突然ですが、この問題はどう解きますか? アボガドロの法則と密接に関わっています。
水素2[L]と酸素1[L]を同温同圧で反応させると水蒸気ができた。
2H2+O2→2H2O
この時の水蒸気の体積は何Lですか?
このような問題をあなたはどう解きますか?
って思いましたか?
でもね、普段ってこういう化学反応式の量計算をするとき、「mol」に直してませんでしたか?
実は今日の「アボガドロの法則」は、この話がめちゃくちゃ繋がってきます。あなたはなんとなく体積で化学反応式の量計算をやったと思います。
しかし、入試問題で気体の問題をバッチリ解きこなしたければ、「体積での量計算」をどういう時に使えるか? どういう時には使えないのか? それを区別できるようにしなければならないのです。
今日の記事は、「アボガドロの法則」から気体の量計算で「体積で計算していいのか?」ってところまで話していきます。
※めっちゃ重要です。3分くらいで読み終われますので、必ず必ず最後まで読んでくださいね
目次
アボガドロの法則とは?
アボガドロの法則は、上の図のように、同温同圧の時、同体積に入っている個数は気体の種類によらずに同じであることを表しています。
まあ、これくらいなら教科書に書いていますよね。
んで、ここで高校生のあなたは思ったはずです。
と。
これくらい別に理解できないようなことではないですよね。もちろん、歴史的には重要な役割を果たしましたよ。
このように種類によらず同じ体積には、同じ気体の個数が入っていることがわかったからこそ、当時の原子説の矛盾を指摘できて、アボガドロの「分子説」が受け入れられるようになったのです。
ちょっと話はそれますが、化学の基本法則を覚えらていない人は、必ず歴史の流れで学んでおいてくださいね。
話を戻します。
アボガドロの法則がなんの役に立つのかわからない人が多いです。
ですが、このアボガドロの法則は、理論化学の計算分野で非常に重要な役割を果たします。次の章では、アボガドロの法則がどのように計算で使われるかを徹底的に解説します。
アボガドロの法則は気体分野の計算問題で超大活躍する
同温同圧の時、体積はモルの代わりを果たす。
先ほどのアボガドロの法則を、計算式で考えてみます。
同温同圧ということは、P,Tが一定ってことですね。てことは、状態方程式はどうなるでしょうか。
PV=nRTのうち、P,Tが一定ですから、Rとまとめて定数kとします。すると、残るのは、
このようになります。この式が何を表すかわかりますか?
これは、体積がモルに比例するってことを表すのです。
そろそろ冒頭の例題の意味がわかってきましたか?
2H2+O2→2H2Oのような反応で、モル比は化学反応式の係数と同じH2:O2:H2O=2:1:2ですよね。
モルと体積がなんと比例関係なんですよ。つまり、モル比は体積比でもあるということなのです。
よって、モル比=体積比だから、圧力と温度が一定の時化学反応の量計算を体積で行うことができるってことです。
なので、この記事の最初に例題を出しましたね。↓これです。
水素2[L]と酸素1[L]を同温同圧で反応させると水蒸気ができた。
2H2+O2→2H2O
この時の水蒸気の体積は何Lですか?
これは、体積比がH2:O2:H2O=2:1:2なので、水蒸気の体積は2[L]になります。
ここまでオッケーですか?
ここまでのことを納得した人は、次にこういう疑問が湧いてくるはずです。
こう感じるはずです。
実はこれめちゃくちゃ大事なことを表していて、気体の問題をややこしくしている原因でもあり、計算しやすくしている原因でもあるのです。
それでは、量計算で体積を使う理由をご紹介します。
なぜ体積で量計算できると嬉しいのか?
まず、一旦おさらいさせてください。
理論化学の計算問題の基本は、「モルに直して」「モル比」で計算することです。
この記事でも書きましたが、
基本化学の計算問題は、「与えられた物理量」から「求めたい物理量」を求めるものです。ですが、普通与えられた物理量(例えばkg)から、求めたい物理量(例えばL)が求められないわけですよ。
だから与えられたkgをまず分子量で割ってmolにします。そしてmol比で求めたい物理量のmolを求め、そのあとそのmolを求めたい物理量に変換するわけです。
ただ、ここで気体分野では問題が起こるのです。それが、
モル求めるのがめっちゃ面倒くさい
ってことなんです。
ていうのも、気体分野でmolを求めようと思うと、PV=nRTを計算するわけですよね。
かなり面倒です。P,T,Vが変数としてかなり面倒なんです。
しかし、体積を体積のまま求めることができるのです。モルの代わりとして体積を求めることができます。
しかも体積で求めてから圧力を求めるのは、簡単です。ボイルの法則を使えばいいんですから。
まとめ
- 同温同圧の時、同体積には同じ個数の気体粒子が存在する
- 同温同圧なら、モルの代わりに体積で量計算できる
- モルに変換しなくていいので計算が非常に楽になる。