です。不可能です。だからこそ、赤本はとっとと解きましょう。そして、特に現役生で部活やってた人は、ガンガン捨てる部分を作りましょう。
各教科で捨てても確率が低い部分ってたくさんあるはずです。
とか、
っていうメールをよくもらいますが、無理です(笑)これは現役生に限らず、浪人生でも教科を完成させることは絶対に無理です。
網羅して全てできるようにするっていうのはそもそも幻想なのです。そうではなく、いかにあなたが受験する大学に合格するのに有効な勉強ができるかです。
もちろん、受験に合格する人の中には、中高一貫校で中学生の時からとっくに大学受験の勉強をしている人がいます。ですが、それ以外に公立高校で高校3年生まで部活をしていて、そこから逆転で合格する人も一定数います。
そういう人たちは、天才なのではなく何を勉強して、何を勉強しないかの選択と時間の配置がうまいのです。つまり、優先順位をつけるのがうまいのです。
その大学に出題されない分野をだらだら学習するのではなく、出題されやすい分野を徹底的に取り組んだ方が圧倒的に成果が出やすいのです。
赤本の過去問からの再出題や改変出題が実は多い
実は、赤本から出題されることがよくあります。一度出た問題がそのまま丸ごと出ることはありませんが、同じ形式の問題が出ることは本当によくあります。
大学の入試問題の目的は受験生の裏をかく事ではない
赤本で出た問題は出るはずがないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。形式を変えて過去の問題が出題されることはよくあります。
大学側も、別に受験生の裏をかいたり、傾向を無視したいのではなく、その大学にとってふさわしい人材を見つけるために入試問題が存在しているのです。
欲しい学生の像があり、それに合うような学生が集まるようにするには、どうしても傾向が生まれます。
顕著な例として「電気通信大学」をあげます。
以前個別で教えていた受験生のために電気通信大学の赤本をやっていました。
数学、物理と超計算問題重視です。問題の方針自体はそれほど難しいものはないものの、とにかく計算で処理能力が問われる問題でした。
そして、その一方化学の問題があまりにも簡単でした。まさかの有機化学の構造決定の問題が出題されていないというね。
つまり、物理と数学で計算処理を工夫させる問題が多かったのです。
でも、これは大学の特色を考えると当然でした。電気通信大学は電気系と情報系がメインで、生物系に進学する人はごくごく少数です。
よって、化学よりも物理と数学がとにかく重要視していることがわかります。
このように、大学受験の過去問はその大学が求めている学生像を反映されます。なので、その問題に特色が出て当然なのです。
これがわかると受験勉強で無駄な時間を過ごすはずがないんですよ。戦略を作ることができます。
・化学は重要問題集や新演習は全く不要。セミナー化学でもお釣りがくる。
・物理数学も問題の方針は典型問題レベルで十分。
・積分計算はしっかり練習しておこう。
・英語は自由英作文が出題される。細かい文の構造を問われることはない。よし、ネクステはいらないな。
・英語は早く意味を理解することの方が重要だな。
・自由英作文の題材はベタベタなものが多いな。これは、あらかじめネタストックしておけば満点も狙えるな。
いかがですか? やるべきこととやらなくていいことが明確になったと思います。
入試問題を作っているのは大学教授
大学教授にとって、入試問題の担当になることは嬉しいことではありません。長い期間入試問題を作成するために時間が取られてしまいます。
だからこそ、過去の入試問題を使って、それを参考にして作った方が早いわけです。
大学教授は研究者であり教育者では全くないってことです。(授業なんて受けられたもんじゃない)
大学教授は研究をしたいのです。大学の定期テストなんてめちゃくちゃですよ。もはや完全に過去問から出題されているし、数字さえも変わっていないことがしょっちゅうあります。
つまり、入試問題を作るのはなるべく過去の問題を改変して作った方が教授的にも楽なのです。
赤本の使う時期
この記事を見ている人が、どの時期に見ているかわかりませんが、まだ赤本を解いていないとしたらいますぐに解いてください。
赤本を解いている間、この時間無駄だな〜って思ってしまうかもしれません。まだ学習が終わっていないのに、解いても仕方ないと思うかもしれません。
それでもやってください。時間がない時こそ先ほど言いましたように敵を知り、何をやらなくていいかを考えるのです。
赤本の驚愕の使い方〜いきなり5年分全て解け!〜
受験勉強初期
赤本っていうのは唯一の敵の情報です。その赤本を本番前の力試しに使おうとする人がいます。ですが、相手の情報が詰まっている赤本です。本当は一番最初に全て読み込まないといけません。
赤本は力試しだったり、時間配分に使うようなチンケなものではなく、あなたの志望校の情報源です。戦では敵の情報が多ければ多いほど有利に戦いを進めることができるのです。
なので、勉強を始めた瞬間にいきなり5年分を解きます。
最初は当然ですが、暗号のように見えてくると思います。それでもいいので、解答を読みます。普通の人は、ここで教科書で用語を調べながら解説を読みたくなると思います。
しかし、それをしていると赤本を終わらせるのに1ヶ月以上かかります。なので、用語がわからなくてもどんどん進めます。
そして、5年分の赤本を終えて、暗号のような解答解説を読み終わらせます。すると、あなたの脳みそは学習への欲望がパンパンになっているはずです。
受験勉強初期で5年分を解くのは、当然何が出るのかを確かめることも重要ですが、もっと重要なのはやらなくていい部分を見つけることです。
例えば、英語で英文法の細かい知識を問うて来ることがないなら、ネクステやアップグレードは捨てましょう。これだけで数十時間を節約して別のものに時間を割くことができます。
受験勉強中期
受験勉強中期は、科目の学習をやっているときです。ここで学習するときも常に赤本を隣に置いておいて下さい。今学習しているジャンルが過去問で出題されていないかを確かめながら学習して下さい。
今学習している部分が、志望校ではどのような形式で出題をされているのかいちいち確認しながら勉強をして下さい。
例えば、実験手順をしつこく毎年聞いて来る大学があります。そういう大学はその実験手順をしっかり説明できる訓練も必要だし、ある程度実験手順の暗記も必要です。
ですが、ほとんどの大学では実験手順なんて問われません。なので、そういう大学の場合、いちいち事細かに実験手順を記述できるようにする練習はかなり時間の無駄になります。
こういうのを、確かめながら科目の学習をしていくのです。
受験勉強後期(直前)
直前期は簡単です。
ず〜っと使い込んできた赤本をもう一度解くのです。それだけ。
通しで解くのはほとんどの問題が解けるようになってからで十分
ここで、知っている問題なんだから意味ないのではないか? なんていうのは野暮だ。あなたの志望大学の情報を「知っている」ことこそ最強なのだ。
なので、赤本を覚えてしまうくらい解くのは、全く問題はありません。ただ、問題の丸暗記ではなく形式が変更されたとしても論理的に解法を思いつき、解けるようにすることが大事です。
赤本を中心教材にして現役で部活をやりながら京都大学医学部に
昨年の化学受験テクニック塾の合格者で、京大医学部に現役合格した杉元くん。彼の学習法は、もう赤本との共存なのです。
1時間近く対談を取りましたが、めちゃくちゃ学びが多いと思いますよ。京大医学部に現役で合格するのだから、どんな特殊な情報を知っているんだろう、、って思う人もいるかもしれません。
ですが、杉元くんの使っていた問題集は、化学ではセミナーです。重要問題集でさえメインでは使っていなくて、新演習なんてもってのほかです。
その理由は赤本研究にありました。
できれば、全て聞いて欲しいですが、彼は部活生で最後の最後まで部活をしていました。しかし、それでも現役で合格したのは、赤本で過去問研究をして無駄な勉強に時間をしなかった
優秀な人って、1時間に問題集を10ページ解ける人のことではありません。いかに、勉強の優先順位をつけて、やらなくていいことを捨てられる人です。
しっかり優先順位をつければ、何をすべきか、何をしないべきか見えてきます。
京大医学部現役合格の杉元くんも、無駄な学習が一切ありません。京大の化学の問題はどうせ知識で解ける問題ではないことを赤本から把握し、知識をつける問題集学習はセミナーで十分だと判断しました。
京大受験生でよくある質問としては、
っていう質問です。これ本当に多いですが、そういうことではないのです。典型問題が解けるようになれば、合格できる大学なのか? を見極めるためにも赤本をやるべきです。
また、このような難関大を受ける人は、普通の赤本ではなく「〇〇か年」シリーズの赤本がオススメです。旧帝大、神戸、一橋、東工、関関同立、MARCH、早慶上智などはこのシリーズがあります。
このシリーズが一番学習しやすいので、徹底的にこれを読みこなすことをオススメします。
赤本に関するよくある質問
Q:1年分を通してやるべきですか? 25カ年のような形式でも問題ありませんか?
全く問題ないです。むしろ25カ年のような方がありがたいです。1年を通してやることには、ほとんど意味がありません。
それこそ、時間配分を確認する程度の意味合いしかありません。でも、これまで時間配分でしくじったことで、試験の点数が大幅に変わったことってありますか?
ほとんどの模試だって、模試のために出題傾向を分析したりしていないと思います。でも、模試って普通に実力が出ます。
時間配分でとんでもなく差が出る訳ではないし、過去に解いたことがある赤本だろうと時間配分の練習くらい出来ます。なので、そんなことのために赤本は使いません。
赤本は実力をつけるために使います。
最後に
「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」
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敵の情報と、己の情報を把握しておけば、何度戦っても破れることはないという意味の有名な言葉です。
赤本は、ただの実力試しではありません。受験勉強の主役です。何度も何度も赤本を使って敵を知って、敵に有効な学習をしてください。
また、今回の赤本の使い方は、割と掟破り感がありなかなか受け入れられないかもしれません。また疑問点がありましたら、この記事の下にコメント欄がありますので、そちらから質問してきて下さい。